インドネシア、4月半ばに鉱業ロイヤルティを引き上げか 外電、NPI価格に影響の恐れ
インドネシア政府は4月半ばにも、鉱業企業から徴収するロイヤルティ(使用料)を引き上げる。鉱業専門メディアのmining.comは4月9日、同国のバーリル・ラハダリア鉱業相が同日、「石炭、ニッケル、銅、金、錫などのロイヤルティ引き上げは4月第2週に発効する」と話したと伝えた。特にニッケルに関し国際価格にも影響する恐れがある。
■ニッケル鉱石のロイヤルティ、10%→最大19%に
報道によると、インドネシアはニッケル鉱石、ニッケルマット、フェロニッケルに累進税率を導入するなどして、金属製品のロイヤルティを引き上げる計画だ。例えばニッケル鉱石は、ロイヤルティ基準率を現在の10%から14%-19%に引き上げるという。
インドネシアは言うまでもなく世界最大のニッケル埋蔵国で、鉱石生産量も世界の3割を握る。今回の措置は鉱業業界のガバナンス向上のためとされる。
ニッケル埋蔵量の世界分布
(出所:JOGMEC)
インドネシアは国内加工業の育成を目指し、2020年からニッケル鉱石の輸出を禁止した。それまでインドネシア産ニッケル鉱石は中国向けに輸出され、中国で加工するサプライチェーン(供給網)が出来上がっていた。鉱石の輸出禁止後は中国企業がインドネシアに進出し、インドネシア内で加工するケースが増えている。このため、中国のニッケル業界ではインドネシアのニッケル政策への関心は強く、特に2024年に入ってからは銑鉄(NPI)価格の変動要因にもなっていた。
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中国のNPI価格は、4月11日時点ではまだ鉱業相の発言を受けた動きはみられない。ただ、4月14日以降にロイヤルティ引き上げが実施された場合、NPIの波乱要因になってくる可能性は残る。
過去3ヶ月間のニッケル銑鉄価格の推移(NPI content 10-15% China)(RMB/Nickel/MTU)
■石炭は国際価格高騰時に限定か
今回の措置では、石炭についてはロイヤルティ率を1ポイント引き上げて最大13.5%にすると伝わった。ただそれは、石炭の国際価格が1トンあたり90ドルに達した場合に限るという。
(IR Universe Kure)
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