車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の福建省の工場で、9月29日昼に火災が起きた。会社側によるとこの火災による死傷者はなく、会社の経営への影響も軽微だ。しかし、巨大企業の工場での火災だけに影響を警戒する声もある。
■被害は軽微、操業に影響せず
CATLは株主とのチャットプラットフォームで株主の質問に答える形で回答した。それによると、火災は寧徳市の寧徳基地東橋エリアで発生し、原因は調査中。被害を受けた製品が少ないため、同社の操業には影響しないとした。
(チャットプラットフォームよりCATL社公式開頭)
■安全強調のイメージに傷
ただ、世界最大手の火災を巡り報道も広がっている。
9月30日のAFP通信は火災について、「緊急部隊が派遣されて消火活動を行い、1万5000平方メートルの工場にいた従業員らが一時避難した」と報道。別の報道では、10月1日の国慶節の連休前で従業員数は少なかったとの指摘があった。AFP通信は、「この工場で何が生産されていたかは不明だ」と伝えた。
一方、中国の騰訊網は同日、「火元はバッテリーの生産過程の1つである高温静止室」とのオンライン上の話を伝えた。火災が発生した工場は2022年に操業を開始したばかりで、米テスラの「model3」などに電池を供給していたという。
同じく中国の鳳凰網は「工場は世界でも最先端の工場で、CATLは安全性に気を配ってもいただけに火災発生は意外だ」と指摘。「自然発火が原因かもしれない」との見解を示した。
CATLは世界の車載電池の3分の1ほどを生産するが、最近の電気自動車(EV)販売の失速を受けて工場稼働率は6割程度に落としていた。このため、被災部分を建て直しても生産に影響は及ばないとみられるが、「安全性を強調してきたCATLのイメージには傷が付く」(騰訊網)との見方が出ている。
(IR Universe Kure)