インドネシア政府のニッケル政策が好悪交錯している。管轄当局の大臣がニッケルと石炭の輸出関税を発表した一方、生産枠の拡大も示唆した。世界のニッケル生産の過半を占める一大生産国の政策のつかみどころが難しく、ロンドン金属取引所(LME)のニッケル価格も乱高下している。
■財務相が関税発表、資源相は生産割当の緩和を示唆
ブルームバーグ通信などの3月26日までの報道によると、インドネシアでは、まずプルバヤ・ユディ・サデワ財務相が3月25日、「プラボウォ大統領が同日、石炭とニッケルの輸出関税を承認した」と発表した。
しかし、その後にエネルギー・鉱物資源省相が3月26日に発表したプレスリリースでは、同省のバリル・ラハダリア大臣がニッケルと石炭の生産について「(割当枠の)緩和は測定可能だ」と指摘したと記載された。同氏はリリースの中で、「ニッケル鉱物ベンチマーク価格(HPM)を引き上げる」とも述べた。
プレスリリース(エネルギー・鉱物資源省): Kementerian ESDM RI - Media Center - News Archives - Genjot Energi Domestik, Hilirisasi Rp239 Triliun Jadi Penopang Kemandirian
■輸出厳格化も国内産業は支援か
インドネシアは単純な資源輸出国から製造立国への転換を目指す。ニッケルは2020年から鉱石輸出を禁止し、生産も割当枠(RKAB)を設けてきた。2026年のRKABは2億6,000万-2億7,000万トンだ。
今回の政策は、輸出は引き続き絞るが、国内流通は拡大する方向と言えるだろう。背景には、中東紛争の長期化で国内産業がひっ迫しつつある事情があるようだ。2026年のRKABはインドネシアのニッケル製錬協会であるFINIが推算するニッケル需要約3億4,000万-3億5,000万トンよりも小さく、原料不足が言われていた。
インドネシアの政策が好悪交錯したため、国際価格も荒い値動きとなっている。LMEのニッケル価格は3月25日に$1万7320/tonと前日から2.9%上げた。その後は3月26日に$1万7020と1.7%下落した。
過去3か月間のLMEニッケル価格の推移($/ton)

(IR Universe Kure)