米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は1月8日、中国がレアアースおよびレアアース磁石の日本企業向け輸出を制限し始めたと伝えた。1月6日に発効した軍民両用品の対日禁輸措置に呼応した動きとみられる。ただ、民生用のレアアース磁石が対象になっているとみられるほか、6日の発表前から審査が下りにくかったとの指摘もある。
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■定例記者会見、対象明言せず
中国商務省の何亜東・報道官は1月7日の定例記者会見で、朝日新聞の記者の質問に対し、「輸出規制は民生用には影響しない」と答えていた。記者は「禁輸措置の対象品目は何か?」「レアアースも対象になるのか?」「軍用とみなされるエンドユーザーはどの企業や組織か?」なども質問したが、これらには具体的な回答はなかった。
プレスリリース:商务部召开例行新闻发布会(2026年1月8日)
一方で、1月10日の日本経済新聞は、中国ではレアアースの対日輸出の税関審査が、1月6日の禁輸発表前から厳格化が始まっていたと報じた。最終輸出先が米国であるなどの例外を除き、認可が下りにくくなっていたという。
■軍民両用は対日以外でも規制、銀の輸出は許可制に
中国はそもそも、軍民両用品については1年以上前から、技術を含めて輸出規制を強化する方針を示していた。2025年を通じてこの方針は強まり、12月31日には輸出入に際し当局の認可が必要となる軍民両用品の2026年度のリストを発表していた。
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プレスリリース:商务部 海关总署公布2026年度《两用物项和技术进出口许可证管理目录》
商務省はまた、12月30日には、タングステン、アンチモン、銀の2026-2027年度の輸出認可企業のリストも公表した。リスト外企業は輸出認可の申請がそもそもできない。認可対象になった企業はタングステン15社、アンチモン11社、銀44社で、国有企業が中心。リストは2年ごとに更新する。タングステンとアンチモンはかねて輸出が厳しく制限されていたが、今回からは銀の輸出管理も厳しくなった。
プレスリリース:商务部关于公布2026—2027年度钨、锑、白银出口国营贸易企业名单的通知
日中関係がというよりも、米中対立が長引く中、中国としてはセンシティブな物品の貿易に慎重にならざるを得ない面もあるのだろう。対日禁輸を巡っては「中国側の輸出企業は様子見」(レアアースを扱う専門商社の幹部)との情報もある。先行きが見通しにくい状態が続きそうだ。
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(IR Universe Kure)