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ロシア、レアアース完全自給へ「メンデレーエフ・バレー」を始動

2026/02/16 14:30 FREE
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ロシア、レアアース完全自給へ「メンデレーエフ・バレー」を始動

2030年までに3,000トンの生産体制構築を目指す

ロシア政府は今月、国内のレアアース(希土類)および希少金属の産業基盤を抜本的に強化するため、クセニア・ショイグ氏を「メンデレーエフ・バレー」基金の責任者に任命した。プーチン大統領の指示に基づく「希少金属・レアアース金属産業発展行動計画」を背景に、ロシアは単なる「資源供給国」から「高度加工・材料供給国」への転換を急いでいる。

 弱点克服へ:技術の壁を打ち破る「産学官連携」

ロシアは世界有数のレアアース埋蔵量を誇るが、これまでは分離・精錬、さらには磁石製造といった中核的な加工工程において、他国に大きく依存してきた。この技術的な遅れを解消するための司令塔となるのが、今回ショイグ氏が率いることになった「メンデレーエフ・バレー」だ。

同センターは、シベリア連邦大学やメンデレーエフ化学工業大学の研究成果を基盤とし、企業、大学、研究機関が一体となるプラットフォームとして機能する。最大の使命は、レアアースの分離・高純度化技術を確立し、採掘から最終製品までを一気通貫で国内完結させる「フルバリューチェーン」の構築にある。

2030年に向けた野心的な投資計画

ロシア政府は、この国家戦略を成功させるため、かつてない規模の強力な財政支援を打ち出している。まず、レアアースについては2030年までに年産3,000トンの生産能力を確立することを至上命題とし、最大35%にのぼる手厚い補助金や研究開発(R&D)への直接助成を継続的に実施する。

また、対象はレアアースのみにとどまらず、リチウムやタングステンといった希少金属全般の増産も掲げており、これらを年産5万トン規模まで拡大させる計画だ。この壮大な構想を支えるべく、政府は連邦予算から約600億ルーブルを投じて20件の重点プロジェクトを全面的に支援する。さらに、低利融資の実行や関税優遇措置の適用といった多角的なバックアップ体制を敷くことで、民間企業が積極的に参入し、技術革新に挑みやすい環境整備を急いでいる。

国際市場へのインパクト

現在、工業・商務省が産業育成をリードし、天然資源省が原材料の確保を担うという強固な政府体制が整っている。「メンデレーエフ・バレー」を軸とした研究開発が、分離・精製技術の突破口を開けば、ロシアは世界のハイテク産業におけるサプライチェーンの勢力図を塗り替える可能性がある。

自国資源を自国で高度加工し、高付加価値製品として輸出する。この転換が成功すれば、ロシアの経済および安全保障上のプレゼンスは一層高まることになるだろう。

 

(IRuniverse)
 

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