インドネシア国営アンタム、中国青山集団のニッケル精錬所に出資 加工振興目指し3割取得
インドネシア国営鉱業のPTアネカ・タンバン(Antam、アンタム)は10月7日、自社ホームページ上で、中国ステンレス大手の青山控股集団が同国で運営するニッケル精錬所の権益のうち30%を取得すると発表した。取得額は約1億200万ドル(約1500億円)。
■鉱石も供給、大規模融資も行い精錬強化
プレスリリース:3786---ki-shl-ptgn---jlmi-english.pdf3786---ki-shl-ptgn---jlmi-english.pdf
買収対象となったのは、インドネシア東部の北マルク州ウェダ湾工業団地にある製鉄所。2020年の設立で、青山集団の子会社である久隆金属が管理・運営している。アンタムは今回、ニッケル採掘子会社のGag Nikelを通じて精錬所の権益を取得した。
一方で、アンタム側は青山集団の別の子会社とニッケル鉱石の供給計画を結んだ。アンタム側が供給し、青山側は前払いで代金を支払う。アンタム側はその代金を精錬所の買収代金に充てる。また、アンタム側は青山側に対し、合計7800ドルの融資を行い、青山側からの利払いと配当利益を得る。
■青山集団、ニッケル精錬で無視できぬ存在感
インドネシアは、単純な資源輸出国から、電気自動車(EV)生産までを見据えた製造立国への転換を図る。ニッケルに関しては、2023年に鉱石輸出を禁止し、国内での加工に回すことで加工業の振興を目指してきた。今回の出資もその流れで、精錬所の経営を強化して雇用の創出と産業の向上に結び付ける。
一方の青山集団は言わずと知れたステンレスの世界的大手。インドネシアでのニッケル精錬事業には以前から積極的に投資しており、同国政府としても存在感は無視できない。大規模なのは中部スラウェシ島で運営する精錬所だが、2023年末に死亡事故が起き、現地では中国企業による投資への反感もくすぶる。
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(IR Universe Kure)
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