2025年11月下旬~11月中旬のレアアース市況は総じて動きが鈍い。中国によるレアアース輸出規制への警戒がくすぶり、様子見気分から取引を控える動きが根強い。4月から輸出規制の対象になっている酸化イットリウムが供給不足懸念で急伸するなど、個別に警戒が膨らむケースも出ている。
■中国しぶしぶ発表も延期は「10月9日分」だけ
米中は10月末の首脳会談を経てレアアース輸出規制に関し「一時休戦」。米ホワイトハウスは11月1日、首脳会談のファクトシートとして「中国は2022年から課してきたレアアースおよびレアメタルの輸出規制をほぼすべて撤回する」と発表した。一方の中国は11月7日になって輸出規制の1年延期を発表したが、「10月9日分を撤回する」としている。4月から課した輸出規制は生きていることになる。
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■イットリウムの対米輸出、4月からゼロか
中国は4月4日、サマリウム、ガドリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムの一部を輸出規制の対象とした。半年以上を経て、一部のレアアースには供給不足懸念が浮上している。
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酸化イットリウムの価格推移(99.999% FOB China)(S/Kg)

酸化イットリウムは11月21日に$13.95/kgと、2022年5月以来およそ3年半ぶりの高値を付けた。前日からは3.7%と急伸。8月下旬から2か月半近くの横ばいを経て急に上げ始め、11月初旬からの上昇率は6.9%に達した。4月からの中国の輸出規制で、足元で流通量が減っていることがにわかに意識され始めたという。
イットリウムは最先端のジェットエンジンなど航空宇宙分野や、半導体などに使われる。ロイター通信の11月17日の報道によると、4月以降、中国のイットリウムの対米輸出は年初から減り始め、4月以降は完全に停止したという。
金属ジスプロシウムの価格推移(99.5% FOB China)($/Kg)

この時対象になったレアアースでは、イットリウム以外にサマリウムとスカンジウムが11月に入り値上がりし始めている。金属ジスプロシウムも11月7日に$303/kgに上げた。
金属テルビウムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

ただ、ガドリウムが弱含みルテチウムが6月から横ばいを続けるなど、影響は一様ではない。金属テルビウムも10月末から横ばいだ。
■ランタン上昇、ネオジム横ばい
金属ランタンの価格推移(99% FOB China)(S/Kg)

輸出規制の対象にならなかったレアアースも濃淡が分かれる。金属ランタンは11月21日に$3.5/kgに値上がりし、7月以来の高値を回復した。
金属ネオジムの価格推移(99% FOB China)($/Kg)

一方、磁石向け需要が多い軽希土類の金属ネオジムは10月23日の仲値$107.75/kgから横ばい。
■中国のレアアース価格は小動き
中国の業界団体である中国稀土協会が日次で発表しているレアアース価格の平均値は11月21日に206.7と、前日の208.6からやや下落した。11月に入ってからはおおむね200台前半で推移している。上げても11月10日の210で、小動きが続く。
中国レアアース指数の推移

(出所: 中国稀土協会)
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●11月20日
中国税関総署が11月20日に発表した10月の貿易統計月報によると、同国の10月のレアアース製品の輸出量は前年同月比1.6%増の1万516トンで、増加率は9月の7.6%増から大きく鈍化した。レアアース鉱石の輸出量は10月に前年同月比8.6%減の4343トンと、減少率は9月の4.3%減から悪化した。レアアース鉱石の輸入量は26.2%減の6991トンで、減少率は9月の36.5%減から改善した。
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●11月11日
赤澤亮正経済産業大臣は11月11日、記者会見で、「レアアースの多くは、現状、特定国からの輸入に依存しており、経済安全保障の観点から、供給源の多角化や、供給途絶に備えるための国家備蓄の強化等を通じた安定供給の確保を進めていく」と述べた。
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(IR Universe Kure)