日本国内において、ハイテク産業で利用されるレアアース(希土類)の調達先を多角化する動きが進んでいる。双日は、2027年半ばを目途に、希少性の高い中重希土類のオーストラリア産輸入を現状の2品目から最大6品目へと拡大する方針である。
現在、中重希土類の生産は中国が大きなシェアを占めているが、自国での精製を進めるフランスとの共同事業などが始動しており、特定の国への依存を低減する取り組みが国際的に見られる。
新規品目の輸入開始と生産能力の増強
双日は、2026年4月より豪州産「サマリウム」の輸入を開始する予定である。同社が出資する豪レアアース大手のライナスが豪州西部で採掘し、マレーシアの分離精製施設で生産されるものを調達する。
- サマリウムの用途: 航空機向け永久磁石や原子炉など。
- 市場動向: 中国外での商業生産は今回が初となる。日本の年間需要は約80トンであるが、双日の具体的な輸入量は現時点で未定である。
マレーシアの精製施設では、今後の拡張計画として以下の対応が予定されている。
- 新規生産: サマリウムに加え、医療画像診断や原子炉の制御棒などに使用される「ガドリニウム」の生産を開始予定。
- 生産能力増強: 電気自動車(EV)用モーターなどに使用される「ジスプロシウム」と「テルビウム」(重希土類2品目)の生産能力を拡大。
- 中長期目標: 2年以内に新設備において原料ベースで年間5,000トン規模の処理を目指す。2027年半ば頃には、輸入品目としてガドリニウムや医療機器向け超電導材料に使用される「イットリウム」など、2〜3種類の追加が見込まれている。
双日とライナス社のこれまでの経緯
双日とエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)によるライナスへの支援と調達の経緯は以下の通りである。
- 2011年: 両者で約200億円を出資し、軽希土類4種類(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム)の調達を開始。
- 2023年: 180億円を追加出資し、重希土類(ジスプロシウム、テルビウム)の供給契約を締結。
- 2025年10月: 同重希土類2品目の日本への輸入を開始。
背景:中国への依存と輸出規制の動向
世界各地に分布する軽希土類とは異なり、中重希土類は中国南部に産地が偏在しており、世界の調達の大部分を中国に依存している状況にある。2026年1月には中国政府がデュアルユース(軍民両用)レアアースの輸出規制を強化しており、安定的な確保に向けた供給網の多角化が産業界の課題となっている。
※サムネイル画像は経産省ホームページから引用
(iruniverse yt)