米、南米2国と重要鉱物の協力強化へ ペルーとアルゼンチン、脱中国依存急ピッチ
米国務省は8月29日、ホームページ上で、「南米ペルーとの間で、重要鉱物分野での協力強化の覚書を締結した」と発表した。米国は8月22日にアルゼンチンとの間で同様の合意を発表したばかり。韓国のタングステン鉱山に期待しているとの報道もあり、脱中国依存を視野に入れた供給網(サプライチェーン)確立を急ぐ。
米国のフェルナンデス経済成長・エネルギー・環境担当国務次官が8月下旬から南米を歴訪しており、それぞれの国の外相との間で覚書締結に合意した。両国それぞれと重要鉱物資源分野でのガバナンス、投資、グローバルサプライチェーンのセキュリティ面での協力を強化する。アルゼンチンとの間では、重要鉱物資源の探査、抽出、加工、精製、リサイクル、回収における貿易と投資を促進するとも付け加えた。
ペルーは銅と亜鉛で世界トップクラスの生産を誇り、銀の埋蔵量は世界最大。アルゼンチンはチリ、ボリビア、同国で形成する「リチウムトライアングル」の1角に位置する。
しかし、両国ともに中国企業が積極的に進出しており、特にアルゼンチンのリチウム開発では中国企業同士の競争激化も強まっている。南米にはブラジルにBYDが工場を建設するなど中国の電気自動車(EV)メーカーが進出しており、電池材料の現地争奪合戦に巻き込まれる形になっている。
ペルーとアルゼンチンの鉱山分布
中国企業の南米進出状況(2023年8月時点)
(出所:3点すべてJOGMEC)
そんな中で、米国としては南米諸国に対し、欧州連合(EU)を含めた西側諸国との貿易チャネルの拡大を示唆したもよう。米国は韓国のタングステン鉱山再開の準備状況を視察したと伝わったばかりだ。
関連記事: 米、韓国のタングステン休眠鉱山を視察 24年中に再開か、中国依存の低減を視野 | MIRU (iru-miru.com)
実際には南米諸国は中国との貿易比重が大きく、韓国にも中国のタングステン企業が進出するなど、中国と経済的結びつきが強い国が多い。中国勢の存在感を低減することは難しいが、米国の動きは活発化している。
(IR Universe Kure)
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