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週刊バッテリートピックス「東芝がニオブ電池商用開始」「米中レアアース交渉」など

2025/06/08 16:21

 2025年6月2日~6月8日のバッテリー業界では、Miruセミナーでも発表があった東芝のニオブ由来電池の商用が始まったことが注目を集めた。万博の「食べられる電池」など新技術の発表も続く。電気自動車(EV)向け電池材料であるレアアースを巡る米中の交渉は予断を許さず、世界が緊張して見守った。

 

<国内>

■万博に「食べられる電池」登場 スイスの大学が研究

 

 

 大阪・関西万博のスイスパビリオンは6月6日、「食べられる電池」を披露した。デコレーションケーキに、チョコレートと活性炭や海苔などの原料から作られた「チョコレート電池」を配置し、LED電池製の「ろうそくの火」をともした。

 同国では、かねてスイス連邦工科大学ローザンヌ(EPFL)などが「食べられる機械」を研究。パフ状のライスクラッカー、ゼラチン、ひよこ豆、金箔といった素材を用いた「食べられるロボット」や、ライスクラッカーの翼を持つドローン、コンニャクで作られた柔らかなロボットの手、ビタミンや植物由来素材の電子回路や充電式バッテリーの開発を進めている。

 

チョコレート電池

(出所:2件ともにEPFLホームページより)

 

 

■商船三井、固体酸化物型燃料電池を搭載したLNG船を設計へ 韓国サムスンと

 

 

 商船三井は6月4日、自社ホームページ上で、「固体酸化物型燃料電池を搭載したLNG燃料戦の設計認可を、韓国造船のサムスン重工業と共同取得した」と発表した。

 認可は英国のロイド船級協会が発行した。同社はこれにより、2027年に竣工予定の貨物槽容積17.4万立方メートルLNG運搬船に、通常の発電機に加えてブルームエナジー製の300kWの固体酸化物型燃料電池を搭載・運用する。

 

プレスリリース:GHG排出量の大幅削減につながる固体酸化物型燃料電池(SOFC)をLNG船へ搭載 ~サムスン重工業とSOFC搭載 LNG船の設計基本承認(AiP)を取得~ | 商船三井

 

■東芝、ニオブ由来のリチウムイオン電池の製造開始

 

 

 東芝は6月4日、自社ホームページ上で、「ニオブチタン酸化物(NTO)を負極に用いたリチウムイオン電池「SCiB Nb」の製造を始め、有償サンプルの提供も開始する」と発表した。NTOを負極に用いたリチウムイオン電池の販売は世界初。

 

プレスリリース: ニオブチタン酸化物を用いたリチウムイオン電池「SCiB™Nb」のサンプル提供開始について | ニュース | 東芝

関連記事: 第11回バッテリーサミット報告①CBMMのDr. Marc Meads、東芝の稲垣浩貴氏 | MIRU

 

■BYD日本法人、中古車の電池残量を保証

 中国EV大手BYDの日本法人は6月2日、自社ホームページ上で、「6月1日から認定中古車を対象に、電池残量を保証する」と発表した。最初の登録から10年間または走行距離30万キロメートルに達するまでに電池残量が70%を下回った場中古車を対象に、無償で電池の交換をする。新車も2025年4月の登録分から同様の保証の対象とする。

 

プレスリリース: 2025.06.02 BYD認定中古車の保証制度をさらに強化。国内業界トップクラスのバッテリー保証制度を確立 | BYD Auto Japan株式会社

 

■三菱HGキャピタル、EVデータ活用のMobiSaviと提携

 三菱HCキャピタルは6月2日、「EVデータ活用事業を運営するMobiSaviとの業務提携契約を同日に締結した」と発表した。EVの普及と適切な資源循環の実現をめざす。

 

関連記事:三菱HCキャピタル、EVデータ活用事業のMobiSaviと業務提携 | MIRU

 

■東京理科大、太陽電池を応用した光電子デバイスを開発

 東京理科大学は6月2日、ホームページ上で、「同大 先進工学部の研究グループが、色素増感型太陽電池を応用した新しい光電子デバイスの開発に成功した」と発表した。自動運転、監視システム、スマート農業などに不可欠な、次世代マシンビジョン技術の飛躍的な発展につながると期待できる。

 

プレスリリース: 目と脳を模倣した、色を識別する次世代光電子シナプス素子の開発~省電力・自己給電型の次世代マシンビジョンシステムの実現へ~|東京理科大学

 

<海外>

■米中レアアース協議に世界が注目、車載電池材料

 自動車向け電池の材料となるレアアースを巡る米中交渉が世界的に注目を集めている。トランプ米大統領と中国の習近平国家が6月5日に電話会談した。6月9日には両国の閣僚級会議が行われるとされる。

 これに先立ち、中国は米国の一部自動車メーカーを最終使用者とするサプライヤーに向け、6月2日にレアアースの輸出認可を出したと伝わった。足元では、スズキなど西側諸国の自動車生産への材料不足の影響が出始めていた。

 

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■中国CATL、日系と相次ぎ提携

 6月4日の日本経済新聞朝刊は「CATLが5月30日に、日産自動車の中国合弁である東風日産乗用車に車載電池を供給することを決めた」と伝えた。同じく6月4日の日刊自動車新聞は、「ダイハツ工業がCATLと軽乗用EVを開発し、早ければ2026年にも日本で販売する」と伝えた。

 

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(IR Universe Kure)

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