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第13回 Battery Summit in TOKYO: 1日目前半はウクライナやコンゴなどから登壇

2026/03/18 20:09
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第13回 Battery Summit in TOKYO: 1日目前半はウクライナやコンゴなどから登壇

 Iruniverseは3月17-18日、「第13回 Battery Summit in TOKYO」をベルサール御成門タワー(東京・港)で2フロアを貸し切って開催した。1日目となった17日の前半部分のうち、4階部分で行われた講演を報告する。

■K66  Volodymyr (Vol) Berezhniy(ウォロディミル・ベレジニー)氏―日・米・欧・ウクライナの産業統合:レアアース磁石および重要鉱物の同盟国間サプライチェーンの強化

 トップバッターは同盟国中心のNdFeB磁石の包括的サプライチェーン(供給網)構築を目指す「K66プロジェクト」の創始者で、ウクライナ出身のVol氏。オンラインでの参加となった。

 同氏によると、ウクライナでは戦争勃発以来、ドローンやロボットなどの兵器の能力向上と需要が拡大した。一方で信頼できる同盟国とのサプライチェーン構築の必要性も強く意識されるようになった。ここで、これらハイテク兵器生産で要となるレアアースのサプライチェーン構築が重要になってきたという。Vol氏は

 

「主導-米国」、「システム作り―日本」、「OEM-欧州」、「需要―ウクライナ」

 

 のサプライチェーン・モデルを提案する。このうち米国は合格基準などを有するため主導に適し、欧州は需要に近接する場所で生産することが可能でOEM請負に適する。Vol氏は「日本は価格にとらわれず長期に安定した仕組みを構築する能力がある」として、参画を求めた。Vol氏はレアアース産業について「最大の困難は処理であり、採掘ではない」とも話した。

 

APNI Meidy Katrin Lengkey 氏ーインドネシアのニッケル生産状況

Meidy Katrin Lengkey 氏

 

 2人目は順番を変え、インドネシア・ニッケル鉱業協会(APNI)事務局長であるMeidy Katrin Lengkey氏が登壇した。同氏はインドネシアのニッケル産業全体については「安定しており、新たな精錬所の建設が進んでいる」と、堅調な状態にあると説明。インドネシアは単純な資源輸出国から製造立国への転換を目指し、2020年にニッケル鉱石の対外輸出を禁止した。国内での鉱石生産も生産枠を設けて徐々に生産を減らしている。同氏は「生産能力が既にある中で減産に導くのに苦労している。また、加工業を盛り立てる中で、今度は鉱石が不足し、フィリピンなどからの輸入に頼る事態にもなっている」と話し、政府としてニッケル産業内のバランスをとることに腐心していると明かした。

 そうまでして生産をコントロールするのは、価格統制のためだ。インドネシアは世界のニッケル生産の7割弱を占めるため、生産をコントロールすれば価格の暴落を抑制できる。同氏はロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格が2025年の1トン当たり1万5000ドルから2026年には1万7750ドルへ値上がりした背景には、インドネシアのニッケル生産抑制があったと指摘し、2029年には2万ドルも達成可能と予測した。さらに、LMEおよび上海商品取引所(SHFE)と提携したインドネシア独自の金属取引所も「2027年か2028年ごろをめどに」開設を構想していると話した。

 

SMM Jean Tang 氏ー中国の銅市場について

Jean Tang 氏

 

 3人目は中国金属メディアの上海有色網(SMM)から、Commercial Director of Global Data & IntelligenceのJean Tang氏。同氏は車載向けのリチウムイオン(LFP)バッテリー材料について、当初予定のリチウムではなく銅箔を議題に変えた。というのは「足元の銅相場の上昇が、LFP産業で問題になっている」ためだ。

 そもそも中国の銅箔需要は、LFP向けの需要がけん引して、2025年に前年比46%増えた。中国は輸入銅箔の6割を台湾産に頼る。さらに銅箔は蓄電池(ESS)や人工知能(AI)でもニーズがあり、特に中国のAI産業の規模は2026年に前年から4割増しに拡大する見通しだ。このため「銅は在庫不足に陥る」(Tang氏)といい、2026年から、中国の銅箔市場は「需要が在庫を上回る供給不足に陥る」と予測した。

 銅については聴衆の関心も高く、後の質疑応答でもTang氏に対し、今後の需要見通しを尋ねる声があった。Tang氏は「AI向けがけん引し、今後5年間はまだ伸びそうだ」と予測していた。

 

CTCPM 冶金専門家 Egyul Mamoko氏ーコンゴ民主共和国(DRC)からスムーズにコバルトは供給できるのか

 

 Egyul Mamoko氏

 

 前半最後はコンゴから2人登壇。CTCPM 冶金専門家の Egyul Mamoko氏がオンラインで参加し、駐日特命全権大使のLukumwena Nsenda氏が現場で補う形で講演した。

 まずはMamoko氏がコンゴの概要を紹介した。アフリカ大陸中部にあり、国土をカッパーベルトが縦断する。主要鉱物は銅、コバルト、コルタン(タンタル・ニオブ複合物)。銅とコバルトの鉱山は南部に、コルタン鉱山は東部に多い。銅の生産量は2020年から2025年までに倍増した。コバルトは2025年に価格安定を目的に輸出制限を行ったため2025年は鈍化したものの、2024年には2020年比で2.5倍に生産が増えていた。コルタンは多少の波があるものの、安定した生産が続いている。

 これらの鉱物は先進国の基幹製品にとりなくてはならないものだ。Nsenda氏は「まず自動車、次いでスマートフォン、今は電気自動車(EV)がコンゴ産金属の供給先になった」と説明。「スマホを持つことはコンゴに投資していることになる」と指摘し、「コンゴには未開発の鉱山がまだ多い。さらに、数百万人が鉱業への就業を望んでもいる」として、「日本からコンゴへの投資を望む」と話した。

 

Lukumwena Nsenda氏

 

■質疑応答、米国の関与やレアアースの優位性に関心

 その後、4氏が舞台に上がり質疑応答が行われた。

 まず、特にコンゴとインドネシアとについて、「米国の影響はどうか」との質問があった。コンゴのNsenda氏は「2025年に両国政府が戦略的パートナーシップを結んでおり、今後は採掘事業に米国が関与してくることになると思う」と明かした。一方のインドネシアのLengkey氏は「現時点では米国による鉱業への直接的な影響はない。大国というなら中国の影響が強いが、米中どちらの技術がより効果が高いのかを常に検討している」とし、バランスぶりを強調した。同氏はこの後に問われたニッケルのリサイクルに関しても「インドネシアでは現時点で行われていない」として、進出する中国企業に任せている現状を示唆した。

 一方、ウクライナを最終需要とするレアアースのサプライチェーン構築を提案したK66のVol氏に対しては、「価格面で中国に向けてしまうのでは」との質問があった。Vol氏は「需要が十分なので過剰生産にはならず、サプライチェーン内での価格は安定させられる」と話し、「政策の実行も大切だ」と指摘した。「カナダなど同盟国を巻き込み、スクラップなども活用していくことを構想している」とも話した。

 議題に上った鉱物以外の強みを問われ、各国が回答する場面もあった。「コンゴはタンタル」「インドネシアは重要鉱物、レアアース、ボーキサイト」「中国はグローバルな加工技術」「ウクライナはグラファイト、リチウム」をそれぞれ挙げた。

 

(IR Universe Kure)

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