週刊バッテリートピックス 「トヨタ米中事業強化」「韓国電池3社が業績不振」など
2025年2月3日~2月9日のバッテリー業界では、トヨタ自動車の米中両国での電気自動車(EV)向け電池事業の強化に注目が集まった。アルミニウムイオン電池など新たな電池材料の開発は続くが、米ニコラの経営破綻や韓国電池メーカーの業績不振など、足元の事業が振るわないケースも目立つ。
●MIRU.comは2月18日にべルサール御成門タワー(東京・港)で、「第11回バッテリーサミット」を開催します。
2025年2月18日(火) 第11回BatterySummit in TOKYO | MIRU
<国内>
●INPEX、豪再生可能エネ拡大、畜電池など 太陽電池材料も増産
石油開発大手のINPEXは2月6日、自社ホームページ上で、「折半出資する豪合弁会社が豪州全土で合計1ギガワット超の再生可能エネルギー資産を取得することになった」と発表した。取得資産は風力、太陽光、蓄電池事業により構成されている。
プレスリリース:豪州再生可能エネルギー事業会社における新たなポートフォリオの取得について | INPEX
INPEXを巡っては、千葉県内でのヨウ素の増産を検討しているとも伝わった。ヨウ素はX線造影剤や医薬品、次世代太陽電池などの材料として注目されている。
●アサカ理研、LIBリサイクルを事業化へ
金属リサイクル企業のアサカ理研が2028年までに、EV(電気自動車)用のLIB(リチウムイオン電池)リサイクルの事業化を目指すことが2月5日までに分かった。
関連記事:アサカ理研、EV用のLIBのリサイクル事業商業化へ――30年に年間1万5,000台分リサイクルへ | MIRU
●トヨタ、米中事業を強化 中期営業収益が過去最高
トヨタ自動車は2月5日、自社ホームページ上で「米ノースカロライナ州で整備中の電池工場で4月に車載電池の出荷を開始する」と発表した。さらに、「中国上海市にEVと電池を開発・生産する新会社を設立する」とも発表した。
トヨタの2024年4-12月期連結決算(国際会計基準)で、売上高にあたる営業収益は前年同期比4.9%増の35兆6735億円で、4-12月期として過去最高を更新した。本業のもうけを示す営業利益は13.2%減の3兆6794億円、最終利益は3.9%増の4兆1003億円だった。
プレスリリース:決算内容に加え"アメリカと中国でのBEVや電池の新たな計画"も発表
プレスリリース:トヨタ、米国ノースカロライナ州での車載用電池工場稼働開始 | コーポレート | グローバルニュースルーム | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
●シャープ、4月に住宅用単結晶太陽電池モジュールの新製品を販売へ
シャープは2月4日、自社ホームページ上で、「屋根の形状や大きさなどに合わせて選べる住宅用単結晶太陽電池モジュールの新製品3シリーズ 計8機種を、4月16日から発売する」と発表した。
プレスリリース:住宅用単結晶太陽電池モジュール8機種を発売|ニュースリリース:シャープ
●ZO MOTORS とeMotion Fleetが提携
電動トラックの新興企業であるZO MOTORS(本社:東京・中央)は2月4日、自社ホームページ上で、EVフリート導入サービスのeMotion Fleet(本社:東京・新宿)との間で、1月に教務提携を締結したと発表した。中小企業への商用EV導入と脱炭素化を支援する。
関連記事:EVトラックのZO MOTORS、eMotion Fleetと業務提携 | MIRU
<海外>
●9月にABCとISLC マレーシアで
第21回Asian Battery Conference and Exhibition (ABC,アジアバッテリー会議・展示会) および第9回International Secondary Lead Conference(ISLC, 国際二次鉛会議)が、9月1日からマレーシアのボルネオ島で開催される。MIRUは今回もメディアパートナーを務める。
関連記事:鉛蓄電池とバッテリーリサイクルの国際会議ABCおよびRecycle100 2025年9月マレーシアのボルネオ島にて開催決定 | MIRU
●水素電池燃料トラックの米ニコラ、破産申請へ
水素燃料電池トラックなどを手掛ける米ニコラが米国での破産申請を検討している模様だ。米ブルームバーグ通信が2月7日、「米破産法(チャプター11)の申請を検討している」との消息筋の話を伝えた。
エンジン火災を受けて2023年に大型トラックをリコールし、販売を一時停止したことが業績悪化の発端になったという。
●韓国電池、24年の業績悪化
韓国電池大手3社の2024年12月期決算が2月6日までに出そろった。詳細は以下。
単位は金額は韓国ウォン、増減率は%。▲は赤字。
(各社ホームページなどでの発表をもとにIR Universeが作成)
●北京のチーム、アルミニウムイオン電池の安定化に成功
応用科学などの学会雑誌であるIEEE Spectrumは2月5日、ウェブマガジンで、「北京の研究者のチームが、アルミニウムイオン電池の安定化に成功したと発表した」と伝えた。リチウムイオン電池よりも低コストで製造でき、寿命も長いという。
●インド、電池スクラップの輸入関税撤廃
インド政府は2月1日公表の2025年度(25年4月〜26年3月)の連邦政府予算案で、「コバルト粉末と廃棄物、リチウムイオン電池のスクラップ、鉛、亜鉛、その他12の重要鉱物について、輸入関税を撤廃する」と発表した。
関連記事:インド、コバルト粉末や電池スクラップの輸入関税を撤廃 25年度予算案、製造業拡大へ | MIRU
●インドでIMRC開催
インド材料リサイクル協会(Material Recycling Association of India、MRAI)は1月28日、同国ジャイプールで「国際マテリアルリサイクル会議 (International Material Recycling Conference、IMRC)を開催した。IR Universeも招待された。報告は下記。
関連記事:【MRAI's 12th IMRC 2025 Jaipur】アーカイブ | MIRU
(IR Universe Kure)
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