三菱マテ、クロム・ジルコニウム系銅合金「MZC®1 SH+」を新開発
三菱マテリアルは24日、クロム・ジルコニウム(Cu-Cr-Zr)系銅合金の新製品「MZC®1 SH+」を開発したと発表した。①高強度と高導電率の両立、②抜群の耐応力緩和特性(ばねのへたりにくさ)と疲労特性を有しているという。
「MZC®1 SH+」の具体的な特長は以下のとおり。
①高強度と高導電率の両立
銅合金としては最高水準の高強度・高導電率バランスを有している。(引張強さ約670MPa、導電率78%IACS)
既存の「MZC®1」シリーズの質別(*1)Hに対しても、引張強さ約70MPa向上、質別SHに対しては、引張強さ約40MPaおよび導電率約4%向上させている。(図1)
(*1)質別:製造過程における加工・熱処理の違いによって得られる機械的性質の区分。
②抜群の耐応力緩和特性(ばねのへたりにくさ)(*2)と疲労特性(*3)
既存の「MZC®1」シリーズと同様に、高温使用時のばねのへたり(応力緩和)を抑制しており、150℃から200℃の高温環境下においても、通電部材用途として非常に高い信頼性を持つ。(図2)また、繰り返し曲げに対しても、既存の「MZC®1」シリーズと同等以上の疲労特性をもち、耐振動性が求められる通電部材用途として非常に高い信頼性を有している。(図3)
(*2)耐応力緩和特性
薄板の試験片に対して、ばね性を発揮する弾性範囲内の負荷(0.2%耐力に対して80%の負荷)をかけて高温環境下で1000時間保持した後に、ばねとして残る力を残留応力率として評価する。残留応力率が高いほど耐応力緩和特性に優れており、ばねとして高温で使用しても、へたらず、ばね性が十分に保持される。
(*3)疲労特性
薄板の試験片に繰返し曲げ応力を負荷し、負荷した最大曲げ応力に対応した破断繰返し振動回数を調べ、応力-繰返し数線図(S-N線図)として作成する。
近年、xEVなどの次世代自動車の普及に伴い、高電圧・大電流に適した車載用電子・電気機器の需要が高まっている。三菱マテリアルは「MZC®1 SH+は、今後ますます高性能化が求められる基板同士を繋ぐ形のコネクタやリレーなどの次世代自動車部品に必要不可欠な素材として、部品設計の自由度向上に貢献していく」と述べている。
(IRuniverse G・Mochizuki)
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