中国税関総署が9月19日に発表した8月の貿易統計月報によると、同国の8月のレアアース製品の輸出量は前年同月比19.6%増の1万3128トンで、増加率は7月の14.5%増から改善した。磁石向けレアアースは過去10年以上で最大規模に増加したとの報道もあり、中国のレアアース輸出規制は実質的に緩和され始めている可能性がある。
■磁石輸出、2012年前半以来で単月最大に
レアアース鉱石の輸出量も8月に前年同月比22.6%増の5792トンと、増加率は7月の21.6％から拡大した。中国は8月に5021トンのレアアース鉱石を輸入した。輸入量は前年同月比で54.8%減った。
プレスリリース:（13）2025年8月出口主要商品量值表（美元值）
プレスリリース:（14）2025年8月进口主要商品量值表（美元值）
一方、米ブルームバーグ通信は9月19日、「税関当局が公表した統計に基づきブルームバーグが算出したところ、消費財や戦闘機に使われる高性能磁石を含むレアアース製品の輸出量は8月に7338トンと、2012年前半以降で単月では最大となった」と伝えた。中国は4月からレアアースを輸出制限の対象に加えているが、軽希土類を中心に輸出が戻ってきている。
■米議員、「レアアース輸出規制に対抗して中国航空機の発着制限を」
もっとも、米中対立はくすぶる。ロイター通信は9月19日、米議会下院の中国共産党に関する特別委員会のムーレナー委員長（共和党）が9月18日、「中国のレアアース輸出規制への対抗策として、中国航空会社が米空港を使う発着枠を制限または停止すべきだ」とトランプ米政権に要求したと伝えた。
トランプ米大統領も8月下旬にレアアースの輸出制限への対抗策として航空機部品の供給停止を挙げるなど、航空分野で輸出規制に対抗しようとの考えが米国に広がっている。一方で、中国側は米社のボーイング機の購入を巡って米側に揺さぶりをかけるなど、レアアース輸出規制に端を発した神経戦が続いている。
(IR Universe Kure)
