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【年末企画・アンチモン】3倍高で過去最高値 資源枯渇懸念と中国の輸出規制で

 レアメタルの一種で半導体材料となるアンチモン価格は、2024年は快進撃だった。11月28日に高値$3万5000/tonの大台に乗せて過去最高値を更新し、年初からほぼ3倍に値上がりした。12月に入ってからは動きがないが下がる気配もない。希少性が意識され資源枯渇懸念が広がった上に中国の輸出規制が加わり、供給ひっ迫懸念が高まった。

 

■5月に過去最高値、9月の輸出規制で一段高

 

過去1年間のアンチモン価格の推移(99.65% China)($/ton)

 

 11月28日の仲値は$3万4500/ton。アンチモン価格は2024年に入り急伸し、5月に過去最高値を更新した。中国で鉱石の希少性が意識され、資源枯渇懸念が高まった。一方、中国国内では太陽光パネル向けの需要が伸びているとの認識が広がり、需給ギャップが拡大するとの懸念が強まった。

 

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 このため、市場関係者の間では春の時点ですでに「こんなに急激に価格が上昇し、また高価格が長く継続するのは見たことがない。これが業界にとって良いことなのか悪いことなのか、わからない」(中国の上海有色網、SMM)の5月31日付レポート)との困惑の声があった。

 

関連記事: アンチモン価格、最高値続く 鉱石枯渇の観測と軍需需要の期待で 戸惑う業界 | MIRU

 

 そこに加えて、中国がアンチモンを西側諸国に対する武器化に利用し始めた。9月15日に輸出規制の対象とし、輸出の際の当局による審査と認可を義務付けた。12月3日には対米輸出を禁止した。アンチモンは半導体や太陽光パネルのほかに貫通弾や爆弾、暗視眼鏡や核兵器などの兵器に用いられることから、中国当局は軍民両用製品に位置付けている。

 

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■中国を覆う資源悲観、中国産は3.5倍に値上がり

 2025年についても先高観は根強い。特に中国ではアンチモンは供給ひっ迫懸念が強く、12月に入っても値上がりが続く。英MMTA(The Minor Metals Trade Association (MMTA) 規格の中国産アンチモンの価格は12月19日に高値$4万1500/tonと、年初比で3.5倍に値上がりした。上昇ピッチは国際価格をしのぐ。

 

過去1年間のMMTA Gradeアンチモン価格の推移($/ton)

 

 SMMは12月10日付のレポートで、「供給ひっ迫感が強すぎるため、関係者はアンチモン鉱石の生産が減少したり、小幅にしか伸びなかったりしても当然だとみなしている」と指摘した。12月は年末の目標達成圧力から増産に踏み切る採掘企業が増えているとされるが、そもそもの資源が枯渇しそうとの観測が強く、限界があると認識されているもようだ。

 

■国際市場はやや冷静、中国以外にも埋蔵あり

 一方、国際市場では冷静さも漂う。アンチモン加工物の三酸化アンチモン価格は10月末から丸2ヵ月に渡り動いていない。

 

過去1年間の三酸化アンチモン価格の推移(99.5%min FOB China)($/ton)

 

 三酸化アンチモンも10月31日に仲値$2万2450/tonと過去最高値を更新し、年初比では2.2倍に値上がりした。しかし、国際市場では中国国内ほどには、ろうばい的なひっ迫感は強まっていないようだ。

 中国の輸出規制に対応し、西側諸国ではアンチモン確保を急ぐ。米国では探査強化の動きが出ている。

 

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 むろん米国でアンチモンを生産するまでは時間がかかり、その間は値上がり動力が強い。ただ、アンチモン鉱石自体はボリビアやキルギス、オーストラリアなどにも存在しており、中国は鉱石ではむしろ輸入国でもある。中国以外での生産と加工が進めば、アンチモン価格は落ち着く可能性もある。

 

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(出所:JOGMEC)

 

 

(IR Universe Kure)

 

 

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