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岡本工作機械製作所(6125) 25/3H1決算メモ ディスクロージャ後退もポジティブ継続

25/3期10.4%減収41.3%営利減予想とファイナルポリシャ急減響くが26/3期回復期待

株価3945円(12/30)  時価総額264億円    発行済株6703千株 

PER25/3期DO予(9.1X)PBR(0.67X)配当(25/3予)160円  配当利回り4.3%

 

要約

・25/3H1は減収影響が直撃し18.8%減収69.4%営利減も受注は横ばい確保

・25/3期予想に変更なく10.4%減収41.3%営利減予想堅持

・28/3期に売上高690億円、営利110億円目指す

 

25/3H1は減収影響が直撃し18.8%減収69.4%営利減も受注は横ばい確保


 11/12に25/3H1決算が発表され、12/9に決算説明会が計画されていたものがキャンセルされ、説明資料のみが開示された。25/3H1は売上高200.41億円(期初計画比0.41億円増額、18.8%減)営業利益8.91億円(同2.91億円増額、69.4%減)、経常利益5.25億円(同1.75億円未達、82.2%減)、税引利益3.12億円(同0.88億円未達、83.2%減)と収益低迷が続いた。受注は172.48億円(0.6%増)、受注残363.15億円(26.0%減)と受注は横ばいを確保、受注残高は依然高水準で積みあがった状態が続いている。

 

 事業別では工作機械事業が売上高145.89億円(1.7%増)営業利益5.12億円(14.8%増)、受注127.11億円(8.9%減)、受注残121.44億円(33.6%減)。製品別では工作機械売上が88.50億円(1.6%減)と国内は中小企業の投資の鈍化の中で自動車関連や工作機械向け大型平面研削盤、半導体製造装置向けロータリー平面研削盤が堅調、海外では受注残の減少、欧州向けでは紛争による通行制約などもあり低迷、全体では微減収に。受注金額の開示は無いが国内は中小企業の投資減退に加え金型業界向け平面研削盤が低迷し受注減も、海外は航空機向け、EV関連の大型平面研削盤、光学向け超精密平面研削盤など好調で海外向け受注は増加に。歯車は29.31億円(8.2%減)と、精密歯車の低迷が影響、受注金額の明示はないがファナックを中心とするロボット向け歯車の低迷で受注も減少。鋳物は売上高14.46億円(27.5%増)と国内向けは円安による仕入単価上昇などで見かけ売上が膨らんだとみられ、受注のコメントはない。部品その他は13.36億円(30.0%増)と順調に拡大した。利益面では工作機械の構成比アップ、部品ほかの売上好調などでMIX良化もあり利益率が向上した模様。

 

 半導体関連事業は売上高54.51億円(47.2%減)、営利10.29億円(66.6%減)、受注45.36億円(42.1%増)、受注残241.71億円(21.4%減)。売上面では豊富な受注残高があったものの、ファイナルポリシャー(FP)の納入がユーザーの生産調整による投資計画先送りで売上が進まず。地域別では日本が31.11億円(32.0%減)、欧州5.02億円(21.8%減)、そして中国中心のアジア17.89億円(64.7%減)と激減した影響が大きい。新規受注は国、東アジアの次世代パワー半導体向けや高周波デバイス向けグラインダーやファイナルポリシャの受注を獲得し内外でパワーデバイスや高周波通信デバイス向けグラインダーやポリシャーなどの受注獲得で大幅回復。利益面では減収影響が大きく大幅減益を余儀なくされた。

 

25/3期10.4%減収41.3%営利減予想に変更はなく、上期大幅低迷響き回復は下期に

 

 25/3HIでFP販売がユーザーでの生産調整による投資計画の先送り等で売上が大きく減少しも、半導体関連受注残高が241.71億円、とりわけグリーンフィールド向けの受注残高が多く残っている(25/3期売上予想134億円に対し1.8年分)。また工作機械も146.10億円、半年分弱の受注残を確保しており、25/3期会社予想を据え置いた。

 

 期初説明会では部門別売上、営利予想は工作機械事業が売上高316億円(0%増)、営利13億円推定(共通費調整後、3%減)、調整前営利20億円推定(1%減)、半導体関連事業が売上高134億円(28%減)、営利23億円(共通費調整後、52%減)、調整前営利29億円推定(46%減)予想で、現状も変更なしとみられる。半導体関連が売上高134億円(27.9%減)予想は受注残高が豊富も、グリーンフィールド投資が先送りとなっており、売上寄与は25/3H2から26/3期にまたがり、減収減益予想としたとみられる。25/3期受注は総額350億円程度と想定、内訳は工作機械事業が270億円(横ばい)、半導体関連が80億円(38%増)のイメージ。

 

 

 現状、工作機械術受注は工業会実績で一進一退の状況。但し半導体製造装置の設備増強などの動きが強まっており、電気・精密向けは月次でプラスが継続しており、今後、ロータリー研削盤や大型平面研削盤の受注増加が見込まれ、工作機械受注は下期回復が見込める。このため会社想定の売上・受注横ばい予想並みの数字が見込まれる。また半導体関連装置事業受注は、300mmウエハの在庫が24年1月にピークを付けた模様も、本格拡大は25年年明けにずれ込むとみられ、同社受注本格回復も26/3期にずれ込もう。なおSiC向けグラインダー受注増加がみられ、FPの本格回復は後ずれも、25/3H1の45.36億円に対し増加が見込まれ、会社予想受注80億円に対し大きく増額されよう。全体では25/3H1に利益が上ぶれしており、下期も期初計画比利益の上振れが見込まれ、会社計画を若干上回る利益が見込まれる。

 

 なお同社は5/22に三井物産との間で資本業務提携を行い、三井物産が30%を支配、調達資金98億円を技術開発等、次世代機開発、自動倉庫建設、大和工機の半導体関連の生産性向上に向けた投資に振り向けることとなっている。

 

 

中計数値目標として28/3期に売上高690億円、営業利益110億円目指す

 

 中計数値目標を28/3期に売上高690億円、営業利益110億円、配当性向45%、事業別では半導体関連事業が売上高270億円(25/3期予想比2.0倍)、工作機械関連420億円(同33%増)を目指すとした。

 

 半導体事業ではSi半導体に加え、SICウエハ加工プロセスの高度化、化合物パワー半導体(SIC、GAN等)対応機の拡充、難削材ウエハ対応のポリシャー、グラインダーなどを投入、次世代材料向けで100億円程度の売上を見込む。また10/29にSi貫通電極ウエハの超平坦・金属汚染フリー・薄膜化加工のための研削技術の成果発表、装置の特長の解説が行われた。従来コストの問題や歩留まり(良品率)の低さが課題で三次元実装は一部の高機能デバイスでしか実用化されていない。同社のSi貫通電極ウエハ全自動研削装置は、これらの課題を克服し、三次元実装技術の普及を促進する可能性を持つ。具体的な特徴は、①従来方法でSi貫通電極の長さにばらつきが生じやすく歩留まり低下の要因に対し、Siウエハ裏面からSi貫通電極を露出させ研削加工を全自動で行うことでばらつき低減に成功、②従来の研削方法ではSiとCuの同時研削が困難だったが、多くの気孔があり目詰まりしにくい研削砥石を使用し安定的な同時研削を実現、③従来の方法ではウエハ上に残留Cuが残存し、性能低下の原因となっていたが、特殊な洗浄プロセスを用い残留Cu除去に成功などがある。そして本装置の開発により、Si貫通電極形成プロセスの効率化、 従来の方法と比較しSi貫通電極形成プロセスを効率化、接続電極を用いない直接積層が可能となり、半導体回路のさらなる高性能化、三次元実装技術の適用範囲が拡大し、様々なデバイスへの応用が期待される。今後さらなる工程の安定化や特性向上に取り組み、従来のエッチングやCMPを多用した方法に比べて、装置コスト、工程数を低減し、歩留まりを大きく向上できるだけに、次世代HBMや3D半導体の拡大で採用され、年間60億円の売上げを目指すとしている。このように、中計においては既存のSi向けFPについて大きな伸びを見ていないが、現実にはAI半導体の急拡大に伴い、HBM向けSiウエハ需要が急拡大しつつある。また先端GPUでは基板の大型化に伴い1枚当たりのチープ枚数が激減、これもウエハ枚数の拡大をもたらす。このためAIにより改めてグリーンフィールド投資が必要となる可能性があり、結果として同社半導体事業は中計計画を上回る拡大が期待される。

 

 工作機械事業で研削盤はEV関連でリチウムイオン電池製造装置向けの長尺超精密平面加工向け、モーターコア製造用連装金型向けの超精密平面加工向けに大型超精密門形平面研削盤などの拡大が期待される。さらに半導体製造装置・電子部品製造装置向けではセラミックス等の難作材加工向けにせ切削粉除去の注水装置、真空チャック仕様の精密ロータリー研削盤の拡大も見込める。また工作機械事業では岡本工機の歯車事業も生産能力を3割アップ、ファナックのロボットの回復とともに26/3期以降、需要が再拡大しよう。またEV化で歯車の静音化ニーズから、岡本工機の静音性の高い精密歯車へのニーズが高まる可能性がある。このように工作機械事業も平面研削盤を中心に半導体、EV関連向けの拡大、加えて歯車ビジネス拡大で、中計計画の達成が期待される。

 

 26/3期は半導体生産が過去最高を更新する中で半導体関連事業が25/3期の期ずれ分もあり、大幅拡大しよう。また工作機械事業も半導体製造装置向けロータリー研削盤、次世代自動車モーターコア金型向け超精密門型平面研削盤などの拡大、歯車事業の回復が見込まれ、26/3期収益は24/3期収益水準まで回復が見込める。

 

 同社株価は先端半導体関連で上昇し3/7には21年9月高値7200円に迫る6860円まで上昇後、5/14の決算発表で25/3期大幅減益予想が開示され大幅に下落、さらに5/22の三井物産への第三社割り当て増資で株式が希釈化、PBR1以下での割り当てなどの批判も受けさらに株価が下落、8/5には市場暴落の中で高値から半値以下の3105円まで売られ、8/あまり反発できずに推移している。現在、25/3期会社予想EPS401.65円に対しPER9.8倍は東証スタンダード機械平均PER10.9倍に対しほぼ同水準となっている。現在、受注がボトムから回復基調に転じており、25/3期収益は多少利益の上振れが期待され、26/3期はAI半導体需要拡大により受注回復テンポが高まり、新製品群の需要拡大から収益の急回復が見込める。今回、ニデックによる牧野フライスTOBの提案があり、研削盤メーカーもM&A対象になる可能性がある。同社は三井物産への第三者割当増資により、ある面では買収防止策を打った形となったことで、標的にはなりにくくなったとみられる。但し、画期的な製造装置開発、従来はガラス基板の超精密ポリシング装置の納入実績もあり、先端半導体製造装置関連メーカーとして注目度が増し再評価されると判断、三井物産の資本参加で企業体制変革も期待しポジティブ継続としたい。

 

 

 

(H.Mirai)

 

 

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