アフリカの資源国であるナイジェリアが、海外からの投資条件の厳格化を検討している模様だ。ロイター通信をはじめとする外電が3月28日、同国が鉱業分野の外資受け入れについて「鉱物を現地で処理する計画を提示する企業にのみ採掘ライセンスを付与する」ことを検討していると伝えた。長年甘んじてきた単純な原材料輸出国からの転換を目指す。
(ナイジェリア政府ホームページより)
■「アメとムチ」で外資誘致
報道によると、これはナイジェリアが作成中の新ガイドラインについて同国のスポークスマンが語った内容。同国の政府ウェブサイト上ではまだ発表されていない。
このスポークスマンは、外資誘致について「採掘機器の輸入を免税にしたり、発電ライセンスの取得を簡便化したりするなどの優遇措置を採る」と説明。しかし、それと引き換えに「工場の設立計画と、雇用創出などナイジェリア経済に対する付加価値付与を明確化する」ことを要求するとした。
■タンタルは世界の16%を生産
ナイジェリアは石油資源に恵まれ、石油産出で世界12位の産油国。経済構造もかつては実質国内総生産(GDP)の4割を石油に依存した。鉱物資源も豊富だが、インフラの整備が追い付かず生かし切れていないのが現状だ。それでも、JOGMECが公開する2020年のMining Indada報告書によると、例えばタンタルでは同国は世界の産量の16%を占めるとされる。
ロイターによれば、中国やインド、カナダ系の資本がすでに同国に進出。中国とマレーシア向けに鉄鉱石を輸出している。
■「原材料輸出で終わりたくない」
脱炭素の流れで石油・石炭から鉱物由来のエネルギーに注目が集まる中、鉱物資源の保有国の間では、これを機に経済構造を転換し、単純な原材料輸出で終わるまいとする機運が強まっている。代表的なのがインドネシアで、世界第一のニッケル埋蔵量を武器に、電池から電気自動車(EV)完成車までの生産システムの設立を目指す。ニッケル精鉱の輸出を禁止したのはこの流れだ。サウジアラビアも原油依存の経済構造から、鉱業を含めた産業多角化を目指す。
一方、アフリカではコンゴ民主主義共和国が鉱業採掘から物流まで中国勢に取り囲まれた形になっている。ナイジェリアはアフリカでは経済強国に入る。コンゴなどの現状を横目に、資源輸出で終わることへの危機感を募らせたとしても不思議ではない。
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(IR Universe Kure)