【MRAI's 12th IMRC 2025】米ReMA会長、リサイクル業界の市場アクセスと貿易政策の重要性を強調

インド・ジャイプルで開催された「MRAI's 12th IMRC 2025」において、Recycled Materials Association(ReMA、旧ISRI)の会長であるロビン・ウィーナー(Robin Wiener)氏が登壇し、リサイクル資源業界の市場アクセスの確保と貿易政策の影響について講演を行った。
ウィーナー氏は、まずReMAの役割とその使命について説明した。同協会は、政府や業界団体との関係構築を通じて、リサイクル資源業界の発展を支援し、環境保全と持続可能な製造サプライチェーンの強化に取り組んでいる。特にインド市場は、米国のリサイクル資源業界にとってカナダ・中国に次ぐ第3位の輸出市場であり、その重要性が改めて強調された。
■ 貿易政策と市場アクセスの重要性
ウィーナー氏は、2025年のReMAの政策優先事項として、市場アクセスの維持と促進を挙げた。米国のリサイクル資源業界は、国内で処理された資源の約30%を世界150カ国以上に輸出しており、自由で公正な貿易が不可欠であると述べた。
特に、2024年の米国大統領選挙の結果、新政権が関税政策を大きく見直す可能性があり、業界に影響を及ぼすことが懸念されている。ウィーナー氏は、トランプ新政権が提案した関税政策について言及し、特に中国・カナダ・メキシコからの輸入品に対する高関税の導入が、リサイクル資源業界に及ぼす影響を分析した。また、リサイクル設備の一部部品が中国からの輸入に依存しているため、関税除外措置の維持が重要であると強調した。
■ バッテリーリサイクルとその他の課題
また、ウィーナー氏はバッテリーリサイクルの重要性にも触れ、特に電気自動車(EV)に使用されるリチウムイオンバッテリーの管理が業界にとって喫緊の課題であると述べた。リチウムイオンバッテリーの適切なリサイクルが進まなければ、火災リスクの増加や資源の有効活用が妨げられる恐れがある。
さらに、欧州連合(EU)が進める廃棄物輸出規制についても言及し、EU域内でのリサイクル資源の循環を促進する政策が、米国の輸出業者にどのような影響を及ぼすかを注視していると述べた。特に銅やアルミニウムのリサイクル資源については、供給量に問題がないことをデータで証明し、輸出規制を回避するための準備を進めていることを明らかにした。
■ 今後の展望
ウィーナー氏は、米国がバーゼル条約に加盟していないことによる電子廃棄物リサイクル貿易の制限についても言及し、インドとの二国間協定の必要性を指摘した。また、プラスチックリサイクルの国際的な枠組みについても議論が進んでおり、今後の米国政府の対応が注目される。
最後に、ウィーナー氏は「自由で公正な市場アクセスの確保こそが、リサイクル資源業界の持続的成長に不可欠である」と述べ、業界関係者と協力しながら政策提言を続けていく姿勢を示した。
MRAI's 12th IMRC 2025では、インド市場の可能性や貿易政策の展望について活発な議論が交わされ、リサイクル資源業界のさらなる発展に向けた方向性が示された。
(IRUNIVERSE Tanamachi&Lin)
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