北米のバッテリー企業の明暗が分かれている。中国エンビジョン傘下のAESC(神奈川県、旧エンビジョンAESC)は3月26日、米国のリチウムイオンバッテリー工場を拡大すると発表した。一方で同じ日、カナダの電池資源回収Li-Cycleは全世界の従業員の約17%にあたる約60名を削減すると発表し、違いが浮き彫りになっている
■AESC、2度目の追加投資でBMW向け電池を生産へ
AESCは米サウスカロライナ州フローレンスでの工場に15億ドルを追加投資する。これにより、総投資額は31億2000万ドルに増え、従業員も1080人追加雇用する。
同社はこの工場の建設計画を2022年12月に発表した。2023年にも追加投資を発表し、今回の追加投資は2度目になる。工場の操業開始は2027年の予定。工場では、提携先であるドイツ自動車大手のBMWが同州スパータンバーグ工場で生産する次世代EVに向けたバッテリーセルなどを手掛ける予定だ。
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■Li-Cycle、経営陣も刷新
プレスリリース(英語): Li-Cycle Provides Organizational Structure Update - Li-Cycle
一方、Li-Cycleは人員削減に関連し、合計約830万ドルの費用が発生するとの見積もりを発表した。費用の内訳は今後12か月間の現金退職金で、その後は年間約1,000万ドルの人件費と福利厚生費の削減を見込む。
同社はスイスの資源大手グレンコアから資金を調達。グレンコアと協力の上でイタリアでのリサイクルハブ設置を計画するなど欧州事業も手掛けるが、当地の政府の反対で難航するなどうまくいっていない。リストラに伴い、経営陣の刷新も発表した。
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今を時めくEV向けバッテリー産業。自動車向け大手向けの単純なバッテリー生産とリサイクルの違いはあるものの、やはり必ずしもうまくいくわけではない。舵取りはやはり難しいようだ。
(IR Universe Kure)