連休明けの国内ステンレススクラップ市場における、じり高基調の継続。LMEニッケル相場が19,000ドル台半ばで高値安定する中、実需家側の思惑が交錯。304系スクラップ価格がキロ当たり220円~230円へと水準を切り上げる一方、通常価格を主導する大手勢が不在という、異例のマーケット構造。
■ LME高騰と集荷強化が市場をリードする一方で・・
相場の下支え要因は、高止まりするLMEニッケル相場。これに呼応する形で、大同特殊鋼や愛知製鋼といった中部圏の特殊鋼メーカー、さらには日本冶金による一時的な集荷強化キャンペーンもマーケットを牽引。大同特殊鋼、愛知製鋼の単価は8日からの10円上げで230円を超えている。

■ 鳴りを潜める主役:日本製鉄と親和スチールの沈黙
今回の相場局面における最大の特異点。通常、マーケットの牽引役を担う日本製鉄ステンレス(JSP)および親和スチールの「不在」。
- 日本製鉄(およびJSP): 日本製鉄(光)が炉休を控えたタイミングながら、足元のステンレススクラップ在庫は余剰感あり。国内消費から一転、余剰在庫をインド向け輸出へ振り向けるという異例の画策。
- 親和スチール: 主力輸出先である韓国・ポスコ(POSCO)の減産に伴う割当枠(クォータ)の縮小。出荷停滞による購入マインドの著しい低下。
■ 「国内特需」vs「輸出・在庫調整」の二極化構造
従来のような「全方位的な上げ相場」ではなく、買い手の事情によって温度差が激しく分かれる二極化現象。
【現在の市場概況まとめ】
- 強気派(220~230円): 日本冶金、大同特殊鋼、愛知製鋼(原料確保・集荷キャンペーン優先)
- 弱気派(静観・調整): 日本製鉄、親和スチール(在庫過多、輸出枠縮小)
■ 今後の展望:マーケット・リーダー不在の不安定な需給
本来のプライスリーダーであるJSPが在庫調整に回り、シッパー最大手の親和スチールが輸出苦戦を強いられる中での、局地的な高値。
現在のじり高は、あくまで特定メーカーの「一時的な集荷キャンペーン」に依存した危うい均衡。日本冶金の買いが一段落、あるいは中部圏の在庫が充填された際、調整力(受け皿)を失った市場がどのような価格形成を見せるのか。インド向け輸出の成否を含め、大手勢の「次の一手」が焦点。
(IRUNIVERSE YT)