東京製鐵は1月19日、恒例の記者会見を行い、2月の販売価格と生産状況、市場環境について同社の小松崎取締役が述べられた。2月の鋼材販売価格は全品種据え置き。2ヶ月連続。また新製品の発表も成された。
概況については
海外マ-ケットは、年初より米国による政治的な他国への介入や、その動向に関連した関税率の変更を伴う関係国への牽制による、国際経済全体への影響については、再び、慎重な見極めが必要な状況となってきました。
他方で、米国内の鉄鋼関連指標は、昨年末までの上昇を受け、新年以降も高水準を維持しており、アジア地域でも、旧正月の大型連休を控える中、鉄鋼メーカーの販売価格並びに鋼材市況は、小幅ながらも上昇の展開となっていますが、引き続き、世界と中国の政治及び経済情勢のほか、鉄鋼関連市場の動向を注視してまいります。
国内マーケットは、建材品種においては、冬期特有の気象状況もあり、地域によって、建設工事の進捗に遅延が生じるなど、引き続き、鋼材の荷動きは盛り上がりを欠いています。とは言え、主要都市での大型再開発案件の計画見直しが出ている一方で、一部では、施工会社の受注余力を見定めて、新規案件の発注交渉を進める動きも出ています。
更に足元では、短納期の纏まったロール手配が、鉄鋼メーカーにも寄せられていることから、市場の早急な値上げ転嫁の動きと、市況の建て直しに期待いたします。
鋼板品種では、中国の対日向け輸出政策により、一部業種への影響が懸念されるものの、足元では、製造業全般に、昨年来からの緩やかな回復基調は、概ね、続いている状況にあります。また、輸入鋼材についても、数量と価格の動きに注意が必要な環境に変わりはありませんが、コスト高と為替動向を背景に、やや上昇傾向となっています。今後の荷動き次第ではありますが、鉄鋼メーカーの冬期減産期と相まって、需給バランスの改善が進むことによる市況の好転が待たれます。
以上のような状況のもと、製造及び諸コストの上昇による収益悪化は、早急な対応が必要な状況にありますが、今月は、国内外及び品種毎のマーケット状況を考慮し、全品種据え置きといたします。
引き続き、需要に見合った生産を継続し、需給の調整に努めます。
会見での要旨は以下の通り。
鋼材価格の上昇基調と国際情勢の影響
1. 価格動向と国際情勢
2026年1月の市況は、昨年末からの価格上昇基調を新年以降も維持しています。
H鋼は103,000円(トンあたり、以下同)
異形棒鋼は82,000円
ホットコイルは86,000円
縞鋼板は94,000円など。
東京製鐵全体での1月の生産状況は225,000トン。内訳として、H鋼75,000トン、ホットコイル105,000トン.輸出は10,000トン、厚板30,000トン。
米国の鋼材市場は底堅い。
アジア市場も底値から脱して回復から値上がり基調にはある。国内はパッとしないものの、冬季減産で需給の引き締まりから市況回復へと繋げたい。先安感は払拭された。
- 国際的要因: アメリカによる通商政策(会合への勧誘や関税率の変更等)が関係国へ与える影響について、再考が必要な状況となっています。世界経済全体への波及効果を注視する必要があります。
2. アジア市場と中国の動向
アジア地域、特に中国の政治・経済情勢が引き続き市場の主要な変動要因となっています。
- 旧正月の影響: アジア地域では旧正月(春節)の大型連休を控えており、自動車メーカー等の販売動向や、それに伴う価格展開に注意が必要です。
- 鋼材市場: アジアのホットコイル(熱延コイル)市場には、若干の持ち直しの気配が見られます。
3. 国内需要と建設・製造業の現状
国内においては、業種や地域によって状況に濃淡が出ています。
建設・土木分野
- 進捗遅延: 冬季特有の気象条件により、地域によっては建設工事の進捗に遅延が生じています。
- 資材調達: 現場の引き合いは盛り上がりに欠けるものの、一部では施工会社の受注余力を見定めた上での新規発注交渉などの動きが出ています。
- 都市開発: 一部で計画の見直しが発生しています。
製造業分野
- 全体感: 昨年来からの緩やかな回復基調がおおむね続いている状況です。
- 繁忙期需要: 足元では、繁忙期に向けた工具・機材のまとまった手配などの動きが見られます。
4. 収益環境と今後の見通し
製造コスト面での圧力が高まっており、収益確保に向けた対応が急務となっています。
- 輸入材: 数量・価格ともに上昇傾向にあり、注意が必要です。中国の鋼材輸出は昨年過去最多の1億1900万トンに。諸外国がかなり中国品に対して関税政策を出しているにもかかわらずこれだけの物量の影響は大きい。
- 収益性: 製造コストおよび資材価格の上昇により、収益が悪化しています。需給バランスの改善による市況の好転が待たれますが、早急な価格転嫁(値上げ)などの対応が必要な状況にあります。
最後に新製品の発表
2025年12月12日付けにて、新たに【築構造用 520NI/m of TMCP 厚鋼板(TPL Tokyosteel Plate) TPL355R TPL355C】 の国土交通大臣認定を取得いたしました。
東鉄としてはトウテツコラムに次ぐ国土交通大臣認定材、となる。
建築工事における使用鋼材の大型化に伴い、予てより、東鉄へのご相談が多数寄せ おりました中、昨今の【カーボン・ニュートラル】に向けた『脱炭素社会構築の動き』も加速しており、電炉鋼板への期待が、益々拡大している状況のもと、今回の認定材開発に取り組み、経済性に優れた製品として、主に、鉄骨主要部材への採用範囲拡大により、建築 なる脱炭素化に寄与出来ると確信しています。
具体的には、板厚16ミリから50ミリのサイズ構成により、ダイアフラムの他、ビルトH 形鋼や4面ボックスなどの梁材や柱材への適用に上り、既存の製品と合わせて、建築構造物の『軽量化』『脱炭素化』の切り札として採用の拡大が想定されます。
認定取得日 :2025年12月12日
認定材料の名称:建築構造用520N/m㎡級 TMCP厚鋼板「TPL355B, TPL355C
:認定番号 MSTL-0631
:適用サイズ
板厚 16mmst≤50mm
:板幅 1.524mm. 1,829mm, 2.100mm
長さ 6,096mm, 9,144mm, 12,192mm
これは、急増している輸入ビレット材を意識した製品でもある、ことを小松崎取締役は強調していた。
(iruniverse yt)