週刊バッテリートピックス 「電池生産向け機械の増産相次ぐ」「展示会シーズン到来」など
2025年2月17日~2月24日のバッテリー業界では、まず国内で電池生産の工作機械メーカーの増産ニュースが目立った。縁の下の力持ちである機械需要の増加は電池業界全体にとっても明るい話題だ。春のシーズン到来で、国内外で展示会も増えている。MIRU.com開催の「第11回バッテリーサミット」も盛況に終わった。
●MIRU.comは2月18日にべルサール御成門タワー(東京・港)で、「第11回バッテリーサミット」を開催した。報告は以下。
<国内>
●清水市の商業施設、水素燃料電池のシャトルバスが運行開始
(出所:エスパルスドリームプラザHP)
静岡市清水区のエスパルスドリームプラザが、2月23日、「水素燃料電池」を使った無料シャトルバスの運行を始めた。
清水港湾地域における脱炭素化の実現に向けた取り組みの一環として実施されるもので、バスには水素が24キログラム入るタンクが搭載され、満タンで約200キロ走行できる。エスパルスドリームプラザはJリーグチーム「清水エスパルス」の誕生した街、清水にあり、エスパルスの応援拠点となっている。
●京大系太陽電池のエネコート、あいおいニッセイなどから資金調達
京都大学発スタートアップでペロブスカイト型太陽電池の独自技術の開発を手掛けるエネコートテクノロジーズ(本社:京都府久御山町)は2月20日、2024年から続けているシリーズCと呼ぶ成長段階の資金調達を終了したと発表した。資金調達額は累計87億円。
あいおいニッセイやりそなキャピタル(東京・江東)など4社から第三者割当増資の形で資金を調達した。あいおいニッセイとは業務面でも提携する。保険会社との資本・業務提携は同社としては初めて。
プレスリリース:プレスリリース シリーズCラウンド追加資金調達を実施250220_final.pdf
●巻き取り機の皆藤製作所、長崎に新工場
巻き取り機メーカーの皆藤製作所(本社:滋賀県草津市)は2月20日、自社ホームページ上で、「長崎市の新工場が竣工した」と発表した。リチウムイオン電池の生産時に使われる「自動巻き取り機」やコンデンサを生産する。滋賀県内の既存工場では電池需要の拡大などに対処できなくなったため、生産を拡大した。2023年6月に発表した工場概要は以下。
プレスリリース:News-Release_ver0.0_20230606.pdf
●片岡製作所、ペロブスカイト型太陽電池レーザパターニング装置の新工場建設へ
片岡製作所(京都市南区、西則男社長)の片岡宏二社長が2月19日、京都経済記者クラブで記者発表を行い、「ペロブスカイト型太陽電池レーザパターニング装置の量産のため、本社近くに工場を新設する」と発表した。同社のホームページで2月20日に記者会見を行ったとの報告があった。
新工場は京都市南区の本社近くで、総工費は68億円。2029年の完成を目指す。
プレスリリース: 株式会社 片岡製作所
●大平洋金属、ニッケル-銅-コバルト合金を深海サンプルから抽出
フェロニッケルメーカーの大平洋金属(パシフィック・メタルズ、PAMCO)は2月19日、自社ホームページ上で、「カナダ深海鉱物調査会社のザ・メタルズ(The metals company、TMC)との共同実験で、深海で採掘したサンプルから高品位のニッケル-銅-コバルト合金とケイ酸マンガンを生産した」と発表した。これらの物質の商業規模生産は世界初。
関連記事:大平洋金属、深海サンプルからニッケル-銅-コバルト合金を商業規模生産 世界初 | MIRU
●「Smart Energy Week 春2025」開催
RX Japanは2月19-21日に東京ビッグサイトで、「Smart Energy Week 春2025」を開催した。Miru記者による報告は以下。
関連記事:さらに中国系企業が目立つBATTERY JAPAN | MIRU
●堀場製作所、PEM型燃料電池製作時の貴金属塗布測量機の新製品を発売
堀場製作所は2月18日、「PEM型燃料電池や水電解装置の生産過程で、貴金属の塗布量を測定する機械の新製品を2月19日に発売する」と発表した。
新製品名は「XV-100」。燃料電池や水電解装置の生産過程で、貴重性ゆえに徒歩量の管理が求められる白金やイリジウムなどの貴金属触媒について、塗布量をスピーディに測定することができる。
プレスリリース:CCM/MEA触媒塗布モニター「XV-100」を発売 - HORIBA
●「サーキュラーエコノミー最新動向セミナー2025」開催
中部経済産業局は2月17日、名古屋市内で、「サーキュラーエコノミー最新動向セミナー2025~官民で加速するCE移行に向けた取組~」を開催した。
関連記事:「CE最新動向セミナー2025~官民で加速するCE移行に向けた取組~」――中部経済産業局が開催 | MIRU
<海外>
●韓国「インターバッテリー2025」開催へ 3月5-7日
韓国産業通商資源省が主催するバッテリー展示会の「インターバッテリー2025」が3月5-7日、ソウル市で開催される。今年は約640企業・機関が出展する予定。
●中国、新エネルギー貯蔵型の製造業の発展促進に関する草案創出
工業情報化省をはじめとする中国の8政府機関は2月17日、「『新エネルギー貯蔵型の製造業』の発展促進に関する草案をまとめた」と発表した。マグネシウムイオン電池の開発・普及などが含まれる。
関連記事:工業情報化省など8部門:マグネシウムイオン電池などの新システムの電気化学エネルギー貯蔵技術を展望的に開発する | MIRU
プレスリリース:工业和信息化部等八部门关于印发新型储能制造业高质量发展行动方案的通知
(IR Universe Kure)
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