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【第1弾】PrimobiusのMichel Siemon氏、日本の電池リサイクル現場を視察

2026/03/25 09:50
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【第1弾】PrimobiusのMichel Siemon氏、日本の電池リサイクル現場を視察

(左から:田尻氏、北岡氏、Michel氏)

― 第13回東京バッテリーサミット後、大阪ツア―

第13回東京バッテリーサミットの翌日、リサイクセッションに登壇したMichel Siemon氏が、日本の電池リサイクルの現場を学ぶため、IRuniverseのアテンドのもと大阪のリサイクル施設を訪問した。今回訪れたのは、レアメタルリサイクルを手がけるMetal Doと、日本リサイクルセンターの2拠点である。本稿では、第1弾としてMetal Do西淀川事業所での視察内容を中心にレポートする。

西淀川事業所:電池リサイクル工場

Metal Doの本拠地は大阪ミナミにあるが、今回の訪問では国内営業部の北岡氏と本事業所リーダーの田尻氏の案内のもと、LIB(リチウムイオン電池)の選別・ブラックパウダー生産設備稼働拠点である西淀川事業所を視察した。最初に案内されたのは、電池の受入・選別工程である。ここでは、製造工程から発生する極板・巻取体・電池などからレアメタルを回収する。処理量は月間で平均200t程にのぼるという。

電池構造の理解:セルとフォイル

施設ではまず、LIBの基本構造について説明があった。回収対象となる電池は以下のように多岐にわたる:

  • 円筒型電池
  • 角型電池(車載用)
  • ラミネート型電池(スマートフォン、ノートPC等)

特に回収量が多いのは車載用電池である。また、レアメタルが一番多く回収できるのはEV自動車の電池である。

車載用バッテリーのセル

ブラックパウダー生成プロセス

回収される電池内部は、正極材・負極材・セパレーターを含む「セル」で構成される(ここでは工程廃材の電池回収であるため、電解液は含まれていない)。中でも重要なのが、電極を支える金属シートである「フォイル」だ。絶縁体によって正極材と負極材が分離され、それらが巻かれた構造になっている(巻取体(ジェリーロール)とよばれる)。

正極材にはアルミ箔とNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)が含まれており、これがブラックパウダーの主成分となる。一方、負極材には銅やカーボンが含まれている。

  • 正極材:アルミ箔(Al)+活物質(NCMなど)
  • 負極材:銅箔(Cu)+カーボン 

しかし、電池から正極材・負極材を取り出さずに焼却や破砕などでリサイクルする場合もあり、そこから生成されるのが「ブラックマス」と呼ばれる。

つまり、このように、正極材由来のブラックパウダーは不純物が少なく、一般的に品質が高いとされている。

正極材のフォイルシート

破砕工程:乾式プロセスの現場

次に見学したのは破砕設備である。この工程では、正極材フォイルからアルミと活物質(ブラックパウダーの元)を分離する。

工程は以下の通り:

  1. 投入口からフォイルを投入
  2. 3段階で破砕(最終はハンマーミル)
  3. 風力で粉体を搬送
  4. ふるい分けにより粒径で分離 

アルミは粒径が大きく、ブラックパウダーは微細なため、ふるいの穴径で分離が可能となる。

Primobiusとの技術比較:湿式 vs 乾式

視察中、Michel氏から興味深い比較があった。

Metal Doでは:

  • フォイル(主に正極材)のみを対象
  • 工程廃材(production scrap)中心
  • 電解液を含まないため安全性が高い 

という特徴がある。

その一方でPrimobiusの設備では、フォイル単体ではなくセルやモジュールごとに処理可能であり、前処理を簡略化できるという。

Michel:「我々の湿式プロセスでは、セル全体を投入できるため、人手による分離工程が不要になる」

日本の放電処理:3つのアプローチ

放電に関してMetal Doでは実際に電解液を含む電池も回収しているが、未放電・放電済の電池はブラックマス生成を行う協力会社にて外注加工し販売している。北岡氏は日本の主な電池の放電処理について説明した。

電池リサイクルにおける放電方法としては、主に以下の3つが挙げられる:

  1. 燃焼処理(加熱炉や乾燥炉など)
  2. 塩水による放電処理
  3. 窒素雰囲気下での荒破砕処理 

Michel Siemon氏はPrimobiusの放電工程について次のように述べた。

「放電が必要かどうかはプロセスによります。場合によっては完全放電は不要です。特にAPEXのような処理システムを使用する場合、充電状態は最大でも約30%程度まで下げれば十分です」

さらに同氏は、安全性についても言及した。

「当社のプロセスでは、水中で破砕を行うため、電池の爆発リスクは極めて低く抑えられます。また、設備内には窒素雰囲気の工程も組み込まれています」

生産能力と事業戦略

Michel氏は西淀川事業所のブラックパウダー生産能力についても質問した。ブラックパウダー生産能力は月間生産量:約70トン で、原料として正極材フォイル 約80トン 必要とする。操業は1日1シフト である。供給量に応じた運用であり、過剰設備投資を避けた現実的な設計となっている。

正極特化 vs フル処理:戦略の違い

Metal Doは、あえて正極材に特化した設備投資を行っている。

  • メリット:コスト効率が高い
  • デメリット:セル全体処理は不可 

一方、ブラックマス全体を処理する設備は:

  • 多様な電池に対応可能
  • ただしコストは高い 

北岡氏は今後について次のように語る:

「今後はブラックマス処理設備の需要も高まる可能性がある」

今後の連携に期待

最後に、Metal Do側からはニッケル系を扱うメインヤード(2nd物流センター)やチタンやスーパーアロイなどの加工を行う1st物流センターへの訪問が提案され、同社がメインで扱う分野への理解の深化に期待が寄せられた。

これに対しMichel氏も、「ぜひドイツにも来ていただき、我々の湿式設備をご覧いただきたい」と応じ、日欧間の技術交流の可能性を示した。

関連記事:メタルドゥ LIBブラックパウダー生産設備稼働

(IRuniverse R.S.)

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