日本の油脂供給量の約30%を占めるパーム油。そのほぼ全量が東南アジアからの輸入によって賄われており、油のほか、殻(PKS)もクリーンなバイオマス燃料として活用されている。国際農林水産業研究センターによれば、パーム農園で生産されるバイオマスのうち、有効活用されている資源は油とPKSを併せても2割ほどで、幹(OPT)や葉柄(OPE)、繊維(MCF)などの大量な未利用バイオマスは放置されているのが実情で、温室効果ガス排出や水質汚染、農園の生産性低下の原因となっているという。これを踏まえ、同センターでは原料マルチ化プロセスやバイオメタンプラットフォームなどの取り組みを通して、未利用資源の活用推進を図っている。
原料マルチ化プロセスは同一プロセスで、パーム幹、葉、ヤシ殻、繊維すべてを燃料や家具向けのバイオマスペレットに変換する製造技術。これまでパームオイル産業から排出される膨大なバイオマスの経済合理的で環境負荷低減を担保した再資源化を実現する。国際農林水産業研究センターによれば国内の企業においても、実用化に向けた設備投資が進められているようだ。

第20回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラムの国際農林水産業研究センターブース
PKS以外も効率的な燃料として活用できるのであれば、環境負荷軽減効果だけでなく、エネルギー産業としてのメリットも大きい。PKSの需要増や季節的要因による発生量変動に伴う相場変動幅の減少も期待される。
原料マルチ化プロセスにおいても繊維洗浄プロセスで大量の排水発生が見込まれるが、バイオメタンプラットフォームを融合させることで、その課題も解消される可能性が高い。
バイオメタンプラットフォームはこれまで活用できなかった排水中のセルロース繊維を微生物作用によりバイオメタンへ転換する統合型技術。微生物糖化で得られる可溶化成分のメタン発酵に、H2やCO2からのメタン生成を組み合わせることで、メタン生成量の向上とプロセス全体の高効率化が図れる。効率的かつ低コストで運用できる点も大きな強みだ。

第20回再生可能エネルギー世界展示会&フォーラムのNEDOブース
ユーカリ製のウッドペレットの活用促進へ
また、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、ウッドペレットの原料としてユーカリの活用拡大を図る取り組みを進めている。
オーストラリアなどに分布するユーカリ属は種類が500以上あり、低緯度から高緯度まで様々な生育環境に適応するほか、植栽地域の環境に適した種を選定することで高い成長能力が見込めるという。
日本でも東京大学演習林である樹芸研究所(静岡県南伊豆町)で、40年以上の研究実績があり、日本で生育可能であることや逸出(野生化)の危険が少ないことが確認されており、さらなる研究・実証の進展が期待される。
(IRuniverse K.Kuribara)