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為替相場推移 TTS 3か月
タングステンAPT(EU Freemarket) 1年
純タングステンススクラップ(USD/Kg cif Japan) 1年
(輸出分析)
■数量では、
5月単月は28トンと、4月(103トン)から大幅に減少し、前月比27%、前年同月比6%と低水準に落ち込んだ。内訳では、韓国向け21トン(前月比95%)が最大仕向け先となり、米国向けも7トン(同140%)へ小幅増加した。一方、4月に40トンあった台湾向け、35トンのドイツ向けはいずれもゼロとなり、中国向けも引き続き出荷はみられなかった。
1~5月累計は478トンで前年同期比50%と前年を大きく下回った。台湾向け191トン(前年比88%)が依然として最大仕向け先を維持する一方、ドイツ向けは86トン(同24%)、米国向け66トン(同42%)、中国向け24トン(同29%)と総じて低調である。韓国向けは102トン(同111%)と前年を上回り、数少ない増加先となった。
総じて5月は、4月のドイツ・台湾向け大口案件の反動から輸出数量が急減し、韓国向けを中心とする小口出荷が主体となった。APT価格はなお高水準にあるものの、輸出はスポット案件に左右される不安定な構造が続いている。(表―1、グラフ―1)。


■金額では、
5月単月は3億28百万円と、4月(9億96百万円)から大幅に減少し、前月比33%、前年同月比17%と低水準に落ち込んだ。内訳では、韓国向けが2億15百万円(前月比44%)で最大となり、米国向けも1億13百万円(同377%)へ増加した。一方、4月に大型案件があった台湾向け(2億50百万円)、ドイツ向け(2億06百万円)はともにゼロとなり、中国向けも引き続き出荷はみられなかった。
1~5月累計は33億18百万円で前年同期比93%となった。韓国向け10億84百万円(前年比379%)が最大となり、台湾向け8億76百万円(同129%)、米国向け4億43百万円(同51%)、中国向け4億29百万円(同119%)が続く。一方、ドイツ向けは3億68百万円(同29%)と前年を大きく下回った。
総じて5月は、4月の韓国・台湾・ドイツ向け大型案件の反動で輸出金額が急減し、韓国向けを主体とする小口案件中心の構成となった。APT価格はなお高値圏を維持しているものの、輸出金額は依然としてスポット案件に左右されやすく、月次変動の大きい市場構造が続いている。(表―2、グラフ―2)。


■平均FOB単価は、5月に11,700円/kgとなり、4月の9,671円/kgから大幅に上昇した。為替は160.33円から159.38円へわずかに円高へ振れたものの、その影響を上回る高単価案件の増加により、円建てFOB価格は再び切り上がった。
内訳では、米国向けが16,130円/kgと大幅に上昇し、韓国向けも10,223円/kgと引き続き高水準を維持した。一方、ドイツ、台湾、中国向けは当月実績がなく、少量・高付加価値案件が平均単価を押し上げる構図となった。
APT価格は中国の供給制約を背景に依然として高値圏で推移しており、5月は小幅な円高による押し下げ効果よりも、高単価案件主体の輸出構成が価格形成を左右した。FOB価格は引き続き需給逼迫を背景とした高値圏を維持しているものの、仕向け先や案件構成による月次変動が極めて大きい市場と整理できる。
(グラフ―3)。

主要税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・FOB(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(輸出・タングステン系)
タングステン市場は3~4月の急騰局面を経て調整色を強めている。国際APT価格は6月に心理的節目の3,000ドル/MTUを下回ったものの依然として高値圏にあり、中国ではAPTや鉱石価格が3月をピークに方向感を欠く一方、海外市場では輸出許可制度による供給制約を背景に高値が維持されるなど、中国内外の価格動向には乖離がみられる。さらに、タングステンバーや炭化タングステン、フェロタングステン、純タングステンスクラップには下押し圧力が広がっており、市場全体は過熱感の修正局面に入っている。
輸出統計でも数量はスポット案件に左右される不安定な推移が続き、5月は韓国向けを主体とした小口出荷中心となった。一方で、FOB単価は高単価案件の影響から引き続き高水準を維持しており、数量以上に案件内容が輸出金額を左右する構図に変化はない。
当面は、中国市況の軟化が相場の重石となる一方、供給制約はなお解消されておらず、国際価格の大幅な下落も見込みにくい。輸出は数量の安定拡大よりもスポット案件への依存が続き、「数量は低位で変動、価格は高止まり、金額は高単価案件次第」という市場環境が当面の基本シナリオとなろう。
(輸入分析)
■数量では、
5月単月は117トンと、4月(170トン)から減少し、前月比69%となった。一方、前年同月比では100%と前年並みを維持した。シンガポール向けは38トン(前月比69%)で引き続き最大の供給源となったが、4月からは減少。ドイツ品も10トン(同53%)へ縮小し、「その他」も44トン(同54%)へ減少した。一方、インド品は11トン(同550%)、英国品は5トン(同250%)と小口ながら増加し、調達先の多様化は維持された。中国からの輸入は2トンと低水準にとどまり、輸出規制の影響が依然として色濃く残っている。5月の「その他」44トンの内訳は、インド11トン、ドイツ10トン、台湾7トン、タイ6トン、英国5トン、韓国5トン、トルコ1トンで構成された。シンガポール38トン、米国32トンに次ぐ中小口案件が複数の国・地域に分散しており、特定地域への偏重はみられない。欧州(ドイツ・英国)、アジア(インド・台湾・韓国・タイ)、中東近隣(トルコ)からの調達が組み合わされ、多元的な調達構造が維持されたことが5月の特徴といえる。
1~5月累計は741トンで前年同期比154%と前年を大きく上回った。シンガポール176トン(前年比1,760%)や「その他」340トン(同466%)が全体を押し上げる一方、中国は37トン(同19%)と大幅低迷が続く。総じて5月は4月の高水準から一服したものの、中国依存の低下とシンガポール・欧州・その他地域を組み合わせた多元調達構造に大きな変化はなく、供給先の分散化が引き続き進んでいる。(表―1、グラフ―1)。


■金額では、
5月単月は28億89百万円と、4月(40億78百万円)から減少し、前月比71%となった。ただし前年同月比では544%と大幅増を維持し、高水準の輸入額が続いている。
内訳では、シンガポール品が8億76百万円(前月比72%)で最大を維持したほか、「その他」が9億96百万円と依然高水準となった。英国品は2億37百万円(前月比621%)、インド品も2億30百万円(同627%)へ急増し、台湾品2億03百万円、ドイツ品2億24百万円も堅調に推移した。一方、中国品は1億24百万円と3カ月ぶりに輸入が再開したものの、なお限定的な水準にとどまった。
1~5月累計は121億19百万円で前年同期比532%と大幅増を維持。シンガポール28億91百万円、「その他」57億93百万円が引き続き全体を牽引し、中国依存の低下と調達先の多様化が一段と鮮明となっている。
総じて5月は、4月の大型案件集中による急伸からは一服したものの、シンガポールを中心に欧州・アジア品高額案件が続き、輸入額は依然として歴史的な高水準にある。APT価格の高止まりを背景に、案件主導で金額が大きく変動する市場構造が継続している。(表―2、グラフ―2)。


■輸入CIF単価は、
全体平均で4月の23,987円/kgから5月は24,690円/kgへさらに上昇し、過去最高値を更新した。5月は為替が160.33円から159.38円へやや円高方向に振れたものの、APT価格の高止まりと高付加価値材の調達が円高効果を上回り、円建て輸入単価は一段と切り上がった。
国別では、中国が61,790円/kgと突出した高単価となったほか、英国47,375円/kg、台湾29,033円/kg、シンガポール23,045円/kg、ドイツ22,398円/kg、インド20,868円/kgと主要調達先はいずれも2万円台前後の高水準で推移した。
総じて5月は、わずかな円高にもかかわらず、APT価格の高止まりと高単価案件の比率上昇により平均CIF単価は最高値を更新した。輸入価格は引き続き国際市況と調達先ミックスの影響を強く受ける、高ボラティリティな局面が続いている。(グラフ―3)。

主要税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
主要国別税関別数量・CIF(JPY/Kg)実績 ( )内は前月実績
■今後の展望(輸入)
タングステン市場は、中国国内ではAPTやカーバイド、フェロタングステン、スクラップ価格の調整が続く一方、中国からの輸出規制により海外市場への供給は依然として制約されており、国際APT価格はなお高値圏を維持している。このため、日本の輸入市場も急騰局面から高値圏での持ち合い局面へ移行しつつあるものの、価格水準そのものは当面高止まりが続く可能性が高い。
数量面では、中国依存の低下を背景に、シンガポールや欧州、インドなどを組み合わせた多元調達が今後も主流となろう。5月は輸入数量が前月から減少したものの、累計では前年を大きく上回っており、供給確保を優先した調達姿勢に大きな変化はみられない。一方で、案件ごとの調達比率に左右されるスポット色の強い市場構造は引き続き続くとみられる。
価格面では、5月は円高方向への小幅な修正にもかかわらず平均CIF単価が過去最高を更新しており、為替よりも高付加価値材の調達比率や国際価格の影響が支配的となっている。当面は中国市況の調整が上値を抑える一方、海外市場の供給制約が下値を支える構図が続き、「数量は案件次第で変動、価格は高止まり、調達先の多極化が進展」という市場環境が基本シナリオとなりそうだ。
(IRUNIVERSE S. Aoyama)