三井金属は1日、東京大学発のスタートアップ企業 Gaianixxと提携すると発表した。同社が開発した多能性中間膜・スピンコート成膜技術と、三井金属の新溶液材料「iconosTM」を組み合わせて実現したスピンコート法によるニオブ酸リチウム(LN)とタンタル酸リチウム(LT)薄膜の単結晶化の事業化を目指す。携帯電話や無線通信機器の高周波の信号処理に使われる次世代のSAW(surface acoustic wave:表面弾性波)デバイスなどでの利用が見込まれる技術で、26年の実用化を目標にするという。
強誘電性を持つLN/LTは、主に通信端末に搭載されるSAWデバイスへの応用が期待されている。SAWデバイスでは現在、バルク単結晶を基板に貼り付ける手法が主に用いられているが、今回両社で実現したスピンコート法によるLN/LT薄膜形成技術は、バルク単結晶の加工が不要で、大量生産に適したLN/LTウェハ製造プロセスと大口径化を可能にするという。環境負荷の低減にも貢献できるとしている