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スエズ運河完全通行は間近か

2025/11/19 18:12
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スエズ運河完全通行は間近か

11月7日、世界第3位のコンテナ会社CMA CGM(フランス)のベンジャミン・フランクリン号は、2023年以来、スエズ運河を通過した最大規模のコンテナ船となった。同時期に、エジプト当局者と主要海運会社は、苦境にあるスエズ運河の貿易ルートへの回帰について協議を行った。

スエズ運河通行量のベスト4

米国の海事日刊紙”FreightWaves“が2025年のスエズ運河通行量(1月から10月)をアルファライナー(フランス)のデータをもとに算出した世界のコンテナ船社別の結果は以下だ。

 

1位: CMA CGM (フランス) 140万TEU超

2位:  マースク(デンマーク)  100万TEU超

3位: アッコン(トルコ)    100万TEU弱

4位: MSC(スイス)      80万TEU超

 

この順位からも明らかなように、極東と欧州を結ぶ重要なチョークポイントであるスエズ運河通過には欧州系の船社が強く、残念ながら日本のコンテナ船社はどこも入っておらず、その他として扱われている模様だ。

 

スエズ運河庁の収益は回復傾向

同時期に開催されたスエズ運河庁と世界の主要海運会社との会合では、通行料収入はフーシ派による一般商船攻撃開始前の2023年には過去最高の102億5000万ドルを記録した後、2024年には最大60%急落し42億~42億5000万ドルとなった旨、また、今年第1四半期には前年同期比16%超増の8億9900万ドルと回復基調を示していることも報告された。

 

通行量の6割減に悩むスエズ運河庁は今年の5月には世界のコンテナ船社に対して大型コンテナ船の通行料を15%割引という提案をしていたが、世界第2位のマースク(デンマーク)をはじめその他コンテナ船社などは、船員の安全を最優先に考え、目下、バベルマンデブ海峡の航行に適した時期を検証中としており、スエズ運河完全復帰の動きは未だ見えていないのが現状だ。

 

今後は

コンテナ船社からするとスエズ運河完全復帰はまたとない好都合のように思われるが、現状はそう簡単ではないようだ。

 

第一には、スエズ運河航行再開時に向けては、船舶の入れ替えなどの船舶運航計画の組み換えが必要で、これには時間が要する。プラス面として、燃料コストが低減するが、マイナ面としては、喜望峰経由ではかからなかったスエズ運河通航料が再び発生する。燃料費の削減効果と通航料のバランスを考慮し、最適なコスト構造を追求する必要があるようだ。

 

更に、目下は、世界的に船腹過剰感があり、加えてコンテナ運賃の下落傾向がある中で、スエズ運河航行に備えた準備を進めるよう荷主やフォワーダーに呼び掛け、サプライチェーン全体として深刻な混乱が引き起こされないような対応計画を立てる必要があるようだ。

 

 

(IRuniverse H.Nagai)

世界の港湾管理者(ポートオーソリティ)の団体で38年間勤務し、世界の海運、港湾を含む物流の事例を長年研究する。仕事で訪れた世界の港湾都市は数知れず、ほぼ主だった大陸と国々をカバー。現在はフリーな立場で世界の海運・港湾を新たな視点から学び直している。

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