レアメタル系スクラップ市場の2025年はロシアの影響で下がり続けたチタン系と、中国の影響で上がり続けたタングステンの相場動向が特に印象深い年となった。同アイテムを中心に1年間を振り返る。
ロシア産フェロチタンの流入で下がるチタン系

チタン系はロシア産の安価なフェロチタンの流入の影響により原料のチタンスクラップが在庫過多となっていることが影響し、年始から下降、10月上旬まで下がり続けた。以降は横ばいが続いているが、弱含み気配は継続。依然としてロシア産の安価なフェロチタンの流入の影響により原料のチタンスクラップが在庫過多となっている。来年上旬にはふたたび下げに転じる可能性も低くはない。
純チタン板スクラップの市中実勢は1月1日の380円から230円まで下がり、5年前の20年12月とほぼ同水準となった。ただ、低品質のチタンスクラップの価格が下降基調にある一方、航空機向けなどのハイグレードスクラップは価格が右肩上がりにあり2極化傾向が続いている。これは来年さらに顕著になっていくものと想定される。
高騰続くタングステン系
超硬スクラップをはじめとするタングステン系は下半期に高騰した。超硬スクラップを見ると上半期は横ばい傾向が続いていたが、6月を過ぎて上場傾向となり、11月頃から高騰。9000円辺りまで相場価格が上がってきた。1万円を超える価格で取引されているケースもあるようだ。

中国の動向が強く影響しており、同国の輸出制限や鉱山の採掘量制限、鉱石の品質低下もタングステン相場の上げ傾向につながっているとみられる。来年の展開も中国政府次第といえる。
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また、電気自動車や航空宇宙分野のほか、戦争による需要増も追い風となっているようだ。タングステンは硬度と融点が高いため、徹甲弾の芯材や高耐久部品に使われていたり、ロケットやミサイルに使用される耐熱合金にも不可欠な原料となっている。世界の平和が保たれ、過剰に高騰傾向にあるタングステン相場が落ち着くことを期待したい。一方で、一時は上昇傾向にあったモリブデンスクラップは足元だと相場はだいぶ落ち着いた状態にある。
ステンレス系やハイニッケル合金系はニッケル相場に連動する形で相場が動く局面が多かった。世界的にみるとニッケルは供給が需要を上回る状態が続く可能性が高く、来年前半の相場は横ばいもしくは弱含み傾向になり、関連するアイテムも同調する可能性が高い。

コバルトを約17%含むコバールは4月初旬までマイナス傾向が続いていたものの、その後プラスに転換。安値315円、高値345円まで価格を上げた。直近では、コバルトの世界最大の供給国であるコンゴ民主共和国がコバルトの鉱物加工を停止したという報道もあり、これが真であるとすれば、2026年は供給がタイトとなり、コバール相場などにも影響がありそうだ。
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(IRuniverse K.Kuribara)