AGC 国内初、太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクル実用化開始
AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)は、4月25日、太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクル において、国内初となるハイブリッド方式での実用化を開始した。今回の取り組みでは、加熱ナイフによる分離方式に、 株式会社浜田(本社:大阪府高槻市)の高圧水噴射技術を組み合わせることで、板ガラス向けの 水平リサイクル*1 を実現したと発表した。
加熱ナイフ方式により分離した太陽光パネルのカバーガラス表面
太陽光パネルの耐用年数は 20~30 年とされており、2030 年代後半には国内で年間数十万トンにのぼる廃棄が見 込まれている。このような状況下で、太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクルは重要な課題となっている。しかし、板ガラス向けのカレット(ガラス端材)は品質要件が厳しく、これまでに実用性が確認されたカバーガラスの分離方式は、 加熱処理方式*2 に限られていた。適用が困難とされていたもののうち、加熱ナイフ方式については、ガラス表面の残存接着部材が問題となっていた。
今回、加熱ナイフ方式に浜田社の高圧水噴射技術を組み合わせて、残存する接着部材を完全に除去することで、精製されたカレットの品質基準が板ガラス原料として活用可能であると確認されたという。
このカレット約 10 トンを原料の一部として、2025 年 4 月にAGC横浜テクニカルセンターにおいて建築用型板ガラスを製造。これにより、すでに実用化されている加熱処理方式に加えて、新たな太陽光パネルカバーガラスの水平リサイクル方式が確立された。今後は、より多くの太陽光パネルカバーガラスの板ガラス向けリサイクルを推進し、2030 年までに年間数千トンのリサイクル体制を構築する。
AGCグループの中期経営計画 AGC plus-2026 では、当グループが提供する3つの社会的価値を示しており、このうち “Blue Planet” では、資源の有効利用を重要機会ととらえ、ガラスの水平リサイクル拡大を通じて持続可能社会実現に貢献する。
*1 使用済み製品を原料として、再び同じ種類の製品を製造するリサイクル方法。これにより、資源の長期循環が可能
*2 太陽光パネルからカバーガラスを熱により分離する技術
(IR universe rr)
関連記事
- 2025/04/30 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム詳報4〜キヤノン、トヨタ
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU使用済自動車規則案:揉めるプラスチック再生材含有ターゲットの行方は?」
- 2025/04/30 第5回サーキュラーエコノミーシンポジウム詳報3〜金城産業、ベステラ、Rジャパン
- 2025/04/30 第5回CEシンポジウム in NAGOYA講演詳報1 ――中部経産局、栗田、ケミカルリサイクル
- 2025/04/30 【貿易統計/日本】 2025年3月の廃プラスチック輸出入統計
- 2025/04/30 欧州からの風:2025 April「EU、AIを駆使し域内電池推進へあらたなテコ入れ」
- 2025/04/28 半導体・電子部品工場におけるサーキュラーエコノミー最前線!現場目線からのサーキュラー戦略提案
- 2025/04/28 脱炭素の部屋#216 欧州が考えていること・日本が考えるべきこと
- 2025/04/28 6.25自動車リサイクルサミットⅣ in 東京 様変わりした中古車・廃車市場の今
- 2025/04/27 積水化学 環境・ライフラインカンパニー製品の LCA データ提示開始