
自動車の認証試験で不正をしていた問題で、ダイハツ工業は21日、自動車を組み立てる国内の全工場の稼働を26日までに全面的に停止することを明らかにした。再開の時期は未定としており、生産停止は長期化する可能性もある。
ダイハツでは、すでに発注している部品分は生産を続けるが、その後は順次、生産を停止する。京都府大山崎町と滋賀県竜王町、大分県中津市の3工場は25日に、大阪府池田市の本社工場は26日に、それぞれ休止する。エンジンを製造する福岡県久留米市の工場も22日から止める。
ダイハツが現在受注している6万台のうち、完成していない1万2000台は納車を取りやめる。完成済みの4万8000台は顧客が希望すれば納入する。
このダイハツショックは当然のことながら取引先の部品メーカー、そしてアルミや鉄鋼、銅、樹脂などといった素材メーカーにも影響は及ぶことになる。
ダイハツが直接、自動車部品を仕入れている国内企業は423社。下請けまで含めると8000社以上になる。
とりわけ、自動車のエンジンブロック向けにADC12などを供給するアルミ合金業界でも影響は甚大かつ深刻。最大手の大紀アルミは滋賀工場で生産している溶湯アルミ(ADC12)のほとんどをダイハツの滋賀工場に供給していることから一気にその供給分を失うことになる。他社でもダイハツ向けで直接、間接的に納めている分まで含めると「月間でのアルミ合金需要喪失量は数千トン単位に及ぶのではないか?」(大手アルミ合金メーカー)と危惧している。さらに、アルミ合金メーカーへ供給されるアルミスクラップも等しく需要を失うことになり、アルミスクラップ業界へもマイナス影響は及ぶ。
ダイハツでも生産再開時期は未定、としているため、場合によっては半年、あるいは1年と延びる可能性もささやかれている。今年はようやく自動車生産が回復し、アルミ合金需要も軌道にのってきた時だっただけに、このダイハツショックはアルミ合金業界のみならず、あらゆる素材メーカーにとって痛く、重いものになる。
(IRUNIVERSE/YT)