豪州ではこの度、重要鉱物の加工能力強化に向けた取り組みの一環として、ニューサウスウェールズ(NSW)州シドニー南部のLucas Heightsにある、政府系機関「オーストラリア原子力科学技術機構(ANSTO)」のキャンパス内に、下流工程の精製および先端製造を支援する2つの新施設が開設された。5月8日、マデレン・キング豪資源大臣を迎えて開所式が執り行われた。
2つの施設のうち、片方は、粘土鉱床に含まれる希土類(レアアース)鉱石を処理するためのもので、もう一方の施設は、高温塩素化施設として、半導体、太陽光パネル、通信機器、医療機器、防衛機器などの製造に不可欠な高純度石英(HPQ)を生産していくという。ディスカバリー・アラート紙(5月13日)紙によれば、高純度石英は、“レアアースほど世間の注目を集めてはいないものの、戦略的には同等に重要と言える素材“であるとのこと。さらに、半導体用石英の世界的な供給素は多くなく、ノルウェーと米国が支配的な地位を占めてきたそうで、ここに豪州が参入する意義は大きいと考えられているようだ。
キング大臣はANSTOからの声明において、 “加工能力を支える施設の整備は、国内の重要鉱物産業の強化や雇用創出に加え、海外のサプライチェーンへの依存度を低減するための鍵でもある”とコメントし、これらの施設へ期待を寄せる。また、豪州に関しても、「重要鉱物や希土類に関して世界的に主導的な役割を果たすという責任を果たしている」との評価を示した。なお、ANSTOからの発表によれば、これら2施設の建設は、豪州の最も重要な科学・地球科学機関3つ(ANSTO、CSIRO、Geoscience Australia)を結集した協働枠組みである「オーストラリア重要鉱物研究開発ハブ」の協力のもと実現したとのことである。
前述ディスカバリー・アラート紙(5月)は、今回開所に至った2施設を、“豪州産業界にとって真に画期的な存在”と評価し、これまで“(鉱物など原材料を)掘り出し、輸出し、価値の大部分が他国で生み出されるのをただ見守る”だけであった、つまり資源大国でありながら加工能力が備わっていなかった豪州の状況が大きく変わるチャンスであるとの見解を示している。