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25年度工作機械受注調査 25年度12.9%増の1兆7047億円、26年度は1.9兆円規模へ最高額更新期待

2026/05/07 11:05
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工作機械工業会25年度受注 25年度12.9%増の1兆7047億円、26年度1.9兆円期待

日本工作機械工業会が発表した2025年度の工作機械受注額は、前年度比12.9%増の1兆7046.7億円となり、3年ぶりに1兆7000億円を超え歴代3番目の規模を記録した 。外需が力強く牽引、中国やアメリカ向けが最高額更新するなどを背景に過去最高の1兆2585.7億円を達成した 。一方、内需は微増にとどまり低迷が続いている。 2026年度は半導体関連やデータセンター向け需要の拡大、フィジカルAIの拡大、政策支援などを追い風に、過去最高となる1.9兆円規模の受注が期待される 。

 

25年度前年度比12.9%増の1兆7047億円と3年ぶりに1兆7000億円超を獲得

4/28の15時に日本工作機械工業会の25年度工作機械受注確報が開示された。25年度受注額は1兆7046.7億円(前年度比12.9%増)と2年連続増、22年度以来の1兆7000億円超となり、歴代3番目の受注額となった。

 

外需18.1%増1兆2586億円は2年連続1兆円超、初めて1兆2000億円乗せに

外需は1兆2585.7億円(18.1%増)となり、2年連続1兆円超、22年度の1兆1240億円を抜き過去最高額で、初めて1兆2000億円乗せとなった。なお2026年3月に単月1430.0億円(同月比40.4%増、前月比30.5%増)と18カ月連続増、過去最高額を更新した。

主要3極別ではすべてで増加した。まず最大地域のアジアが6309.2億円(15.4%増)と2年連続増加、2014年度の5600.5億円を抜き、はじめて6000億円を突破し過去最高となった。

このうち東アジアは4850.8億円(18.1%増)となったが、けん引するのは中国である。中国は4318.2億円(12.1%増)と、2年連続増加、17年度の3651億円を抜き、過去最大額で4000億円乗せとなった。工作機械受注全体に占める比率が25.3%、外需の34.3%を占める。中国では国策補助金継続、さらには人型ロボットの量産本格化で多関節、ロボットハンド向け指関節用に歯車加工機などが活況を呈し、一般機械向けが1511億円(23.5%増)と伸長し最高額を大幅更新した。自動車向けもEV/PHEV向けが依然として旺盛で1408億円(20.3%増)とBYD向け大型商談などが寄与、22年度の1306億円を抜いて最高額更新となった。電気・精密向けも973億円(37.5%増)と、半導体製造装置向け部品加工、DC向けサーバーラック加工向けレーザー加工機などが拡大、スマホ向け活況だった21年度の1054億円に迫る受注額となった。

 

その他アジアは1458億円(7.2%増)となり、このうちインドが734億円(0.9%減)を占めるが、前年度の変動減でほぼ横ばいにとどまった。インド以外でタイ、インドネシアなどの増加で全体としては2年連続で最高額更新となっている。

北米は3962億円(29.8%増)で22年度の3335億円を抜き、過去最高額を更新した。約9割強を占める米国が3458億円(29.0%増)と22年度も3335億を抜いて過去最高額となったのが主因。米国の需要先別では一般機械が930.7億円(18.0%増)追加関税の影響は軽微で、省人化、複合加工機など、台数よりも金額の伸びが高かったとみられる。自動車も446.1億円(34.5%増)と、関税影響の反動増、非EV向けの投資増などが寄与したとみられる。全体の2割弱を占める航空・造船・輸送用機械向けは663.9億円(45.2%増)と主要先では最大の伸びを示し、過去最大を更新した。航空機向け、防衛産業など向けが伸長、単価も高く大きな伸びとなった。

欧州は2064億円(12.8%増)と4年ぶりに増加に転じ、2000億円大台に復帰した。低迷していた自動車向けが底打ち、航空・造船・輸送用機械が航空機・防衛関連向けなどで拡大したことが大きい。最大仕向け先のドイツは451億円(13.3%増)となったが、500億円大台には届かず、力強さには欠ける。イタリアは299億円(26.2%増)となった。

内需は0.4%増の4461億円と辛うじて増加もピーク時17年度の2/3水準にとどまる

内需は4461億円(0.4%増)と前年度比わずかに増加を確保したが、力強さに欠け、3年連続で5000億円を割り込む。ピーク時17年度の6880億円に対しては2/3水準にとどまり、いかに内需低迷が長引いているかがわかる。

主要4業種では電気・精密、航空機・造船・輸送用機械が増加した。一般機械は1768.7億円(1.0%減)と3年連続の減少。金型164.3億円(19.4%増)、建機90.3億円(8.3%増)などあるが、総じて伸び悩み。ピーク時2006年度の3306億円に対し約半分にとどまっている。自動車も849.9億円(8.3%減)で3年連続で減少した。これはピーク時2005年度2411億円の35%にしか過ぎない。この内で自動車部品が568億円(7.6%減)で3年連続の減少、EV関連の投資減退、米国関税、既存設備の更新見送りなどが影響している模様。完成車向けも282億円(9.8%減)と減少に転じた。米国関税問題に加え、EV関連投資の見送り、トヨタ以外の不振で投資抑制などが影響しているとみられる。電機・精密は579億円(10.3%増)。半導体、データセンタ向け、インフラ関連などで増加。航空・造船・輸送用機械は345.5億円(20.9%増)で、5期連続で増加し、ピーク時2015年度の329億円を抜き、過去最高額更新となった。この内航空機向けは188.3億円(21.9%増)と、5期連続増加し、2015年度の185億円を抜いて過去最高額更新となった。この背景には民間需要の回復に加え、防衛関連の需要増加が大きいとみられる。

内需全体として半導体製造装置向けやデータセンタ絡みで受注拡大がみられるが、全体として厳しさが続き、政策措置による回復に期待する動きが増している。

 

販売額は0.4%増1兆6040億円、受注残高は17.2%増8116億円と再度8000億円乗せ

販売額は1兆6040億円(0.4%増)と微増にとどまる。受注が3月に大幅増となったこと、納期について外需が長いことなどが影響している模様。受注残高は8116億円(17.2%増)と、3月過去最大の受注、しかも外需主要で拡大したこともあり、2桁の増加となった。受注残高は2026年2月に8000億円に復帰、24年7月以来の8100億円超となり、年度末としては2022年度末の8491億円に次ぐ残高となった。

2026年度受注は半導体、データセンタ向け拡大、内需は政策支援で1.9兆円最高額視野

 26年度工作機械受注について、工業会では2026年年初に、2026暦年予想を1兆7000億円(前年比6.0%)、内訳は内需4600億円(4.5%増)、外需12400億円(6.6%増)として公表している。しかし年度予想については開示してない。ただし、2026年3月上旬に実施し工業会会員アンケートでは、26年4~6月について、前期比(1~3月)比較で保合予想が74.2%を占め、2026年第2四半期以降も回復に期待を持つというアンケート結果が出ている。単純に25年度第4四半期受注実績の4858億円を4倍すると1兆9432億円(14.0%増)となり、2017年度の1兆7807億円を抜いて、過去最高額更新見通しとなる。

 現状、26年度の工作機械受注をけん引するのは半導体生産の拡大で繁忙となっている半導体製造装置メーカーの増産に伴う需要増、AIデータセンタ(DC)設備投資増に伴うサーバー需要、データセンタ設備に関連する電源設備、MLCCなどの各種電子部品需要拡大などが見込まれる。半導体製造装置については装置メーカーへの直接需要は小さいとみられるが、製造装置販売に伴う金属加工部品の調達が増えることで、部品メーカーの設備投資拡大が誘発されて工作機械需要増につながるとみられる。このため、部品メーカーの資本装備率を考慮すると、26年の日本の半導体製造装置販売が前年比15%増の5.6兆円程度に拡大するとみられ、部品メーカーの設備投資も同様に15%程度拡大するとして年間120億円~150億円の増加が見込まれる。実際には海外の半導体製造装置メーカー向けにも需要があるため、外需での受注インパクトもかなりあるとみられる。DC向けについては世界の総投資額が2025年に推定7140億ドル(57%増)、2026年には1兆ドル(40%増)に達するといわれている。ただしDC関連ではサーバー、GPU、ネットワーク機器が全体の7割から8割を占め、板金・プレスへの寄与が大きく、工作機械はレーザ加工機などに限定される。工作機械はファシリティ・インフラ設備向けの空調・冷却設備、オンサイト電力用各種機器用部品加工向け、また外部グリッド・電力設備投資への波及効果からの受注増が見込まれる。このため、仮に1兆ドルの設備投資が実行されても工作機械直接受注としては0.02%程度にとどまるとみられる。しかし機械重電市場には1%、切削加工部品市場へは0.2%程度の需要をもたらすとみられる。巨額投資であり、0.02%でも300億円程度の直接インパクトがある。これに間接市場からの波及効果3000億円を加えると、年間で3300億円程度の工作機械受注につながる。年率40%増前提で950億円の増加インパクトとなる。日本のNC工作機械の世界生産シェア15%と想定すると、140億円程度の受注増が期待されることになり、半導体製造装置向け受注増と同額程度増加インパクトが想定される。このほか、通信インフラ、世界の防衛装備拡張に伴う共産圏以外への受注増が見込める。自動車向けではEV不振でもPHEVやHEV向けの設備増強、無人運転に伴う自動車の電動化率加速に伴う設備投資などは着実に拡大するとみられる。また国内においては高市政権による造船、IT産業への積極投資、老朽化工作機械などに対する合理化、工作機械更新等への大型補助金実施などの内需特需も期待される。加えてエヌビディアなどが提唱するフィジカルAI投資拡大に伴い2026年以降に、先端工場ではフィジカルAIに対応する熱変位の自動補正、主軸の異常検知、加工条件の自動最適化などに対応した先進的な工作機械などへの需要も拡大が見込める。さらにフィジカルAIの恩恵を得るために工作機械単独販売から、ロボットや無人搬送機と連動した「自動化セル」のシステム販売で受注単価が上昇する可能性もある。

 このような需要環境の中で、主力工作機械各社が生産能力増強している。具体的には牧野フライスが210億円投じ富士吉田工場隣接地に新生産棟2棟稼働、オークマは140億円投資し江南工場に次世代ファクトリーを完成。DMG森精機は2027年完成予定で長岡に新工場建設予定など、各種新聞記事やHP掲載を調べると、大手中心に新工場投資が相次ぐ。また別途フィジカルAI対応の研究施設新設や関連企業との提携、M&Aなども進みつつある。

業界においては専業メーカーや開発能力に劣後するメーカーなどの苦戦が続く一方、大手工作機械メーカー中心に、受注残高が積み上がり受注拡大でも受注残高の消化が順調に進む環境が整っている。なお、前回24年7月に受注残高8100億円まで積みあがった局面では部材調達の遅れが問題となっていたが、今回は中東問題の中でも部材確保は適正水準を概ね確保できているとのこと。今後、中東情勢が不透明な中で、本格的な中東紛争や世界の紛争状況のさらなる悪化がない前提で、26年度の日本の工作機械受注は1兆9000億円程(11.5%増)、内訳は内需5000億円(12.1%増)、外需1兆4000億円(11.4%増)に拡大し、2017年度の1兆7803億円を抜き、過去最高受注額更新が期待される。

H.Okamoto

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