中国税関総署が11月20日に発表した10月の貿易統計月報によると、同国の10月のタングステンの輸出量は818トンと前年同月比39.4%減少し、減少率は9月の16.9%減から大幅に悪化した。輸出規制が厳しく、当局による審査を経て輸出認可が下りる確率はかなり小さくなっているようだ。
■10月の輸出は7か月ぶり少なさ
10月の輸出量は前月比では25%減り、3月(502トン)以来の少なさだった。中国は2月にタングステンを輸出規制の対象に含め、2月は438トンまで輸出量が落ち込んだ。6月以降に輸出は戻り、8月は規制前の1月(1631トン)と並ぶまでに回復したが、再び落ち込んでいる。
プレスリリース: (13)2025年10月出口主要商品量值表(美元值)
米中は10月末の首脳会談を経てレアアースなどには「一時休戦」したが、タングステンは規制緩和の対象には含まれず、輸出は引き続き厳しい審査の対象になっている。中国関連貿易を手掛ける日本の専門商社の幹部は11月13日、IR Universeの取材に対し、足元の輸出審査の状況について「特にAPTなどの川上材料のタングステンが、輸出認可が出るのが僅かな件数にとどまっている」と話した。
中国国内でもタングステン鉱石は不足しており、価格も値上がりしている。このため、輸出以前に加工事業に消極的な企業も増えているという。
■調達側も「こんなに高くては買えない」
供給不安が高まる中、タングステン価格は天井知らずの勢いだ。ベンチマークとなるタングステンAPT価格は11月13日に高値$700/MTUととうとう$700の大台に乗せた。仲値では$673.75で、もちろん最高値だ。
過去20年間のタングステンAPT価格の推移(EU Freemarket)($/MTU)

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前出の幹部は「現在の高値は調達側も受け入れがたい。輸出の先行きも不透明で、生産者側と調達側がともに様子見姿勢を強めている」と話していた。
(IR Universe Kure)