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「2輪業界のイーロン・マスクを目指す」76歳のシリアルアントレプレナーが仕掛ける、既存バイクのEV化革命

2026/02/16 11:23 FREE
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「2輪業界のイーロン・マスクを目指す」76歳のシリアルアントレプレナーが仕掛ける、既存バイクのEV化革命

これまで15社以上のベンチャー企業を立ち上げてきた日本電動株式会社の福田代表(76歳)。彼が現在情熱を注いでいるのが、世界に10億台以上あると言われる既存のガソリンバイクをそのままEV化する画期的なビジネスモデルです。大手メーカーが足踏みする中、世界の2輪市場に革命を起こそうとする福田代表に、IRUNIVERSEの棚町が話を伺いました。


■ 15社の起業を経て、60歳で電動バイク市場へ参入

棚町: 福田社長はこれまで15社以上のベンチャー企業を立ち上げてきたそうですが、電動バイク事業に目をつけたきっかけは何だったのでしょうか?

福田代表: 私は26歳で起業し、ゼロから会社を立ち上げては軌道に乗せて後進に譲る、ということを繰り返してきました。現在の電動バイクビジネスに目をつけたのは私が60歳の時、今から16年ほど前です。中国へ行った際に、モーターで走る自転車が大量に走っているのを見て、これを日本に持ち込めないかと考えたのが始まりでした。

棚町: 2011年頃からは、実際に中国製の電動バイクを輸入販売されていましたね。しかし、日本ではあまり普及しませんでした。

福田代表: おっしゃる通りです。最初は数千万円の損を出しました。原因はシンプルで、「性能不足」です。当時の中国製電動バイクは1馬力未満しかなく、時速35キロ程度しか出ない上に、少しの坂道も登れませんでした。中国は平地が多く免許も不要だったため普及しましたが、日本の道路事情には全く合いませんでした。例えるなら、カラーテレビの時代に白黒テレビを売ろうとしていたようなものです。

■ 既存のガソリンバイクを「部品の載せ替え」でEV化する逆転の発想

棚町: 中国製や他社のシステムの限界を悟り、行き着いたのが御社独自のアイデアですね。具体的にどのような仕組みなのでしょうか?

福田代表: 世界中で愛されている「スーパーカブ」や「モンキー」といったガソリンバイクは、車体が丈夫で長持ちし、パワーもあります。そこで我々は、既存のガソリンバイクのエンジンとピストンを取り外し、代わりに「電気モーター」と「既存の変速器(ミッション)」を組み合わせた特許取得済みの『モーターモジュール』を取り付けるという手法を開発しました。

外見は従来のガソリンバイクのままですが、ガソリンタンクの中にバッテリーを埋め込むことで、力強い走りを持ったEVバイクへと生まれ変わります。自動車でいう「eアクセル」の2輪版ですね。

棚町: 既存の車体をそのまま使えるというのは非常に画期的で、リユースの観点でも素晴らしいですね。なぜホンダなどの世界的な大手メーカーは、このアプローチをとらないのでしょうか?

福田代表: 理由は2つあります。1つは、彼らがガソリンバイク市場で圧倒的なシェアを握っているため、自らその市場を壊すようなEV化には踏み切りにくいというジレンマです。もう1つは、我々の手法が「既存の変速器と普通のモーターを組み合わせる」という、いわば枯れた技術の組み合わせであるため、最先端を求める大手の技術者にとっては面白みがないからです。だからこそ、我々のようなベンチャーに勝機があり、「本格的性能を持つEV2輪車の王者」になれると考えています。

■ 世界のガソリンバイクメーカーを巻き込む巨大なビジネスモデル

棚町: 今後の具体的なビジネス展開はどのように描いていますか?

福田代表: 大きく分けて2つのアプローチがあります。

  1. 中古バイクのEV化: 日本国内で走っている数百万台のガソリンバイクや、中古バイク買取業者と提携し、エンジンをモーターモジュールに載せ替えて「EV」として再販するモデルです。
  2. 海外バイクメーカーへのモジュール供給: ベトナムやインドなど、世界には中堅のガソリンバイクメーカーが無数にあります。彼らは既存の工場や部品をそのまま生かし、我々のモーターモジュールを組み込むだけで、安価に自社ブランドのEVバイクを量産できるようになります。実際にベトナムのD社に提案したところ、即座に日本へ実機を見に来るほど熱狂的な反応がありました。

棚町: バッテリーの充電や航続距離に関する懸念はどうクリアしていますか?

福田代表: バッテリーは安価な中国製(リン酸鉄リチウムイオンなど)を使用します。

日常の通勤や買い物(1日5〜10km程度)であれば、2kWh程度のバッテリーで100kmほど走れるため十分です。自動車のように大容量のバッテリーを積む必要がなく、家庭のコンセントで夜間に充電するだけで済みます。ガソリン代もかからず、エンジントラブルもないため、維持費は劇的に安くなります。途上国のユーザーにとっても非常に魅力的な選択肢になるはずです。

 

「株式会社は人類最高のシステム」生涯起業家・福田代表が描く、電動バイクの先の未来

前回のインタビューに引き続き、日本電動株式会社の福田代表(76歳)にお話を伺いました。今回は、同社が開発したモーターモジュール搭載バイクの具体的な「強み」と、15社以上のベンチャーを立ち上げてきた福田代表の「起業家としての哲学」、そして今後の壮大なビジョンに迫ります。(聞き手:IRUNIVERSE 棚町)


■ 「充電させてもらえませんか?」が不要になるEVバイク

棚町: 開発されたモーターモジュールについて、実際に試作車も拝見しましたが、ギアチェンジ(変速)ができるEVというのは非常に珍しいですね。

福田代表: そうなんです。自動車でいうマニュアル車と同じように、足元で4速のギアチェンジができます。既存のミッション(変速器)をそのまま使っているからです。(※スクータータイプなど、クラッチやペダルがないオートマチック仕様も対応可能)

電気モーターとミッションを組み合わせることで、坂道を登る際にも余計な電力を消費せず、効率的にパワーを引き出せます。

棚町: 充電の仕組みはどうなっているのでしょうか?

福田代表: 至ってシンプルです。小型のバッテリーを車体に埋め込んでおり、家庭用のコンセントから専用の充電器を挿すだけです。満充電になれば、赤から青のランプに変わります。

棚町: 出川哲朗さんの番組のように「充電させてもらえませんか?」と道中でお願いする必要はないわけですね(笑)。

福田代表: その通りです(笑)。このバイクはミッションのおかげで効率よく走るため、1回の充電で約100km位は走れます。そもそも、日常の通勤や買い物で乗る場合、乗車前に自宅で満充電にしておくのが普通ですから、出先で充電切れになることはまずありません。

■ 目指すは「2輪EV市場での上場」と「社会課題の解決」

棚町: この画期的な仕組みを普及させるための最大の壁は何でしょうか?

福田代表: ズバリ「資金」です。技術も特許もありますが、量産体制を築くには数十億単位の資金が必要です。しかし、これまでの15年間、金融機関からは「今どきバイクメーカーなんて」と相手にされず、友人からも反対されてきました。

棚町: しかし、最近になって風向きが変わってきたとお聞きしました。

福田代表: はい。ある証券会社の元役員や、上場支援を専門に行う会社の方々にこの事業を説明したところ、目の色を変えて驚かれました。「4輪のEVで上場している企業(テスラなど)はあるが、2輪の本格的なEVメーカーで世界的に上場している企業は1社もない。これは100倍の株価になる可能性がある」と評価していただいたのです。

棚町: 大手既存メーカーなどと組むお考えはあるのでしょうか?

福田代表: もちろんです。もしトップにお会いできたら、「これまでに世界中で売ってきたガソリンバイクを、販売店ネットワークを使って全てEVに載せ替えましょう。そうすれば、排気ガス問題を解決し、大いなる社会正義を実現できます」と提案したいと考えています。ベトナムなどでは排気ガスによる大気汚染が深刻で、都市部でのバイク乗り入れ規制が検討されるほどですから、社会的意義は非常に大きいです。

■ 「国よりも株式会社が上」生涯起業家の尽きない野望

棚町: 海外からの引き合いも強いそうですね。

福田代表: ええ。中東からは「脱石油の次世代産業として、メイド・イン・中東のEVバイクを作りたい」というオファーが来ており、アフリカの政府関係者からも「工場を作ってほしい」と直接打診がありました。バイクは日本が誇るべき産業です。今、再び日本の確かな技術と品質を求めてきているのを感じます。

棚町: 福田社長のアイデアとバイタリティには本当に驚かされます。15社も起業されてきた原動力は何でしょうか?

福田代表: 私にとって、起業は「趣味」のようなものです。街を歩いていても、「自分ならこの店をこう変える」と次々にアイデアが湧いてきます。

私は、**「株式会社は人類が作った最高のシステム」**だと考えています。利益を出せなければ淘汰され、能力のある人が集まり、自らの意思で参加して価値を生み出す。極端な話、国よりも株式会社の方が優れた仕組みだと思っているくらいです。

棚町: 今後、この日本電動のプロジェクトが軌道に乗った後、さらに挑戦したいことはありますか?

福田代表: 本当はこの電動バイク事業は数年で終わらせて、次の事業をいくつも立ち上げるつもりでした(笑)。「モノを作る」商売はこれが初めてで、想定以上に時間がかかってしまいましたが、私の得意分野は「モノを売る」ことです。

これからの時代、コンセントのないバッテリー駆動の製品が主流になります。私はそれを**「外電(がいでん)」**と呼びたい。いずれは、家電量販店ならぬ「外電ショップ」を世界中に作りたいですね。命ある限り、ゼロから会社を創り続けたいと思っています。

(IRuniverse Y.T)

日本電動社は3月17〜18日の第13回バッテリー&クリティカルマテリアルサミットに出演予定です!
第13回 Tokyo Battery Summit ~各国の資源政策とクリティカルマテリアルの今~

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