2025年1月30日、日本の財務省貿易統計の2024年12月分の確報値が発表された。それにより2024年の年間中古車輸出台数は157万台であることが判明した。前年の2023年に過去最多の154万台を記録したが、2024年はこの記録を更新したことになる。中古車輸出台数は、輸出抹消登録と軽自動車輸出届出の統計を用いても示すことができるが、この統計においても過去最多を記録している。
図1は、貿易統計で中古車輸出台数が集計できるようになった2001年からの中古車輸出台数の推移である。これにより2024年が過去最多であることは確認できる。この図では、中古車輸出台数を仕向地域別に示している。図ではわかりにくいが、2010年から2018年まではアジアが最大の仕向地だったが、2019年から2023年まではアフリカに置き換わっている。これに対して、2024年はアジアがアフリカを上回り、最大の仕向地に返り咲いている。
図 1 日本の中古車輸出台数の推移(仕向地域別)
出典:財務省貿易統計より集計
アジアの躍進をけん引したのが、モンゴルである。図2は2024年の仕向先の上位20か国の中古車輸出台数を示したものである。モンゴルはニュージーランドを抜き、3番目の仕向先国となっている。モンゴルに続くアジア諸国は、タイ、フィリピン、パキスタン、マレーシア、ミャンマー、バングラデシュである。
全体では、アラブ首長国連邦が最大の仕向地である。同国向けは2016年から2020年まで最大であったが、2021年から2023年の3年間はロシアに抜かれて2位となっていた。それが2024年に返り咲いたということになる。ロシアは2023年8月に輸出規制が強化されたにもかかわらず、その影響を感じさせず、依然として主要の仕向地である。全体におけるシェアはアラブ首長国連邦、ロシア、モンゴルで14%、13%、7%である。
図 2 2024年の主要仕向地別中古車輸出台数
出典:財務省貿易統計より集計
注:2024年の中古車輸出台数の仕向先上位20か国
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阿部新(Arata Abe)
山口大学 国際総合科学部・教授
2006年一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。
同大学研究補助員を経て、2008年より山口大学教育学部・准教授
2020年より同大学国際総合科学部・教授