2025年12月1日~12月9日のバッテリー業界では、欧州連合(EU)の重要鉱物確保の強化が大きなニュースだった。砂電池や太陽電池材料など各企業が新たな取り組みを進める中、旭化成が子会社の鉛電池事業を米ファンドに一部譲渡するなど、整理の動きも垣間見える。英プロジェクト・ブルーのセミナーも注目を集めた。
IR Universeは2026年3月17-18日、東京・浅草で「第13回Battery Summit」を開催する。
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<国内>
●全国6か所で「資源循環自治体フォーラム」 19日から

公益財団法人 廃棄物・3R研究財団は、12月19日から2月13日まで、全国の6地方で「令和7年度資源循環自治体フォーラム」を開催する。開催地は中部、北海道、四国、東北、関東、九州の6地点で、それぞれリチウムイオン電池の火災防止なども含めたリサイクル問題についてセミナーや交流会を予定する。
同研究団は9月に大阪市で、全国版の「第1回資源循環自治体フォーラム」を開催していた。
ホームページ: 第1回 資源循環自治体フォーラム|公益財団法人 廃棄物・3R研究財団
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●英プロジェクト・ブルー、「Critical Materials Forum – Tokyo 2025」 開催 電池向け資源
国際調査会社の英プロジェクト・ブルー(Project Blue、本社:ロンドン)は12月4日、東京都中央区で、バッテリー向け原材料産業についての専門フォーラム「Critical Materials Forum – Tokyo 2025」 を開催した。
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●高機能素材のアイ.エス.テイ、太陽電池保護膜を量産へ
ポリイミド樹脂をはじめとする高機能素材の開発・製造・販売を手がけるアイ.エス.テイ(I.S.T、本社:滋賀県大津市)は12月4日、同社開発の透明ポリイミドフィルム について、2026年から本格的な量産を開始すると発表した。民間商業衛星向けの太陽電池保護膜として採用されたため。
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●日立建機、バッテリー駆動式ショベルを実験 未整備の現場でも稼働
日立グループの日立建機は12月3日、自社ホームページ上で、「11月10日から14日まで、東京都府中市の施工現場で、バッテリー駆動式ショベルと移動式給電車を組み合わせた実証試験を行った」と発表した。
移動式給電車は「電気の宅配便」を手掛ける電力供給サービスのベルエナジーのもの。充電用設備が未整備の現場でのバッテリー式ショベルの稼働を目指し実験した。
移動式給電車からの給電の様子

(出所:日立建機の発表資料)
プレスリリース:充電用電源が未整備の施工現場におけるバッテリー駆動式ショベルの安定稼働を実証 - 日立建機
●旭化成、鉛電池事業を米社に一部譲渡
旭化成(本社:東京・千代⽥)は、12⽉2⽇、子会社が手掛ける鉛蓄電池⽤セパレータ事業を、米プライベート投資ファンドのキングスウッド・キャピタル・マネジメント(Kingswood Capital Management, LP)に譲渡すると発表した。
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●ダイヘン、リチウムイオン電池使用の非常用蓄電池パッケージを発売へ

ダイヘンは12月2日、自社ホームページ上で、「リチウムイオン電池を使った非常用電源『防災用蓄電池パッケージ』を12月15日に発売する」と発表した。
施設向けの非常用電源は、現在は大半が非常時のみ稼働するディーゼル発電機だが、7月施行の改正消防法でリチウムイオン蓄電池が非常用電源として設置可能になった。改正後に消防認定を受けられそうなのは、ダイヘンの商品が初めてとなる見通し。平常時も稼働できるうえにコスト面でも10%程度の削減が見込まれるという。
プレスリリース::ニュースリリース・お知らせ | 株式会社ダイヘン
<海外>
●EU、重要鉱物の脱中国依存を強化 「欧州重要原材料センター」新設へ

EU欧州委員会は12月3日、「リソースEUアクションプラン」を採択する」と発表した。原材料の脱中国依存を進め、希土類元素、コバルト、リチウムなどの重要原材料のEU供給を確保するための取り組みを加速・強化する。
2023年に成立した「重要原材料法(CRMA)」を強化する。2026年初めに「欧州重要原材料センター」を新設する。また、今後1年間に採掘やリサイクルなどのプロジェクトに30億ユーロ(約5400億円)を投じる。アルミスクラップや永久磁石の廃棄物の輸出制限を導入し、必要であれば対象を銅スクラップにも広げる。現在は90%を超える中国産への依存度を2029年までに50%削減することを目指す。
プレスリリース:Commission adopts RESourceEU to secure raw materials, reduce dependencies and boost competitiveness
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●フィンランドに大型砂電池 閑静なら世界最大級、熱を供給
フィンランドの砂電池スタートアップであるポーラー・ナイト・エナジー(polar night enegy)は11月25日、自社ホームページ上で、「同国同業のラハティ・エネルギアと共同で、フィンランド南部での砂電池建設で合意した」と発表した。
ラハティが所有するヴェークスキー地区暖房網に、砂電池により作り出したた熱を供給する。建設される砂電池は2メガワット(MW)の発熱出力と250メガワット時(MWh)の蓄電能力を持ち、完成後は世界最大の砂を基盤とした熱エネルギー貯蔵システムとなる見通しだ。
砂電池の完成予想図

(出所:-ポーラー・ナイト・エナジー発表資料)
(IR Universe Kure)