スウェーデンの国営鉱山会社LKABは1月13日、ストックホルムの北1,000kmに位置するキルナ地域の鉄鉱山の近郊において100万トンを超えるレアアースを確認したと発表した。この種の鉱山では欧州最大規模。これまで欧州ではレアアースが採掘されていなかったことから、欧州諸国では、中国にレアアースを頼らずに済むかもしれないという希望的観測を込めたニュースがあふれている。
レアアースが確認されたPer Geijer鉱床の鳥瞰図と平面図
今回レアアースが確認されたPer Geijer鉱床は、主に鉄鉱石の副産物であるアパタイト鉱石として産出され、その中には、LKABが現在キルナ地域で採掘している鉱体の最大7倍グレードのリンも含有している。
LKABによると、最初のステップは、Per Geijer鉱床の開発申請で、これに合わせ同社では、既存のキルナ鉱山の深さ約700メートルでの調査を可能にするために、新しい鉱床に向けて数キロメートルの長さの坑道の準備をすでに開始。また、地上では、キルナから340km南に位置する港湾都市ルレオで、レアアースやリン、フッ素の抽出と処理技術を備えた工業団地の建設を計画しているという。
しかし、これらの準備に環境アセス関連の申請を含めると、採掘した鉱石を市場に届けるまでには、10~15年かかる見通しで、レアアース生産までの道のりは長そうだ。
このような現状を危惧し、KLABのJan Moström社長は、資源安全保障の観点から、欧州委員会に対し原材料法の緩和を求めている。
(IRUNIVERSE ISHIKAWA)