大同メタルは、欧州で開発中の洋上風力発電機向けに主軸受供給契約を締結した。これに伴い、同社は、 2023年4月、欧米市場に洋上風力発電機用軸受を供給することを目的とした新工場の建設基礎工事を開始。新工場にかかる設備投資額は総額 60億円を予定している。
風力発電機用軸受(出所:大同メタル工業)
新工場は、同社連結子会社の大同メタルチェコ(以下、DMC)敷地内にて2023年4月に着工しており、2025年に生産を開始する予定で、数百基の発電機用軸受の生産能力の確保、ならびに将来的な需要拡大にも対応していく。(建屋面積:約1万平方メート ル)
DMCでは、欧州の主要自動車メーカーや自動車部品サプライヤー向けにすべり軸受の生産や材料開発を行っているが、今後さらに、洋上風力発電機の主軸受評価試験やギアボックス軸受材料の基礎研究を行っていく。
洋上風力発電機用主軸受は、動荷重機械の標準技術であり、騒音、振動を大幅に改善し、衝撃吸収性が向上することによって風力発電機自体の寿命を改善する。また、各パーツに分解できるため、軸受の交換はブレードを取り外すことなく風車ナセル内で交換が可能。大型船舶や大型クレーンが必要なく、交換時間や発電中断期間、交換コストの削減に貢献する。
すべり軸受(出所:大同メタル工業)
なお、洋上風力発電機用主軸受である「すべり軸受」は、軸とすべり軸受の間に形成される油膜を介して荷重を支持するように設計されている流体潤滑用軸受だ。軸受表面にPEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)複合材を用いており、水力発電向けで25年、蒸気・ガスタービン向けで10年以上の使用実績がある。
(IRuniverse rr)