第3回中国金属リサイクル春季会議2026(主催:中国有色金属工業協会(CNIA)の再生金属支部(CMRA))が、ベトナム・ハノイ市のJW Marriott Hotel Hanoiにて、2026年5月9日から12日までの4日間の日程で開幕した。
本稿ではMIRU取材チームが展示ブースで出会った企業や、会場での立ち話から見えてきた金属リサイクル業界の最新動向を紹介する。
臨沂朱氏偉業再生資源設備有限公司(Zhushi Weiye Renewable Resources Machinery Co.,Ltd)
臨沂朱氏偉業再生資源設備有限公司は、再生資源向けインテリジェント選別設備を主力とする中国企業である。同社設備は中国国内で多数の導入実績を持つだけでなく本、韓国、ロシア、タイ、インド、ドバイ、米国などといった海外市場にも積極展開している。日本市場では三菱長崎が代理で設備を扱っているという。
ブース担当者によると、ポスターでは大きく打ち出していないものの、近年はLIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:レーザー誘起ブレークダウン分光法)選別機を求める顧客が急増しており、需要拡大を背景に自社開発を進めているという。中国ではLIBS選別装置の需要拡大に伴い、多くの企業が自社開発をしており競争が激化しているとのことだ。
同社のLIBS選別機は1000番台から3000番台までのアルミ合金選別に対応し、99%という高純度選別を実現できる点が特徴だ。アルミスクラップは外観だけでは合金組成を見分けることが難しく、特に展伸材系の1000系、3000系、5000系などは元素組成が近いため、高精度選別には高度な分析技術が必要となる。
担当者はアルミだけでなく、ステンレス鋼の201系と304系の選別にも対応している点を強調。ステンレス選別は、ニッケルやマンガン含有量の微妙な違いを高速かつ安定的に識別する必要があり、アルミ以上に難易度が高いとされる。担当者は「これは他社にはない大きなアドバンテージ」と説明しており、今後さらに販路を拡大したい考えを示した。
また、マイナス20〜40度の極低温環境下でも稼働可能であることを強みとしており、こうした耐環境性能がロシア市場などからの引き合いにつながっているという。寒冷地ではセンサーや搬送機構の安定稼働が難しくなるため、低温耐性は重要な競争力になる。本ブース取材で見えた同社が持つLIBS技術の完成度と実用性の高さには驚かされ、中国メーカーの技術進化のスピードを改めて印象付けられた。
TAIHO泰禾(Hefei Taihe Intelligent Technology Group Co., Ltd.)
TAIHO泰禾は、AI画像認識技術を活用したインテリジェント選別装置を展開する中国企業である。同社は「単一製品チャンピオン実証企業」に認定されており、農産物選別、鉱石選別、再生資源選別、包装機械など幅広い分野でAI選別設備を提供。製品は世界120以上の国・地域で販売されており、600件以上の知的財産権を保有している。
展示会では金属破砕スクラップ向けの「DOUBLE LAYER OPTICAL SORTER(ダブルレイヤー光学選別機)」を紹介。担当者によれば、日本ではラジエーターリサイクル向けに千葉や大阪へ設備導入実績があるという。特に日本、米国、EUが大口顧客となっており、非鉄金属リサイクル市場で存在感を高めている。
一方、アルミ合金選別に関しては「1000系・2000系アルミの高精度選別はまだ難しい」とのこと。アルミ合金は系統ごとに元素組成差が小さく、特に1000系(純アルミ系)や2000系(Al-Cu系)は高速ライン上での識別難易度が高い。近年は自動車・建材用途向け水平リサイクル需要が拡大しており、高純度選別技術が各社の競争領域となっている。同社はその課題に対し、AI画像認識やマルチスペクトル解析を活用した高度選別技術を展開していくとのことだ。
PRIMA GROUP
展示会で立ち話をしたPRIMA GROUPは、日本からアルミや銅スクラップを調達し、LIXILのベトナム拠点やインド市場などへ販売しているという。アルミだけでなく亜鉛や鉛スクラップも取り扱っており、非鉄金属全般を扱う商社・リサイクル事業者として事業を展開している。
印象的だったのは「日本のスクラップは品質が非常に高い」というコメントだ。日本材は異物混入が少なく、合金管理や前処理レベルも高いため、東南アジアの二次精錬メーカーや押出メーカーから高評価を受けているという。近年はアルミ水平リサイクル需要の拡大を背景に、単なるスクラップ量ではなく「どれだけ合金成分が安定しているか」が重要視されるようになっている。
例えば建築用サッシでは6000系アルミの成分管理が製品品質へ直結するため、LIXILベトナム向けでは日本由来スクラップの安定品質が大きな競争力になっているとのこと。インド市場でも高品質スクラップ需要が拡大しており、日本材への引き合いは強いという。
BG METAL TRADE INC
BG METAL TRADEは、パナマを拠点に中南米全域で非鉄・ステンレススクラップ事業を展開する企業である。ブース担当者のLayla Jalil氏とIRuniverse代表の棚町氏は、今年1月に開催されたMRAI Jaipur – IMRC 2026(The International Material Recycling Conference & Exposition)以来2回目の再会となった。
同社の強みは品質管理とトレーサビリティであり、全出荷品は積み込み前に検査を実施することで安定供給体制を構築している。ラテンアメリカ15カ国以上に広がる調達ネットワークを持っており、特にパナマ拠点については「アジア向け海運ルートへのアクセスの良さ」が大きな競争力になっているという。中南米とアジアを結ぶ物流ハブとしての地理的優位性を活用し、日本、中国、韓国を含むアジア市場へのスクラップ供給を拡大している。
Jail氏とMIRU取材チームとの間では、スクラップ市場に関する情報交換が行われた。現在、ステンレススクラップ市場は欧州向けが好調で、304系ステンレススクラップは約1,500ドル、316系は約2,700ドルで取引されている。特に欧州とインドはステンレススクラップの有力市場であり、高値で購入してくれる。同社はeスクラップについて「高品位材のみを取り扱う」という品質を重視した選別方針を採られており、回収したeスクラップの一部を日本のDOWAホールディングスに販売しているという。
IRuniverseは中央アメリカのスクラップ価格情報を今後さらに強化していきたい考えがあり、同社もアジア市場の情報収集を強化したいとのことから「今後は互いに情報交換していきましょう」との会話も交わされた。

今回の展示ブース取材で特に印象的だったのが、中国系企業が自社開発によって各種選別機を開発し、高純度選別を実現しながら世界各国へ製品展開を進めている点だ。これまで金属選別機市場はEUや米国メーカーがリードしてきたが、導入コストが課題とされてきた。一方、近年は中国メーカーが急速に台頭しており、高い技術力に加えて納期の速さや価格競争力を武器に存在感を強めている。
講演会でも繰り返し強調されていた通り、金属リサイクルは今や「都市鉱山」や「新たな資源」として各国で注目されている。単なる回収だけでなく高純度な再生材を生み出すための高度選別技術が重要視されるようになっており、巨大な金属需要を抱える中国は市場ニーズを背景に高度選別機の開発を進め、存在感を急速に高めている。
展示会全体を通じて感じられたのは、日本のスクラップそのものが「高品質原料」として国際市場で高く評価されている点だ。特に日本由来の黄銅スクラップやアルミスクラップは異物混入が少なく、合金成分の安定性が高いことから、優先的に取り扱いたいと話す海外メーカーも少なくなかった。実際、東南アジアやインド向けに日本材を調達したいという参加者も多く、日本スクラップの国際的な評価の高さを改めて実感した。
また、参加者の間ではIRuniverse代表の棚町氏が講演で言及した「経済安全保障の観点からの再生材輸出規制」の動向を気にする声も聞かれた。再生資源が戦略物資として重要性を増す中、日本国内で余剰となっている非鉄スクラップを今後どのように位置付けるのか。高度選別技術の進化と合わせ、再生資源を巡る国際競争が新たな局面に入りつつあることを感じさせる展示会であった。
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本報告をもって、「第3回中国金属リサイクル春季会議2026」の報告を終了とする。
(IRuniverse Midori Fushimi)