太陽光パネルの再資源化費用は輸入販売業者が負担濃厚―経産省・環境省小委員会

太陽光パネル再資源化の義務化に向けた経済産業省・環境用合同小委員会の会合が21日で第6回を迎え、解体等・再資源化費用の流れの全体像が見えてきた。再資源化費用については実質的に輸入販売業者が負担する案が濃厚だ。制度開始時は算出の要素となる単価が高めに設定される可能性もありそうだ。
経産省と環境省は21日、太陽光発電設備リサイクル制度小委員会合同会議の第6回会合を開催し、これまでの議論のまとめを発表するとともに、各議員からの意見を求めた。第5回までの議論では解体費用や再資源化費用に関する議論が幾度となく、交わされてきたが、「誰が支払うか」はほぼ固まってきたといえる。
事務局側から提示された解体等・再資源化費用の流れの全体像は上記のイメージ図の通りで、①製造・輸入時に再資源化費用を支払い②設備の使用開始前に解体等費用を支払い③設備の使用終了後に解体等費用を受領④再資源化実施時に再資源化費用を受領――と示された。なお、国内で導入されている太陽光パネルの製造業者は海外事業者の割合が極めて高いため、再資源化費用に関しては現状として輸入販売業者が支払うことになりそうだ。この案はおおむね支持され、制度設計にも大きく反映される見込みだ。
再資源化費用の算定方法については、太陽光パネルの数量もしくは重量単位に、一定の単価を乗じること算出する案が有力となっている。ただ、「環境配慮設計による再資源化に係る性能を考慮する仕組みが必要」とする案もあり、単価は製造業者によって大きく異なると考えられる。
また、太陽光パネルの排出量は2030年代後半以降に顕著に増加する見込みであることを背景に、現在の製造業等に比べ、将来の製造業者等の負担が過重なものとならないように単価を設定するべきという意見も多く、制度開始時は単価が多めに算出される可能性もあり、輸入販売事業者の負担増は想定以上となりそうだ。
設備所有者も再資源化費用を負担か
負担増については再資源化費用を交付される立場の設備所有者も他人事ではない。再資源化費用低減のインセンティブを生じさせることを理由に、再資源化に要する実額を精算するのではなく、「算定された一定額」を交付する案が浮上しており、設備所有者が再資源化費用の一部を負担するケースもあり得るからだ。
日本経済団体連合会の池田三知子環境エネルギー本部長ら複数の委員は、太陽光パネルの再資源化技術には開発の余地があることなどから、法施行後は一定期間ごとに費用面を見直すべきと主張しているが、義務化開始時の混乱は避けられそうにない。
(IRuniverse K.Kuribara)
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