6480日本トムソン 26/3H1決算メモ 好材料織り込みと判断しニュートラル継続
26/3期は実装機や半導体製造装置向け回復し26/3期11.2%増収、営利2.6倍予想に増額
株価739円(11/28) 時価総額543億円 発行済株73501千株
PER(26/3DO予15.5倍)PBR(0.66X)配当26/3期予28円 配当利回り:3.8%
要約

26/3H1は実装機や半導体製造装置向け回復し13.3%増収、営利2.0倍と急回復
直線運動用軸受大手で半導体製造装置、電子部品実装装置向け等に強味を持つ。11/10に26/3H1決算が行われ、11/14にWEB説明会が開催された。26/3H1は売上高302.54億円(13.3%増)、営業利益15.43億円(2.0倍)、経常利益17.76億円(2.7倍)、税引利益17.06億円(同期比22.17億円改善し、黒字転換)と収益急回復となった。但し今期より会計方針の変更が行われており、棚卸資産の売買における未実現損益の消去方法を変更したため、25/3期以前との利益の継続性はない。なお生産高は296.20億円(8.5%増)、受注高についても305.53億円(13.7%増)と回復している。

地域別では欧州の横ばいを除き増収となった。日本は139.60億円(6.6%増)とマウンタ、半導体製造装置、工作機械向けなどが伸びた。中国も景気刺激策、大口案件の受注獲得が寄与し52.53億円(52.1%増)と伸長した。米州は医療機器向け、ロボット向けが伸び、48.57億円(8.1%増)となった。欧州は31.72億円(横ばい)と市販向けが堅調も一般産機やエレクトロニクス関連が伸び悩み横ばいに留まった。その他地域では韓国、シンガポール、インドネシア向けなどが堅調に推移し30.10億円(21.1%増)となった。

業界別では全ての仕向け先が増収となった。直販分が154.03億円(10.7%増)で、工作機械向けが13.83億円(14.6%増)と国内、欧州市場向けが好調に推移、その他一般機械向けも73.67億円(7.9%増)とロボットや各種医療機器向けが好調に推移した。エレクトロニクス向けも54.96億円(19.4%増)と、半導体製造装置、マウンタ向けが好調に推移した。市販と輸出代理店を加えた合計で148.51億円(16.1%増)と、円安も寄与し、順調な推移となった。

品目別ではニードル軸受が105.9億円(4.8%増)とロボット、医療用が伸び、輸送用機器向けの減少を補って増収を確保した。直動シリーズは165.57億円(22.3%増)とチップマウンタ向けが好調に推移、加えて医療機器、工作機械、市販向けも拡大した。THKの産業機器(25/12H1での伸びが5.6%増)に対し、伸び率が高いのは、精密直動軸受の比率が高く、半導体製造装置やチップマウンタなど、エレクトロニクス向け、さらには医療機器向けなどの伸びに支えられていることが寄与したとみられる。

利益面では増収効果が大きく12.3億円、MIX良化などで原価率改善効果1.76億円のプラスに対し、円高影響2.47億円、R&DやDX費用などで販管費等が3.82億円のマイナス影響があった。

26/3期は実装機や半導体製造装置向け回復継続し11.2%増収、営利2.6倍予想に上方修正
26/3H1の収益好調を受け、26/3期会社予想を増額修正した。26/3期は売上高605億円(期初計画比20億円増額、前期比11.2%増)、営利31億円(同15億円増額、同2.6倍)、経常利益32億円(同17億円増額、同2.3倍)、税引利益29億円(同14億円増額、同5.2倍)予想とし、配当についても2円増配の年間28円予想とした。
地域別では日本が277億円(期初計画比11億円減額、2.9%増)とマウンタ向け好調ながら、半導体製造装置向けが想定ほどは伸びないとの前提とみられる。海外は米州が98億円(同12億円増額、9.5%増)と、半導体製造装置、医療機器、ヒューマノイドロボットなど幅広く堅調な伸びを見込む。中国は103億円(同15億円増額、44.0%増)大型案件や工作機械の補助金継続、ロボット生産の拡大、半導体製造装置メーカーの台頭などで高成長を見込む。欧州は65億円(同2億円増額、7.1%増)と半導体製造装置、工作機械向けなど緩やかな伸びを見込む。なお、上下では中国向けが上期比2.07億円減少、日本も2.21億円減少と想定しているが、基本的に上下ほぼ横ばい予想となっている。

品目別ではニードルベアリングが212億円(期初計画比1億円増額、6.8%増)、直動シリーズが332億円(同22億円増額、18.0%増)、諸機械部品61億円(同3億円減額、4.9%減)予想となっている。収益性が高いと見られる直動シリーズが増額となっていることがMIX良化の要因とも繋がっているとみられる。なお、上下比では直動シリーズがほぼ横ばい予想となっている。

利益の増減予想では、増収効果20.79億円、MIX良化で7.81億円の増益効果に対し、為替影響4.11億円(7円円高、1$=145円)、人件費増や営業活動費など販管費負担影響5.22億円を減益要因としている。なお期初計画の増減要因では、会計基準の変更で発射台となる25/3期の営業利益が15.92億円(4.19億円発射台が高い)に対し16.00億円とほぼ横ばいをみていた。この期初との比較では増収効果が2.24億円増額、MIXは1.36億円悪化をみていたものが逆にMIX改善で期初計画比9.17億円増益寄与に変じている。また販管費は期初6.53億円の減益影響に対し1.31億円節減できる予想となっている。為替も12円円高予想で10.57億円の減益要素とみていたものが6.46億円改善するとしている。

現状、利益面では収益性の高い直動軸受が22億円増額予想としたことが利益増額の主因とみられる。ちなみに直動売上構成比率が期初計画比53.0%から54.9%に1.9ポイント上昇、25/3期比で3.2ポイント上昇することが売上原価の低減に寄与している。なお、今回の増額修正について、上下比較では地域別、品目別でほぼ同額に近い予想としているが、下期については半導体製造装置向け、チップマウンタもユーザーの売上拡大が見込まれ、直動シリーズの増額が見込まれる。さらに為替についても計画比5円程度の円安推移となっており、26/3期収益の再増額が期待される。
中計2026見直し策定し27/3期までの累計営利65億円以上は大幅上振れ期待
同社は半導体生産の回復が想定よりも遅れ、また中国経済の不透明感、関税問題や資源価格、地政学的リスクなど不確実性が多く、25年5月に24年策定の中計を見直した。修正目標は26年度までに合計営業利益65億円以上、ROEを26年度までに8%以上とした。
現状、26/3期の収益上方修正が行われ、さらに再増額含みとなっている。また半導体産業がAI中心に本格回復から27/3期は先端分野での拡大が加速しよう。またAIデータセンタの需要拡大は大型基板への部品実装ニーズが高まり、チップマウンタの伸びも期待されている。このような需要増加に対し、同社はベトナム新工場用の土地を取得、またメカトロユニットの拡大など、中計達成に向けた施策を実行中である。現状、今回の増額修正もあり、減額前の中計の25/3期~27/3期90億円以上も視野に入ってこよう。

株価は市場暴落時の4/7に2021年11月以来の安値を付けた後、25/5/12の本決算で25/3期を底に緩やかな収益回復、中計も減額見直ししたことで悪材料出尽くしとなったと見られ、その後は上昇、26/3Q1決算が良かったこともあり順調に上昇、26/3H1の説明会を受けて11/28には741円と年初来高値更新となり、2021年11月の758円高値に近づきつつある。現在26/3期会社修正予想EPS41.85円に対しPER17.6倍は特別利益の寄与などで嵩上げされている面があり、通常税率で見た場合PER22.9倍程度となり、プライム機械平均PER20.0倍に対しやや割高となっている。但し、精密ボールねじの黒田精工(7726)41.2倍、直動トップのTHK(6481)45.5倍、軸受総合メーカーの日本精工(6471)28.0倍に対し割安となっている。またPBRが0.66倍、配当利回り3.8%予想と高い。今後、増額修正も期待され、27/3期は半導体関連の拡大から中計達成が視野に入ろう。ただし27/3期でもEPSは過去の水準に追いつかず、好材料を織り込んだと判断する。また中国向けの伸びが高い現状から、中国リスクが高まっていることもあり、評価はニュートラル継続としたい。
(図表は26/3H1決算、決算補足資料などから添付、もしくは加工、チャートはヤフーか)



*THK(6481)、黒田精工(7726)、日本精工(6471)との比較

(IRuniverse Okamoto)