シャープ、亜鉛・空気フローバッテリー実用化への期待
シャープが9月17日と18日に有楽町国際フォーラムで行われた「テクノ・デイ’24」で亜鉛・空気フローバッテリーの最新開発状況を開示した。
開示されたバッテリーは1KWのバッテリーで、人の顔部位のサイズで、大型フローバッテリーの場合、20フィートコンテナ―に100KW規模が5個入る500KW規模になると公表した。フロー型のバッテリーで先行するバナジウムフローバッテリーの場合もほぼ20フィートコンテナ―に搭載されて、実用化されている。
現在の開発状況では、亜鉛が空気で酸化亜鉛へ酸化する反応の放電極の設置型1次電池の実用化を先行したいとの意向で説明されていた。亜鉛空気フローバッテリーは基本的に2次電池の開発が最終目標であるが、先行開発されている放電極が完成した後に、充電極の開発が待たれるが、放電で発生する酸化亜鉛を亜鉛に再生する場合、亜鉛が電着する場合、カソード表面へ電着する亜鉛結晶は樹皮状となる為、アノードとの間でショートする事が懸念される。
世界中の電気亜鉛は、全てが硫酸酸性液中で硫酸亜鉛溶液から電気亜鉛が電解採取により板状で電着するが、ショートを防ぐために板状の電気亜鉛は2日毎にカソードを引き揚げて剥離する作業を行って電気亜鉛は溶解鋳造を経て20kg程度の塊状の製品が製造されている。
シャープの亜鉛空気フローバッテリーの場合、溶液は酸性ではなく、アルカリ溶液中で酸化・還元反応が進行する。世界では未だアルカリ溶液での電解採取は商業的な生産は行われていない。
硫酸酸性溶液での亜鉛電解採取による電気亜鉛製錬法は、今後電力消費量を削減しなければいけない。その場合、アルカリ溶液での亜鉛電解採取法の開発が盛んになると予想される。その意味でもシャープの亜鉛空気フローバッテリーの開発の意味は大きいと思われる。
(IRUNIVERSE 片桐)
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