米パーペチュア、アンチモン探査を強化 中国規制に対抗、米需要の4割確保へ
米資源探査大手のパーペチュア・リソーシズ (Perpetua Resources)は12月9日、自社ホームページ上で、「米資源開発企業サンシャイン・シルバー・マイニング・アンドリファイニング(Sunshine Silver Mining & Refining )と、アイダホ州のアンチモン調査で協業する」と発表した。中国の輸出規制に対抗し、米国需要の4割確保を目指す。
■アイダホ州の金鉱山からアンチモン生産へ
パーペチュアのアイダホ子会社とサンシャインが、拘束力のない覚書を締結した。サンシャインが開発権を持つアイダホ州の金鉱山からのアンチモン生産について探査・評価する。
サンシャイン金鉱山から生産されるアンチモンの量は米国の需要量の5%程度と少ないが、パーペチュアはほかにアイダホ州中部のスティブナイト・イエローパイン鉱山での金・アンチモン・錫の探査計画を有しており、スティブナイトから米国のアンチモン需要の35%程度を供給できる。サンシャインの分と合わせて40%程度になる見通しだ。ロイター通信の12月9日の報道によると、スティブナイトの開発認可は年内にも下りる見通しという。
■米政府が国防生産法で支援
中国は12月3日、米国による半導体規制への報復としてアンチモンの対米輸出を禁止した。米国は8月による中国のアンチモン輸出規制開始の発表時から国内でのアンチモンのサプライチェーン(供給網)確立を急ぎ、パーペチュアに対しては国防生産法(Defense Production Act Title II、DRA)の一環として5920万ドルの投資技術契約(TIA)を授与した。今回の契約に当たっても、サンシャインのトップは「米国内で完結するアンチモンのサプライチェーン確立は、米国の国家および経済安全保障にとって最優先事項だ」と述べた。
米国では現在、アンチモンは生産されておらず完全に輸入に頼る。一方で中国のアンチモン鉱石の生産量は世界の6割弱を占める。ただ、中国は鉱石取引ではむしろ輸入国で、地金の輸出が多い。
世界のアンチモン生産・輸出状況
(出所:JOGMEC)
アンチモンは軍需品や半導体、太陽光電用パネルなど多岐にわたり必要不可欠な材料だ。もともと希少性も高い鉱物であるだけに、ひっ迫感は強まっている。
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(IR Universe Kure)
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