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東京製鐵 2025年4月契約売出 酸洗コイルなどで6カ月ぶりの値下げ

 東京製鐵は17日、2025年4月契約の鋼材販売価格について、酸洗コイルなど一部アイテムで6カ月ぶりとなる値下げを発表した。値下げ幅は酸洗コイルが5000円。ホットコイルや縞コイル、溶融亜鉛メッキコイル、熱延鋼板、縞鋼板、酸洗鋼板、異形棒鋼が3000円で、そのほかは据え置きとなった。

 

 同社曰く、「輸入鋼材の影響やマーケットの実態を考慮」して、価格の改定に踏み切ったという。酸洗コイルの下げ幅が大きいのは輸入鋼材の流入がホットコイルなどと比べ多いほか、受注や引き合いの低迷度合いも多少影響しているとみられる。

 

 生産予定については3月全体で23万5000トン(前月予定比から横ばい)、H形鋼が7万トン(5000トン減)、ホットコイルは10万5000トン(横ばい)[内、輸出は2万トン(横ばい)]、厚板4万5000トン(5000トン増)。なお、横ばい状況となっていた輸出環境については今回の発表から原則非公開となった。各国、各地域によって状況が大きく異なってきたことが理由で、必要に応じて公開する方針だ。

 

 物件価格や在庫販売価格については異形棒鋼のみ3000円の値下げ。H形鋼が12万円、異形棒鋼が8万7000円、厚板が10万3,000円(建値と同額)。3月17日(月)午後より販売開始した。

 

 

東京製鐵の基調コメントは以下の通り。

――――

 海外マーケットはアメリカに端を発する関税政策への応酬により、今後の世界経済への悪影響や米国のリセッション(景気後退)を懸念する見方が台頭しており、足元の米国国内の鉄鋼関連指標は上昇が続いているものの、国際的には方向性の定まらない環境が継続している。特にアジア地域では中国材の締め出し姿勢は非常に強く、国際市況の改善には中国政府による強い鉄鋼需要喚起策と鉄鋼減産への具体策によるところが大きいため、先行きの見極めにはしばらく時間を要すると思われる。引き続き、世界全体や中国の経済、金融政策の変化と鉄鋼需給の統制について慎重に注視していく。

 

 国内マーケットは、全国的な建設需要の低迷から鋼材市況は軟調に推移しており、足元は荷動きの回復に時間を要しているが、新年度以降の鉄骨用材料の納期問い合わせは多く、様子見となっていた設備投資案件の動きが出てきている。具体的には、これまで低調だった物流倉庫やデータセンターの他に、製造拠点の着工計画もより聞かれるようになっている。そのため、鋼材の荷動き増加と市中在庫のバランス改善に伴う収益確保に向けた需要の回復が期待されるところ。しかしながら、RC造(鉄筋コンクリート造)においては、その他諸資材の値上げも影響し、新規着工が著しく減少しているため、異形棒鋼の市況の下落傾向がより顕著となっている。

 

 鋼板品種は、米国による関税負荷の影響により鉄鋼製品のみならず各種産業の輸出環境が定まらない状況にあり、国内需要も未だ力強さを欠いていることから、全国的に鋼材商況の回復時期は年初の想定よりも先送りとなっている。物価高や人手不足により製造業の供給能力に制限が残るなかで、各産業においては状況持ち直しのきっかけが待たれている。

 

 以上のような状況のもと、足元の輸入鋼材は、為替の円高傾向も加わり値下げの動きとなっているため、国内市況への影響が懸念される。よって、国内外の鉄鋼関連状況と品種ごとのマーケット実態を熟慮した結果、早急な対応が必要な状況と判断し、酸洗コイルや異形棒鋼などの値下げを決めた。引き続き、需要に合った生産を継続し、市況の継続に努めていく。

 

 

 また、小松﨑裕司取締役常務執行役員営業本部長は上記のコメントに補足する形で、以下のように見解を示した。

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 海外市場においてはアメリカの相場上昇が顕著な状況にあり、アジア圏の2倍となっているケースもある。アジア圏の中心的存在の中国は全人代が終わったが、今後の鉄鋼需給を一層注視していかなければならない。足元では、2月下旬の粗鋼生産もかなり高かった。そのような状況下で東アジアやインドで関税措置の動きが加速化しており、鋼材の流入という形での日本市場への影響が懸念される。

 

 国内については、荷動きと商況ともに回復に時間を要していると感じている。ただ、市中在庫は継続して適正基準にあると認識しているほか、設備投資案件を主として市場に動きが出てくると予想している。新年度以降の需給バランス改善に伴う市況の持ち直しを期待している。

 

 薄板品種は世界の保護主義的な動きの中で、日本への影響が懸念されることから、当社としては輸入材への対応を目的に、為替が円高に振れているタイミングで販売価格の改定の判断をした。今回の改定で底入れを図っていきたい。異形棒鋼については、当社の販売エリアである関西以西の市中実勢も反映した結果となる。

 

 鉄スクラップは海外市場で上昇基調にあり、為替は円高ながらドルベースでの値上がり気配が強い。一方で、国内の鉄鋼メーカーの需要環境の変化には至っておらず、今後どう波及していくかは様子見の状態。海外の上昇傾向はそれほど長続きしない可能性もある。

――――

 

 

2025年4月契約の品種別販売価格(O/T NET ベース価格、トン当たり円)は以下の通り。

 

H形鋼及び形鋼:2023年4月契約において3,000円の値上げ後、1年5か月連続で、価格据置としたが、2024年10月契約にて1万2,000円値下げ。

H形鋼=11万5,000円(2024年10月契約にて1万2,000円値下げ。)

縞H形鋼=12万5,000円(2024年10月契約にて1万2,000円値下げ。)

I形鋼=11万6,000円(2024年10月契約にて1万2,000円値下げ。)

溝形鋼=11万1,000円(2024年10月契約にて1万2,000円値下げ。)

 

角形鋼管(コラム):2022年9月契約において5,000円値下げ後、2年連続で、価格据置としたが、2024年10月契約において、更に1万円の値下げ。

角形鋼管=11万8,000円(2024年10月契約にて1万円値下げ。)

 

U形鋼矢板:2023年4月契約にて3,000値上げ後、1年と5カ月連続で、価格据置としたが、2024年10月契約において、1万2,000円値下げ。

U形鋼矢板=12万7,000円(2024年10月契約にて1万2,000円値下げ。)

 

異形棒鋼:2024年10月契約において、1万円の値下げ。以降は5カ月連続で横ばいとなり、今回(2025年4月契約)は3000円の値下げ。

異形棒鋼=8万5000円(2025年4月契約にて3000円値下げ。)

 

厚板:2023年7月契約にて1万円下げ後、1年と2か月連続で価格据置とした が、2024年10月契約において、更に1万5,000円の値下げ。

厚板=10万3,000円(2024年10月契約にて1万5,000円値下げ。)

 

コイル類4品種:2024年10月契約で1万5,000円の値下げ。以降は5カ月連続で横ばいとなり、今回(2025年4月契約)は酸洗コイル5000円、他は3000円の値下げ。

ホットコイル=8万9000円(2024年10月契約で1万5,000円の値下げし、2025年4月契約にて3000円値下げ。)

縞コイル=9万2000円(2024年10月契約で1万5,000円の値下げし、2025年4月契約にて3000円値下げ。)

酸洗コイル=9万5,000円(2024年10月契約で1万5,000円の値下げし、2025年4月契約にて5000円値下げ。)

溶融亜鉛めっきコイル=12万1,000円(2024年10月契約で1万5,000円値下げし、2025年4月契約にて3000円値下げ。)

 

以下カットシート類(2024年10月契約で1万5,000円の値下げ。以降は5カ月連続で横ばいとなり、今回(2025年4月契約)は3000円の値下げ)

熱延鋼板=9万4,000円(2024年10月契約で1万5,000円の値下げし、2025年4月契約にて3000円値下げ。)

縞鋼板=9万7,000円(2024年10月契約で1万5,000円の値下げし、2025年4月契約にて3000円値下げ。)

酸洗鋼板=10万4,000円(2024年10月契約で1万5,000円の値下げし、2025年4月契約にて3000円値下げ。)

 

[申込締切日:2025年3月19 日(水)12時まで]

 

 

(IRuniverse K.Kuribara)

 

 

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