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脱炭素ジャポンのハードル掘り起こす・自然エネ財団国際シンポ盛況

 か細くなりつつある米国トランプ2.0政権の脱炭素政策の撤退に負けじと、自然エネルギー財団が脱炭素国際シンポ「Revision2025」を東京都千代田区のイイノホールで5日開催した。

 

 1,000名収容できるイイノホールの入口に不安そうな財団幹部へどれだけ人数が集まるのか聞いてみたが、登録は既に1000名を超えているが、天候不順でどれだけ集まるかと若干不安げであった。しかし懸念に反して、午後のセッションでは満席に近い人数で席は埋まった。

 

 セッション1では、国谷裕子さんの全体説明のシナリオの中で各登壇者が簡潔なプレゼンや解説を加えて、全体として我が国の脱炭素の大きな課題が浮き彫りにされた。環境省の説明は国の2030年のエネルギー政策での脱炭素は概念説明だけで、絵に描いた餅である事が明確になった。特に最大の課題はどんな主体が我が国の脱炭素を牽引するのかが、全く不透明である事が明確になった。

 

 環境省は自治体を相手に脱炭素事業を呼びかけているが、環境省の提案は産業界に向けたものではない。我が国の環境政策を立案すべき環境省が何故自治体向けに脱炭素事業を希求しているのか?そもそも環境省は何故産業界の脱炭素を経産省と一緒に議論しないのか?

 

 明らかに自治体は困惑しているのではないか?更に問題は具体的な脱炭素目標すら議論されなかった。想像するにセッション1の登壇者は困惑しながら講演したのではないだろうか?

 

 同セッションに登壇した石狩市役所は、風力発電で生産された再生可能エネルギーを他地域に送電するのではなく、石狩市内に電力多消費の新規事業の誘致を目指している。しかし大量の電力を消費するデータセンターの誘致は石狩市民にはどんな意味があるのであろうか?

 

 北海道電力は電力消費量が増えるのである意味売上増加にはなると思うが、どうして地場産業の掘り起こしによる産業活性化の道を模索しないのか?

 

 データセンターの誘致でDX産業を地場産業へ活用を模索すると発言していたが自治体が長年やってきた産業誘致の発想との違いが良く見えない。脱炭素時代の新たなビジネスモデルは全く存在しないのかとの残念な思いに至った。

 

 また、登壇者の中に非常に挑戦的な脱炭素ビジネスを開拓した人物が居た。年金生活者が頼りにしている業務スーパーの創設者の沼田昭二氏だ。地熱発電はこれまで非鉄製錬会社が鉱山発掘技術でやっているビジネスだと勘違いしていた。

 

 沼田氏は地熱発電の大きな課題が開発に15年も要するビジネスで、この課題を解決しないと民間が広く参入出来ないとの発想で、ボーリング機械の開発から自ら行った。その結果ボーリング機械を自走式キャタピラーの上に乗せてボーリング探査時間と探査費用の効率化を目指した。

 

 地熱発電事業は非常に多くのハードルがある。国立公園内では、開発許可や温泉の源泉への影響、蒸気の還元水中の各種元素の存在など多くの課題があり、許認可を売るには相当な時間と費用を要する事など課題を克服する手法として地元との共益を基本姿勢として、地元への利益還元を前提に開発を行ってきた。

 

 日本ではどうして沼田氏の様なベンチャー企業が沢山生まれないのだろうか?ビジネスモデルを創作しないと新たな知恵は生まれない。

 

 筆者は年金生活者であるが、少ないお金で沢山の世界中の美味しい食品で貧乏な市民にも美味しい食品を安価に提供し幸せにすると言うビジネスアイデアが業務スーパーの理念であったのかと、沼田氏の講演に感激した。

 

 更に残念な事は、筆者の属していた会社は地熱発電を初めた会社であるが、どうして沼田氏の様な発想が出なかったのか。自ら反省しきりである。

 

 

【登壇者一覧】

【セッション1】自然エネルギーは地方創生の鍵
加藤 純 石狩市 企画政策部 企業連携推進課 課長
沼田 昭二 町おこしエネルギー 代表取締役会長 兼 社長
大森 恵子 環境省 地域脱炭素推進審議官
諸富 徹 京都大学 大学院経済学研究科 教授
[モデレーター]国谷 裕子 ジャーナリスト

【セッション2】洋上風力発電:加速への条件
ラッセル・ケイト シーメンス・エナジー 代表取締役社長 / シーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジー  代表取締役社長
山田 正人 MHIべスタスジャパン 代表取締役社長
原田 文代 日本政策投資銀行 常務執行役員
横山 勉 日本郵船 執行役員 グリーンビジネスグループ長
レベッカ・ウィリアムズ 世界風力エネルギー会議(GWEC) 副CEO
[モデレーター]大林 ミカ 自然エネルギー財団 政策局長

【セッション3】産業脱炭素化の牽引力に:鉄鋼のグリーン市場を創る
ユリア・メッツ アゴラ・インダストリー ディレクター
サミーン・カーン クライメート・グループ 鉄鋼部門 シニアマネージャー
堂野前 等 日本製鉄 環境政策企画部 部長代理
髙木 健二 東京製鐵 営業本部 建材部長
西田 裕子 自然エネルギー財団 シニアマネージャー(気候変動)
[モデレーター]高瀬 香絵 自然エネルギー財団 シニアマネージャー(気候変動)

 

 

(IRUNIVERSE Katagiri)

 

 

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