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紙・古紙市場近況 4月:燃料高騰が世界の古紙市場を締め上げるか

2026/04/30 09:34
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紙・古紙市場近況 4月:燃料高騰が世界の古紙市場を締め上げるか

4月の紙、板紙需給、および古紙市場の動向を、国内における需要と海外事情の両面から見ていく事にする。国内における古紙の流通に大きな変化はないが、海外における燃料高騰によりその負担分を巡って丁々発止のやり取りが続く傾向となっている。

 

 「紙・板紙需給」4月

紙・板紙の国内出荷は前年同月比0.4%増、6ヶ月ぶりのプラス。グラフィック用紙は7.9%減、17ヶ月連続のマイナス。パッケージング用紙は2.9%増、3ヶ月ぶりのプラス。主要品種は、新聞用紙、印刷・情報用紙はマイナス。包装用紙、段ボール原紙、白板紙、衛生用紙はプラス。

紙・板紙の輸出は前年同月比8.6%増、3ヶ月ぶりのプラス。グラフィック用紙は3.2%増、4ヶ月ぶりのプラス。パッケージング用紙は11.1%増、2ヶ月連続のプラス。グラフィック用紙では、塗工紙を中心に印刷用紙が北米、東アジア、南アジア向けで増加。パッケージング用紙では、段ボール原紙が東南アジア、東アジア向けで増加。

 

 (紙板紙需給統計)

https://www.jpa.gr.jp/file/summary/1776649479_2026%E5%B9%B43%E6%9C%88%E7%B5%B1%E8%A8%88.pdf

 

「古紙需給」

 

  古紙の需給状況について、公益財団法人古紙再生促進センターの資料によれば2025年4月から2026年2月までの古紙回収量は古紙12,976,261tとなり前年同期比で3.2%減少。消費は12,935,411tで前年同期比2.9%減少。輸出量は2025年4月から2026年2月時点で1,731,071tと同比0.2%の増加となっている。

 

古紙の回収と消費については前月と同様のペースの回収率となっている。

 

 (古紙需給)

 

 (古紙輸出量)

(出典:古紙再生促進センター資料)

 

古紙の需給は、入荷は1,048千トンで前年比3.7%減、2ヶ月連続の減少。うち新聞古紙は118千トンで前年比6.8%減、7ヶ月連続の減少。段ボール古紙は659千トンで前年比1.6%減、2ヶ月連続の減少となった。消費は1,088千トンで前年比3.0%減、16ヶ月連続の減少となった。在庫は608千トン、前月比では6.1%減、前年比では2.7%増となった。輸出は172千トンで前年比25.5%増、7ヶ月連続の増加となった。ベトナム、台湾が主な輸出先である。

 

【市場動向】

サーチャージの負担増 5月は実質8ドル下げに

 日本の古紙輸出量は対前年比で伸びているものの、中東事情の悪化による海上運賃の上昇及び燃料サーチャージの上乗せにより、混迷の中にある。ベトナム・台湾・韓国・タイ向けのサーチャージの上乗せ額は1コンテナに付き200ドル、これ以外の国は更に高く、200~300ドル。このサーチャージ200~300ドルにより、海上運賃が2~3倍に膨れ上がっているのが現状だ。

 船会社によってフレートは異なるが、いわゆる古紙フレート(帰り便で空いたスペースに古紙を積む特別価格)では、概ね韓国・台湾向けは150ドル前後、ベトナム・タイ向けが200ドル前後、インドネシア・マレーシアが250ドル前後。この破格の古紙フレートが存在することで、世界の古紙輸出が成り立っているとも言える状況だった。しかし前述のように、この古紙フレートにサーチャージが加算されることになると話は別だ。多少のバラつきがあるものの、例えばベトナム向けは既存のフレート200ドル+サーチャージ200ドルで計400ドルとなり、以前のフレートの2倍となっている。韓国・台湾向けについても、150ドル+200ドルで計350ドルとなり、こちらは2.3倍となる。

 JーOCC(日本の段ボール古紙)のドル価格の推移では、4月22日時点のベトナム向けドル価は160~161ドル。4月上旬には最高で167ドルまで上昇したが、月内に6~7ドル下落。前述の1コンテナ200ドルのサーチャージの費用は、OCCだと1コンテナに25トンを積むことが出来るので、1トン当り8ドルの負担増となる。現在のドル価を161ドルとすると、実質的なドル価は153ドルとなる。

 ちなみにサーチャージは誰が払うのかという論争は以前から絶えない。これまでは、需給がひっ迫している状況だとバイヤーが払うことになり、需給が緩んでいる状況だとサプライヤーが負担することになるということが多かった。現在の状況だとサプライヤー負担となり、問屋手取りが減る状況となる。ただ東南アジアメーカーも需要はそれほど上がってこないが、不透明な世界情勢や欧州品・中東品の入荷が悪いことから、米国・日本・豪州等から輸入古紙を積み増ししたい状況ではある。しかしサーチャージ分を上乗せしてまで買いたくないというのもまた本音であり、やや我慢比べの様相になっている。

 東南アジアの段原紙メーカーは、中国の古紙輸入規制が始まる前の2017年以降、中国向けに段原紙輸出量を伸ばしてきた。中国向けに原料として古紙の輸出ができないので、代替地として生産をして輸出という形に振り替えた恰好である。しかし中国経済の停滞による需要減で、段原紙輸出量は以前よりも減少し、価格も大幅に下落した。以前のように価格が高い輸入OCCを使って生産できないという事情がある。また強度を保つために米OCC(または木材バージンパルプ)を一定量を使用せざるを得ないという事情もあり、米国品以外のOCCを高く買うつもりはないというのが、東南アジアメーカーの本音だと言えるだろう。

 これらの理由により、5月積みの日OCC輸出価格は、ドル価152~155ドル、円価の問屋手取りは再び18円台になると思われる。また日ONP輸出価格は横ばいで、ドル価180~190ドル、円価24円台が中心。日OMG輸出価格は140~145ドル、円価は17円台が中心となる。いずれの品種の輸出価格も低調であり、国内メーカーの在庫量も比較的多いことや発生期ということもあり、国内価格も調整が入ると思われる。3品ともにプレミアム価格(建値に上乗せされている価格)の見直しが行われるという見方が強い。

 

国内古紙価格

 国内の古紙価格については、段ボール古紙が18円、新聞紙古紙が17円、雑誌古紙が15円程となっている。横ばい推移を続けているが、新聞紙古紙については輸出価格が25円程と価格低下が継続しつつあり、まだ下がる物と見られている。雑誌古紙については輸出価格が20円程と、わずかながらの安値傾向を見せつつある。

 

(段ボール古紙価格と雑誌古紙価格の推移 市中実勢 JPY/kg 年単位)

 

製紙は包装用紙が増加 古紙は模造のみ増加

 26年1~2月の紙・板紙生産量は321万トンで対前年比4.8%減となった。25年は通年の生産量が計2.4%減だったが、26年は生産減が顕著になっていることが分かる。

 品種別の生産量では、新聞用紙が16.9%減、印刷・情報用紙が9.2%減と減少率が高くなっている。また20年比では唯一の成長品種である衛生用紙だが、昨年に続いてマイナス成長となっており、2.7%減。今年1~2月では、包装用紙のみがプラスとなり、0.9%増。紙全体では8%減となっている。

 板紙では、段原紙が1.5%減、白板紙が3.3%減といずれも低調だった。しかし1~2月の段ボール(シート・箱)の消費量としては、対前年比0.4%増となっている。通販・宅配・引越向けが3.7%増、青果物向けが2.1%増、包装用以外が15.1%増。包装用以外は、段ボールベッドやディスプレイ用、投票用や募金箱等の用途に使用されている。今年4月から実質的に行われる段原紙・段ボールの値上げに伴う駆け込み需要もあるだろう。

 

古紙需給

 26年1~2月の古紙回収量は247万トンで、対前年比3.6%減。量にすると9万1千トン減。また古紙消費量は216万トンで、対前年比4.5%減。こちらは量にすると10万1千トン減。国内消費量が低調なことから、輸出量は19.3%増となっている。では品種別に見ていこう。

 26年1~2月では、品種別で古紙回収量が増加したのは模造・色上のみとなった。回収量は23万3千トンで、対前年比2.2%増。輸出量は20%増加し、メーカー在庫量は、昨年2月末は6万6千トンだったが、今年2月末は8万6千トンに増加。在庫率は昨年は59.1%だったが、今年は78.3%に上昇している。

 段ボールの回収量は156万トンで対前年比2.1%減。国内消費は1.5%減、輸出は18.4%増。在庫量・在庫率は昨年同期とほぼ横ばいとなっている。

 新聞の回収量は27万3千トンで対前年比3.2%減。国内消費は12.8%減、輸出は88.9%増。2月の新聞の輸出量は1万トンを超えたが、1万トン超は1年7ヵ月ぶりだった。在庫量は依然として多く、在庫率は昨年同期の61.9%から今年は108.3%と高い。

 雑誌の回収量は31万1千トンで対前年比13.4%減。国内消費は11.1%減、輸出は16.7%増。在庫率は、昨年同期の80.5%から55%に低下している。

 

 (IRuniverse Ryuji Ichimura) 

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