鉄・銅スクラップ、ステンレスのHSコードの一部が改正・追加され、2026年1月1日から適用になる。目安となる数値基準を取り入れて選別・判定作業にも配慮しており、スクラップ・くずを含め、きめ細かな追跡が可能な環境整備を進め、日本を起点とする国際資源循環ルートの適正化に繋げる狙いだ。
HSコードの改定は、「分類例規の一部改正について(財関第1074号)について」として、10月31日付で、全国の税関向けに通達された。適用開始日は26年1月1日 。
改正・追加内容は多岐にわたるが、金属関係は「鉄鋼」関係のスクラップ、「銅」関係のスクラップ・廃電線、「ステンレス鋼管」に分類できる。それぞれ、分類し易い数値基準を設定し、税関の作業効率を上げる配慮をしている。概略は以下のとおりである。
① HSコード 7204.49(ヘビーくず)
・「ヘビーくず」の定義を明文化。
・鋼板、形鋼、レール、船舶・重機・ボンベなどの鉄鋼製品を切断・解体したもの。
・一個あたりの重量が 1kg以上1,000kg以下。
・圧縮成形(プレスくず)は別扱い。
・寸法・形状の範囲を明示(厚さ1mm以上~500mm以下など)。
以下は追加項目。
② HSコード 7306.40(フェライト系のもの及び.オーステナイト304系のもの)
・「フェライト系」および「オーステナイト304系」を新たに分類。
・フェライト系:Ni含有量0.6%以下
・オーステナイト304系:Ni含有量8.0~13.0%、Cr18.0~20.0%
・インボイスや検査証明書での記載値・鋼種記号により所属を判断可能と明示。
③HSコード 7404.00(ナゲット加工したもの及び絶縁(被覆)銅電線のくず)
・新たに「ナゲット加工をしたもの(銅含有量99.9%以上)」を定義。
・銅線やより線を粉砕して2〜3mm程度に裁断した形状。
・輸出統計品目表第7404.00号において「径又は厚さが0.35ミリメートル以上の銅線のもの及び素線の径が0.35ミリメートル以上の銅より線のもの(銅の含有量が99.9%以上のものに限る。)を電気絶縁したもの」(統計細分920)には、絶縁材料(通常、ポリエチレン又はポリ(塩化ビニル))で被覆された銅線及び銅より線(絶縁電線)のくずが分類される。通常、絶縁材料が劣化している等、電線としてそのまま使用するのには適さず、また、小売用の包装がされていない状態で提示される。
今回の改定の背景には、「(今まで明らかになっていなかった)輸出入の動きを把握することで、国内で流通する金属資源の総量を見える化する」(経済産業省関係者)狙いがあるという。
また現場からは「今回の追加・改正を通じたきめ細かな追跡は、通関が厳格化し、不法輸出・不適正業者の動きを抑止することにもつながる。」(物流関係者)との声が挙がっている。
(IRuniverse G・Mochizuki)