2026年初頭、トルコは金属スクラップ(鉄スクラップ)や廃棄物関連の輸入規制に関して、重要な制度変更を相次いで導入した。第一に、「環境保護の観点から管理対象とされる金属スクラップの輸入検査に関する通達(2026/23)」が公表された。
続いて、環境・都市化・気候変動省は、金属スクラップや使用済み電池、蓄電池を含む廃棄物の輸出入について、電子許可制度へ移行する方針を発表した。
これらは単体で見れば事務的な制度変更にも見える。しかし合わせて読むと、国境での管理強化と、許可プロセスの一元化・可視化を進める政策方向が浮かび上がる。
検査強化:分類と書類の重要性が増す
2026/23の枠組みでは、輸入される金属スクラップに対して、より詳細な検査が求められる。分類の正確性、環境基準への適合、書類整備がこれまで以上に重視される形だ。トルコは以前からスクラップ輸入を規制してきたが、新制度では「入港後に調整する」のではなく、通関段階で輸入者が適合性を示す責任が強まる。
電子許可制度:港ではなく“事前管理”へ
電子許可への移行は、この流れをさらに補強する。廃棄物・スクラップ・電池関連の輸入承認をデジタル化することで、当局は貨物到着前に数量、原産地、品目を把握しやすくなる。市場参加者にとっては、問題や遅延が港で突然発生するよりも、より早い段階で判明する可能性が高まる。
世界最大級の輸入国だからこそ影響は大きい
この制度変更が重要なのは、トルコがスクラップ市場で小さな存在ではないからである。国連COMTRADEのデータでも、トルコは鉄スクラップ輸入国として世界最大級に位置づけられている。 同国の鉄鋼生産は電炉(EAF)依存が高く、その原料として輸入スクラップが不可欠だ。したがって検査ルールや許可制度の変更は、単なる手続きの話にとどまらず、輸入の円滑さ、供給計画、そして市場の信頼感に直接影響する。
今後の焦点:制度設計より運用の一貫性
短期的には、検査強化と電子許可導入が同時に進むことで、適応コストや手続き負担が増し、取引のタイムラインが遅れる可能性もある。ただし、品質管理と書類対応が整った供給者にとっては、基準が明確になることで不確実性が減る面もある。 最終的に鍵となるのは制度そのものより、運用が透明で一貫しているかどうかである。安定的に適用されれば、トルコは規制が整った信頼できるスクラップ輸入市場としての地位を強めるだろう。一方で運用が不均一であれば、鉄鋼産業が依存する供給網に摩擦を生むリスクも残る。
参考リンク 金属スクラップ輸入検査通達(2026/23) https://www.mevzuat.gov.tr/mevzuat?MevzuatNo=42907&MevzuatTur=9&MevzuatTertip=5
廃棄物輸出入の電子許可制度への移行(環境省発表) https://csb.gov.tr/haberler/atik-ithalat-ve-ihracatinda-elektronik-izin-donemi-
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ゴヌルタス メーメット
トルコ・イスタンブールを拠点とするフリーランスジャーナリスト。国際関係および外交を中心に執筆しており、特に日土関係、軍事問題、民主的ガバナンスを主なテーマとしている。趣味はランニング、語学学習、旅行。
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