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解体業界の風雲児(自称)気炎を吐く!GENBA BOXX社長桑原優太氏(中)

 解体業界の風雲児(自称)気炎を吐く!GENBA BOXX社長桑原優太氏(前)からの続き。ここでは、桑原氏が考える解体業界の旧弊や、これからの同業界の変容ぶりを語っていただく。「ゼネコンはずし」とは、なんなのか‥

 

業界の構造改革は、俺がやる!

 「僕がクワバラ・パンぷキンで仕事をする中では、解体業界が特有に抱えるさまざま課題を感じてきましたが、GENBA BOXX(解体業に特化した、課題解決型の見積もりサービス)を開発したのも、そもそもの動機は、同じような課題に悩む多くの同業者がいるはずだし、もっといえば、業界のそうした体質や構造をぶっ壊したい、という思いがあったからです」(桑原優太氏)

 

 また同氏は 「サービスは手段であり、部品だと考えており、その部品が企業の横のつながりを強化して、人や重機の貸し借り、解体案件を出し合っていくなどの環境を作ることに貢献すると考えています。私の強みは現場出身なので、常に現場を主として考えていて、ITは手段程度にしか考えていない。そこが他のIT出身のスタートアップと差別化できるところとだと認識しています」と語る。

 

 さらに「私よりも現場に精通している解体企業の経営者はたくさんいますし、ITを知り尽くしているIT猛者も多いですが、現場とITの両方を理解して、それぞれの領域で使う言葉を持ち合わせている人は極端に少ないので、それが自分自身のユニークポイントだと考えて、そのポジションから事業を展開できれば、競争優位性を確立できると確信しています」とも語る。

 

 そんなビジョンのもとGENBA BOXXを立ち上げ、ITツールを部品として、日本一の超テクノロジー解体屋を実現したいと考えて、いま同氏は多くのPEファンド(成長・成熟期の企業への大規模投資を行うファンド)と接触をしている。

 

 また同氏は現在、コンテンツ制作会社を入れて、本格的にTikTokやYouTube用の動画を作り、専門チャンネルも開設中だという。これらは営業ツールにもなるとともに、人材採用においても効果を発揮するといい、さらに多くの経営者とのコミュニケーションから得られた業界を俯瞰する力(知見)を活かして、解体業界の将来展望なども広くPRしていきたいと語る。

 

「解体業界は、かなり可能性があるよ!手堅い需要があるし、人手不足といわれているけど、受け入れ態勢さえ整えれば、人は採れる!という事実を伝えたいのです。事実クワバラ・パンぷキンには、Z世代の人材が15人もいるし、そのうち4人は学卒者である。そんな自例を紹介しながら、業界をより良い方向に変えてく、そうしたチャンネルにしたいと思っているんです」(同氏)

 

 ちなみに同社の新卒者の月給は28万円ほどに設定しており、休日もしっかり取れ、残業も少ないなどの好条件を整えているという。この好待遇が、人材を惹きつけている。

 

「人手不足といわれているけれど、今後AIが進展すると、どんどんホワイトカラーワークは減少することになる。これは確実です。そうした時の受け皿になるのが、ブルーカラー業界。先々、人材はより集めやすくなるはずです」(同氏)

 

解体仕事は、貰うものじゃなく、取りに行くもの!

 また、同氏は日本の解体技術の海外輸出も真剣に考えている、と語る。東京はじめ、大都市といわれるところには建物が密集しており、そこで解体作業を行うのには、相応の技術が必要になる。日本は、こうした解体に独自の技術で取り組んでいるが、今後、海外で都市が発展していくと、日本と同様に建物の密集が起こる。これらが20〜30年もすると解体時期を迎えるわけだが、ここで日本の独自の技術を生かすことができるのではないか。YouTubeは、そういった卓見も広めていくチャンネルにしたいと同氏は語る。

 

 そしてさらに、同氏が「一番啓蒙したい」と考えているのが、前稿でも触れた、解体仕事の「元請け扱い」なのだという。これまでは、解体の仕事は多くが建物を施工したゼネコンが、解体会社に発注する形をとっていた。それを、今度は受注した一次請負(元請け)が、二次請負へ、さらに三次請負へ、という形で、順に発注を重ねていく。これまでは、こんな構造が「鉄板」であった。

 

 しかしいま、解体の施主も、解体会社へ直接発注した方が、コストメリットが高いということに気づき始めている。

 

「最近では、解体会社や資源循環企業が大手のファンドを組んで、新会社を立ち上げ、施主から直接解体の案件を受ける、というシステムが出来ようとしています。これは、実現すべきサーキュラーエコノミー(資源循環)を描いた場合、建物のライフサイクルの始まりは、新築ではなく解体がそのスタートであること、それがあるべき姿であることに多くの人が気づき始めたということだと思います」(同氏)

 

 今後は、こうした「静脈産業」と「ファンド」による「座組み」が、一層増えると桑原氏は考える。従来までは、解体会社には、仕事は「貰うもの」という意識が蔓延していたが、今後は「営業して取る」「顧客を囲いこむ」という仕組みに変わっていくだろう。これを同業界では「ゼネコンはずし」と呼んでいる。

 

 繰り返しとなると思うが、BENBA BOXXによる見積もりサービスも、この新しいあり方を具現化したものだ。

 

 さて、今回はここまで。次回は、同氏のより踏み込んだ、サーキュラーエコノミーと解体業界の「これから」を披瀝する。

 

 

(IR universe kaneshige)

 

 

 

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