マルマエ(6264) 26/8Q1決算メモ 26/8Q1が上期予想比進捗率高くポジティブ継続
26/8期は上期予想比Q1進捗率高いが50.8%増収33.1%営利増予想変更なく上振れ期待
株価2258円(1/9) 時価総額295億円 発行済株13053千株
PER(26/8期DO予14.3X) PBR(3.4X)配当(26/8期予)56 円 配当利回り2.5%
要約

26/8Q1連結は25/8Q1単独比2.2倍増収57.5%営利増、47.5%経常増とKMACフル寄与
半導体・FPD製造装置の真空部品や各種高精度部品を中心に事業展開。単独の主力ユーザーは東京エレクトロン(TEL)宮城、東京エレクトロン(TEL)テクノロジーソリューション、日本発条の3社で2/3を占める。25/8Q3より高純度アルミの機能材料を製造するKMACを連結化、25/8期では5ヶ月分連結収益に寄与している。
26/8連結Q1決算が12/26に開示され、同日説明資料が添付された。26/8連結Q1は売上高42.44億円(単独比2.2倍)、営業利益7.01億円(57.5%増)、経常利益6.55億円(47.5%増)と、KMACのフル連結で収益大幅増となった。

セグメント別ではマルマエの精密部品事業が売上高18.05億円(5.5%減)、営業利益3.31億円(25.6%減)となった。売上は半導体関連が15.11億円(0.4%減)と、新規装置向けが出遅れた中国市場を取り込めず低調に推移も、半導体工場の高稼働と新品種獲得の増加で消耗品が好調に推移しほぼ横ばいとなった。FPD向けは2.04億円(32.5%減)とOLED向けの設備投資不振が影響した。利益面ではFPDの減収で材料費、外注費が減少も、労務費の増加などが影響し、全体として半導体向けの伸び悩みもあり大幅減益に。

KMACの機能材料事業は、売上高24.38億円(マルマエとの合併前の25/3Q3:10月~12月対比で15.4%増)、営利4.43億円(同72.4%増)となった。売上はIT器材が8.97億円(同39.1%増)と、超高純度ターゲット材がメモリ向けに伸長したことが大きく、CVD向けに消耗品も堅調に推移した。半導体装置部材は4.01億円(同13.0%減)と、客先の在庫調整が進んだものの、新規受注は26/8Q2となるため、Q1については減収にとどまった。基礎素材は売上高11.37億円(同13.0%増)と、高純度品の前倒し納入が寄与したが、小口は停滞しており、大幅伸長とまでは至っていない。利益面では半導体工場の高稼働から増収効果が寄与、加えてIT器材の伸びが高くMIX良化もあり大幅増益となった。

全体の営業利益変化の4.44億円→7.01億円(2.57億円増)の内訳は、事業別ではマルマエが1.14億円減、これに対しKMACが純増で3.71億円となっている。また売上増23.33億円に対し、原価が16.48億円増加しているが、中身は材料費12.69億円(8.76億円増)、外注加工費3.62億円(1.14億円増)、労務費7.30億円(3.44億円増)、製造減価償却費2.53億円などとなっている。販管費増4.29億円の中身は販売人件費2.79億円(1.69億円増)と暖簾償却費0.75億円(0.75億円増)などとなっている。
26/8期は上期予想比Q1進捗率高いが50.8%増収33.1%営利増予想変更なく上振れ期待
26/8期連結決予想はKMACフル連結化寄与から売上高172億円(50.8%増)、営利28億円(33.1%増)、経常利益26億円(34.3%増)、税引利益17億円(25.4%増)予想としている。現状、26/8H1予想の売上高81億円、営業利益12億円に対し、26/8Q1の進捗率は、売上高で52.4%、営業利益では58.4%、経常利益でも59.5%といずれも5割を上回っており、昨今の半導体生産の拡大を考慮すれば、下期の事業環境はさらに良好となる見通しから、収益の上振れが期待される。
事業別でも変更しておらず、マルマエ単独は売上高82億円(6.4%増)、営利19億円(4.2%増)予想としている。またKMACは売上高90億円(2.44倍)、営業利益12億円(3.1倍)予想としている。
マルマエ単独は、FPD向けで減少懸念がある。しかし半導体向けはQ1で新装置向けの伸び悩みを消耗品の拡大で補いほぼ横ばいとなっており、年末からTSMCの先端ロジックの伸長やDRAM向け投資が活発化し、投資が再拡大する方向にある。最大ユーザーである東京エレクトロングループは2025年に国内3カ所(宮城、九州、岩手)で新棟が竣工、特に宮城はエッチング装置の主力工場で、HBM向けなどで積層数の拡大でエッチング装置の需要伸長が見込まれる。また単独最大需要家の日本発条も26/3期半導体プロセス部品の売上を25%増と見込んでおり、日本発条向けにも拡大が期待される。さらに半導体部門は売上高の7割が消耗品売上であるため、半導体生産の拡大で伸び率が高まるとみられる。このため、半導体向けは期を追って拡大するとみられ、FPD向け減速でも82億円予想に対し10%程度の上振れが期待される。利益面でも採算のいい半導体向けの比率が高まる見通しから、収益性も高まろう。
KMACについては会計月の変更があるため、12ヶ月比較で25/3期と比較した場合、26/8期は4.0%増収、11.8%営利増予想となる。セグメント別予想の開示はないが、IT器材は超高純度アルミターゲット材(5N以上の純度)がスパッタリングや真空蒸着材向けに利用されるため、昨今のメモリ向けに伸長しており、Q1の流れが継続、年間でもQ1の4倍強の売上が期待できる。半導体製造部材もCVD,エッチングなどで利用されるため、Q1で客先在庫過剰が解消しているとのことで、年間20億円を目指す動きとなろう。基礎素材は高付加価値製品の伸びで小口の停滞を補っているが、さらに高付加価値品の伸びが高まるとみられ、10%程度の伸びが確保されよう。このため、KMACについても収益の上振れが期待され、売上高100億円が視野に入ろう。
全体を通じ、25/8期は会社想定に対し、上期からの上振れが見込まれ、下期は半導体の生産拡大、先端半導体設備投資がロジックに加えメモリもHBMからDDRへも投資拡大が始まるとみられ、結果として昨年7/15に予想した売上高180億円、営利30億円の達成が期待される。
中計で28/8期売上高250億円、営利56億円目標は先端半導体向け拡大で達成視野に
同社はKMAC統合を踏まえ、28/8期に売上高250億円、営利56億円達成を目標としている。
事業別に精密部品事業(マルマエ)は28/8期に売上高120億円、共通費控除前営利36億円目標とする。中心は半導体事業拡大で、28/8期に100億円を目指す計画。現在、売上の60%を東京エレクトロングループ、日本発条が占めている。売上としては日本発条向けが最大となっているが、日本発条はエッチング装置用冷却板や成膜装置用ヒータなどの製造装置向け機能製品を製造しているため、間接的に東京エレクトロンなどの需要に左右されると見られる。このため、同事業は東京エレクトロンのエッチング製造装置の動向や、先端半導体生産拡大におる消耗部材の加速的な消費拡大が鍵となる。

現在、東京エレクトロンでは新規半導体製造装置の約30%弱がエッチング装置で占められると推察できる。HBM向けに量産ラインで公式採用(POR)を独占しているDRAMキャパシタについて事業機会がさらに拡大、25/3期に数百億円だったDRAM配線工程のエッチング装置の売上高を30年までに累計5000億円以上にする目標を掲げている。また400層世代のNAND量産投資がいよいよ始まり、極低温エッチングの量産展開が期待される。さらに東京エレクトロンテクノロジーソリューションズが岩手工場を竣工、26年4月に稼働を始めるが、同工場は成膜装置工場で、生産能力が現有の1.5倍となる見通し。こちらでも需要が見込まれ、同社半導体事業の目標100億円は上振れる期待がある。
機能材事業(KMAC)は売上高130億円、共通費控除前営利23億円を目指す。こちらは特に半導体装置用部材を28/6期に36.1億円(25/3期比2.0倍)に拡大、23/3期のピーク32億円を凌駕する計画。同社の提供する真空チャンバー用材料や特殊硬質アルマイト処理製品は、主にドライエッチング装置やCVD装置の構成部品として使用される。従来はレガシー半導体(28mn以上)向けに強みをもっていた模様であるが、昨今の半導体の微細化に対し、半導体プロセス環境の過酷化で、KMACの低圧鋳造技術の注目度が増している。これは真空性能でコンタミが致命的な欠陥となるため、従来は主にアルミニウム合金などの厚板や鍛造ブロックから高純度を実現するために最大80%を削り出し加工(清酒なら純米大吟醸製造で80%精米するのと似ている)が行われてきた。しかし半導体製造装置の大型化とコスト削減要求で切削加工が限界に達し、しかも今後、PLPなどで巨大な角形チャンバーなどが必要となるなどの環境変化が生じている。KMACの低圧鋳造は溶湯の充填速度が制御され、空気の巻き込みや酸化皮膜の混入が極小化される。高圧ダイカスト法(DieCasting)などと違い、ピンホールなどが現れにくいため、切削用のビレットに迫る緻密なミクロ組織が得られる。加えて今後の装置大型化や、熱対策でチャンバー内部に冷却水路を設ける場合、従来の切削加工では複雑な曲線や3次元形状の加工が困難となる。このためKMACの400kg以上に対応する低圧鋳造が威力を発揮する。

また競争力のあるIT器材も38.7億円(25/3期比33%増)を見込む。同分野は半導体製造装置の真空チャンバーに使用される大型スラブや、スパッタリングターゲット向けの超高純度アルミニウム(5N)ではグローバルニッチトップの地位を確立している。今後、微細化で配線材料などの不純物混入が歩留まりの低下を引き起こすため、微細化とともに高付加価値品の売上拡大から、市場を上回る成長が期待される。ユーザーとしては成膜装置大手のアルバックや、競合でも特定スペックで素材供給が可能で、新規顧客拡大なども含め売上拡大を狙う。基礎素材は55.1億円(25/3期比28.9%増)を見込む。現在、電解コンデンサ用やHDD用高純度アルミなどを手掛けるが、昨今、アルミ電解コンデンサはAIデータセンタ設備投資で需要が急拡大しつつある。これはAIの演算処理、特にGPUやAIアクセラレータは膨大な電力消費を生むが、高出力のGPUやAIチップに安定した電力を供給するため、回路で平滑化や電圧安定化に不可欠な部品のため。AI演算は負荷変動が激しく、瞬間的に大電流が流れるため、電圧変動を抑え大容量で応答性の良いアルミ電解コンデンサが多数必要となる。MLCCは高周波には強い一方、電圧印加で実効容量が落ちやすく、バルクの“エネルギー溜め”では不利になりがちなフィルムコンデンサは高性能だが体積/コストが重くなり、相対的にアルミ電解コンデンサが求められる形となっている。このため、基礎素材においても、中計予想は十分達成可能とみられる。いずれにしても、KMACは買収前の事業内容から高付加価値製品群を中心とする企業への展開が進み、中計計画の売上高130億円、高付加価値製品の比率アップで営業利益23億円の上振れ達成は十分期待される。

株価は昨年4/8にKMAC株式取得完了がアナウンスされ、4/7の894円を起点に一本調子で上昇を続けた。10/9には年初来高値2046円をつけたが、10/10では27/8期予想について7/15の予想比で減額となり、一旦押し目を作ったが、12/26の26/8Q1で上期に対し進捗率が高かったこと、全体相場が急上昇したこともあり、1/5に2429円の高値更新となっている。現在、26/8期会社予想EPS134.26円に対しPER16.8倍は、プライム機械平均PER20.2倍に対しやや割安水準で、東京エレクトロン(8035)の35.6倍、エレクトロン向け50%のアバールデータ25.8倍、高周波電源で高シェアのダイヘン17.1倍と比較しても割安である。26/8期は額修正期待もあり割安感が増すとみられポジティブ継続とする。



*東京エレクトロン(8035)、ダイヘン(6622)、アバールデータ(6918)との比較

*図表は会社決算補足資料、説明会資料、日本発条説明会資料、一部アイ・アールユニバースが加工、一部写真はHPより添付、チャートはヤフーより添付
(IRunivese Okamoto)